自惚れ~うぬぼれ~…<つかつく> 59.
司は、あの望遠鏡で見た『土星』のシチュエーションが、司とつくしにとっての『キーポイント』で、有って欲しいと願って居たのだ。
だからこそ…。
此の時の司は、あの当時と同じ様なシチュエーションで、つくしを部屋から連れ出したかったのだ。
そうする事で、今の司には、何故か、勝手に、つくしの記憶が、戻る様な気がして居たのだ。
司の時は、『司』目掛けて、つくしが投げたあの思い出のホームランボールが、司の記憶を取り戻した『キーポイント』だったのだ。
だからだったのかも知れない。
此の時の司は、つくしの記憶を取り戻す為の『キーポイント』が、例の『土星のネックレス』で、有って欲しいと願って居たという訳…だったのだ。
そして、司は、実行に移す事にしたのだった。
先ずは、司は、つくしの自室の『内線TEL』に、TELを掛けて視たのだ。
「牧野…。
見せてぇもんが有る。
今から、部屋を出て来いよ‼」と…。
だが、此の時のつくしは、司に、悪態を突いて居たのだ。
“えっ??
何で?
今の時間が、何時なのか?
道明寺は、分かってて、私にTELして来たの?
今の時間は、夜中だよ。
夜中の12時だよ‼
私には、意味が分かんないんですけど…。”と…。
だからだったのだろう。
司は、其れでも、つくしに言って除けるのだった。
「良いから、出て来い‼
お前が来ねぇなら、俺が、お前の部屋に行くまで…だ。」と…。
司からのそんな言葉は、半ば、強制的と言うのか?
端から観れば、脅しとも取れる様な言葉だったのだ。
そして、司は、そう言ったまま、TELを切るや否や、つくしの自室に向かうのだった。
実は、此の時の司には、つくしが、そう言って来るだろう事は、予測出来て居たのだ。
何故なら…。
此の時の司は、日本に帰国して帰って来てから、つくしの様子を、ジーっと、確認して居たのだ。
だからこそ…。
其の上で、此の時の司は、思って居たのだ。
“やっぱり、牧野は、牧野…だ。
牧野の頭の中で、俺の記憶が有ろうと、無かろうと…。
今の牧野は、あの頃と、全く、変わっちゃあ、居ねぇな。”と…。
なので、司は、『当たって砕けろ‼』と、いう訳では無かったのだが、つくしに遠慮する事無く、あの頃と同じ様に、つくしに、ぶつかって視る事にして居たのだった。
勿論、其れには、あきらからの助言が有った事は言うまでも無かったのだが…。
だからこそ…。
つくしの自室に突撃して、つくしを或る部屋に、連れ出そうと思って居たのだ。
実は、此の日、つくしを連れ出そうとして居た司は、あの時と同じ様に、世間では、『夜中』と言われる様な時間に、態と、つくしにTELして居たのだ。
何故なら…。
あの頃と同じ様なシチュエーションを、演出したかったのだ。
だからこそ…。
態と、此の時間に、つくしに、TELを掛けて居たのだ。
しかも、『土星』を観るには、此の時間しか無かったのだから、仕方ないと言えば、仕方なかったのだ。
言う成れば…。
司が、つくしを呼び出すには、此の時間しか無かったという訳…だったのだ。
そして、司は、あの時と同じ様に、つくしの部屋のドアをノックもせずに、つくしが、部屋から出て来る事を、唯、待って居たのだ。
だが、あの頃と違うのは、つくしは、何時(いつ)迄経っても、部屋から出て来そうに無かったのだ。
だからだったのだ。
司は、痺れを切らしたかの様に、つくしの部屋のドアをノックもせずに、入って行ったのだ。
其れに、驚愕したのは、つくしだったのだ。
だが、司は、あの時と同じ様に、つくしに、悪態を突くのだった。
「遅い。」と…。
だからだったのだ。
此の時のつくしは、驚愕顔のまま、司に、言って除けるのだった。
「“遅い。”って、言われても、私は、あんたと約束した訳じゃ無いでしょ⁉
なのに、何で、私は、あんたから、“遅い。”って、言われなきゃ、成んないのよ‼」と…。
だからだったのだろう。
そんな風に、言い返して来たつくしの言葉を聞いて、此の時の司は、思って居たのだ。
“何か、あの頃と、シチュエーションが違って来てる様に感じるが、仕方ねぇな。
其れだけ、時が経ったって、事だよな。”と…。
其処で、司は、取り敢えず、つくしを、部屋から連れ出そうとするのだった。
「るせぇな‼
遅く無きゃ出来ねぇんだよ。」と…。
あの時と同じセリフを、司は、態と、つくしに、言って視たのだ。
だが、其の時のつくしの反応は、年齢のせいなのか、至って、冷静だったのだ。
「はぁ~??
あんた、何、言っての?
訳分かんない。
私は、もう、寝ようと思って居たんだよ。
いい加減にしてよね。」と…。
其処で、司は、更に、思って居たのだ。
“『牧野の頭の中で、俺の記憶が有ろうと、無かろうと…。
今の牧野は、あの頃と、全く、変わっちゃあ、居ねぇな。』と、思って居たが…。
人間、年を取ると、やっぱ、考え方も変わって来るという事か?”と…。
だが、其れでも、此の時の司にとっては、実行に移すしか無かったのだ。
だからこそ…。
此の時の司は、必死で、つくしに説得し始めるのだった。
「良いから、俺に就いて来い‼
良いもん見せて遣るから…よ。」と…。
だからだったのだ。
つくしは、渋々、司に就いて行く事にしたのだった。
「分かったわよ。
けど…ね。
私の睡眠時間を削るんだから…。
良いもんじゃ無かったら、承知し無いんだから…ね。」と…。
其処で、司も、言い切るかの様に、そう言って来たつくしに、返答するのだった。
「ああ。
お前が、納得し無かった時は、殴っても、蹴って来ても、良いぞ‼」と…。
だからだったのだろう。
此の時点に於いてのつくしは、渋々、司に就いて行く事にしたという訳だったのだ。
そして、此の時の司は、あの頃と同じの様に、セッティングに失敗して、時間が掛からない様に、先に、望遠鏡をセッティングして置いたのだった。
何故なら…。
現在のつくしは、司との過去の記憶を失くして居るのだ。
云わば…。
其の当時の記憶を失って居る現在のつくし成らば…。
望遠鏡のセッティングに時間が掛かれば、つくしは怒り出して、「部屋に帰る。」と、言い出し兼ねないのだ。
だからこそ…。
司は、事前に、望遠鏡をセッティングして置いたという訳…だったのだ。
其処で、バルコニーの扉を開けた司と共に、バルコニーに出たつくしは、バルコニーにセッティングされて居る望遠鏡を見て、此の時のつくしは、驚愕するのだった。
何故なら…。
此の時のつくしは、考えてしまって居たのだ。
“今から、何が始まるの?”と…。
其処に、司は、最終チェックをする為に、先に、望遠鏡を覗いて居たのだが、異常が無いと判断出来たので、不思議そうにして居るつくしに、言って除けるのだった。
「牧野…。
(望遠鏡を)覗いて視ろよ‼」と…。
だからだったのだ。
つくしは、司の言う通りに、望遠鏡を覗き始めるのだった。
そして、其処(望遠鏡)に見えたのは、勿論の『土星』だったのだ。
其処で、『土星』を観た此の時のつくしのリアクションは、あの頃と、全く、変わって居なかったのだ。
「あっ‼
何、あれっ⁉
『土星』…?
凄~い‼
ちっちゃな輪っかが付いてる。
可愛いっ‼
地球から、見えるんだぁ~。
嘘みたい。
ねっ、此れって、ネックレスにしたい大きさじゃ無い⁉」と…。
実は、そんなつくしのリアクション と 言葉は、今の司にとっては、欲しいリアクション と 言葉だったのだ。
だからこそ…。
此の時の司の頭の中では、“よっしゃー!”と、叫んで居たのだった。
言う成れば…。
此の時のつくしは、十中八九、そんな司の罠に嵌って居たと言えたのだ。
其処で、司は、あの頃と違う形で、つくしに例の『土星のネックレス』を見せて居たのだ。
実は、司のそんな見せ方とは…。
望遠鏡を覗いた状態で、司にそんな言葉を投げ掛けて居たつくしに対して、司は、望遠鏡のレンズ越しから、例の『土星のネックレス』を見せて居たのだ。
其れには、つくし自身、驚愕するのだった。
だからこそ…。
此の時のつくしは、“手品…⁉”と、不思議がり乍らも、望遠鏡から自身の目を放して、司の顔を、唯、ジーっと、見詰めて居たのだ。
其処で、司は、そんな顔付きのつくしに、「ほらっ‼」と、手渡すのだった。
そして、そう言って、例の『土星のネックレス』を手渡して来た司から、反射的に、つくしは、例の『土星のネックレス』を受け取って居たのだった。
其処で、穴が開くのでは無いかと、誰もが思う位に、暫くの間、其の『土星のネックレス』を、見詰めて居たつくしは、漸く、司に、訊き始めるのだった。
「此の『土星のネックレス』は…?」と…。
其処で、司は、此の『土星のネックレス』の意味を、つくしに話しし始めるのだった。
「此の『土星のネックレス』は、俺等が、まだ、高等部のガキの頃に、お前が、此の道明寺
邸で、俺専用使用人をしてた時に、プレゼントして遣った『(土星の)ネックレス』だ。
俺とお前は、星占いだと、同じ『土星人』らしい。
だから…よ。
同じシチュエーションで、俺からお前に、プレゼントして遣ったんだ。
けど…な。
俺のせいで、お前が、こんな身体に成ったろ。
其の時に、倒れたお前が、(道明寺総合)病院に運ばれた。
で、運ばれた時に、ナースが、牧野の首から外して、牧野のお袋さんに預けたらしい。
で、俺は、牧野のお袋さんから返されたんだ。
だから…な。
此の『土星のネックレス』は、元々、お前のもんだ。
俺からお前にプレゼントしたんだから…な。
だから…な。
“要らねぇ(無い)。”とか、言わずに、受け取って欲しい。」と…。
其処で、司は、あの頃と同じ様に、部屋の中につくしを入れて、つくしから、再度、『土星のネックレス』を受け取り、つくしの首に着けて遣るのだった。
「着けて遣る。
後ろ向きな。」と、言い乍ら…。
其処で、つくしは、あの頃とは違って、素直に、後ろを向くのだった。
だが、此の時の司の心蔵は、煩い位に、ドキドキと音が鳴って居て、司の頭の中では、既に、此の次のシーンが、浮かんで居たのだった。
そして、司の頭の中では、悪魔が囁いて居たのだった。
“牧野に抱き着けっ‼”と…。
だが、つくしを、此れ以上、傷付けたくない司は、そんな悪魔の囁きに応じる事無く、唯、つくしの首に、例の『土星のネックレス』を着けて遣る事だけしか出来なかったのだ。
云わば…。
此の時の司は、此れ以上、行動出来ずに、暫くの間、唯、ジーっと、佇んで居ただけという訳…だったのだ。
<此の二次小説『自惚れ~うぬぼれ~…<つかつく> 59.』に出て来る一部のセリフの
中には、神尾葉子先生の漫画『花より男子』のセリフを、勝手に、拝借して、記載致して
折ります。
神尾葉子先生に於かれましては、勝手に、拝借致して折ります事を、お詫び申し上げま
す。
また、関係者各位 様に於かれましても、勝手致して折ります事を、お詫び申し上げま
す。>