自惚れ~うぬぼれ~…<つかつく> 60.
司が、例の『土星のネックレス』を、つくしの首に着けて遣った後、暫くの間…。
司が、其の場で佇んで居る間も、司自身、何も行動する事無く、唯、ジーっと、其の場から動けずに居たのだ。
其れは、何故かと云うと…。
此の時の司にとっては、“牧野を傷付けたく無くてねぇ。”と、言う事が、其の場から動けずに居た最大の理由…だったのだ。
だが、司から、例の『土星のネックレス』を、自身の首に着けて貰った後…。
此の時のつくし自身、其の場から、司同様に、離れられずに居たのだった。
云わば…。
司の前に、背を向けた状態のつくしが、唯、其の場に佇む様に、其の場に居たという訳…だったのだ。
そして、其の後の司は、我に返った後…。
其の場に、固まった様に佇んだまま、ジーっとして居るつくしを見て、此の時の司は、思わず、つくしの首に、自身の腕を回してしまって居たのだ。
そんな司の行動に、漸く、我に返ったつくしだったのだが…。
此の時の司は、思わず、自身の頭を、つくしの肩に埋めるかの様な仕草を、つくしにし始めて居たのだった。
だからだったのだろう。
此の時のつくしは、そんな司に、凄めるかの様に、言って除けるのだった。
「道明寺…。
ちょっと、何してんのよ?
いい加減、私から、離れて…よ。
そうじゃ無くても…。
私には、まだ、道明寺への気持ちが、何処に有るのか?
自分自身でも、分かって居ないんだから…。
記憶が有った頃の私は、道明寺と付き合って居たと、桜子達からは聞いて居たけど…。
今の私には、そんな記憶は無いんだよ。
だからこそ…。
今は、まだ、慌てないで欲しい。」と…。
だが、此の時の司は、そんな風に、つくしに言われても、直ぐには、つくしから、離れ様とし無かったのだ。
何故なら…。
此の時の司は、つくしの首に腕を回し乍らも、既に、つくしの肩に顔を埋めた状態だった事は言うまでも無かったのだから…。
そして、実の事を言うと…。
此の時の司にとって、自身が愛するつくしに触れたのは、数年振りの事だったのだ。
例え、現在のつくしに、記憶が有ろうと無かろうと…。
云わば…。
此の時の司にとって、漸く、自身が愛するつくしに触れる事が出来て居たという訳…だったのだ。
だからこそ…。
此の時の司には、自身が愛するつくしから離れられる筈等無かったのだ。
なので、此の時の司は、自身が愛するつくしに言えた言葉だったのだ。
「分~ってるよ。
分~ってるからこそ…。
お前から離れねぇといけねぇ事も、今の俺には、分かってる。
其れに、今のお前には、俺への気持ちはねぇ事も、理解してる。
けど…よ。
今の俺には、お前しか居ねぇんだよ。
だから…よ。
ちょっと…だけで良いんだ。
暫く、此のままで、居ても良いか?」と…。
だからだったのだろう。
此の時のつくしは、そんな風に、寂し気に、辛そうに話しして来た司に対して、反論の言葉も、司に告げる事が出来なかったのだ。
だからこそ…。
此の時のつくしは、何も言い返す事無く、司の言う通りに、微動だにせずに、ジーっと、唯、司に抱き締められた状態で居たのだった。
しかし、暫く、そんな状態だった司とつくしだったのだが…。
何時しか、つくしの顔は、歪み始めたのだ。
実は、此の時のつくしの脳裏を過ったのは、他でも無い。
司とつくしが、まだ、高等部当時の例の『土星』を観たシーンの其の後だったのだ。
云わば…。
此の時のつくしの脳裏に蘇って居たのは…。
高等部当時の司とつくしが、あの『土星』を観た後に…。
無理矢理、つくしを倒して(?)、司がつくしにkissをして来た後に、司が、つくしの胸を触ったシーンだったのだ。
だからこそ…。
此の時のつくしの顔は、歪み始めて居たのだ。
何故なら…。
其の時のシーンが、つくしの頭の中を、占拠し始めて居たから…だったのだ。
だからだったのだろう。
此の時のつくしは苦しそうに、事の発端で在る 当の本人の司に言い始めて居たのだった。
「道明寺…。
あの頃は、確か、此の後…。
道明寺は、嫌がる私を、無理矢理、倒して…。
無理矢理、私に、kissをして来たんだよね。
そして…。」と…。
其処で、つくしは、其れ以上の言葉が、つくし自身の口からは出る事無く…。
此の時のつくしは、顔を俯かせて、苦しそうにして居たのだ。
だからだったのだ。
此の時の司は、思って居たのだ。
“何で、牧野は、そう言うシーンばかり、思い出してんだよ‼
思い出すべき所は、もっと、他にも在んだろ?”と…。
だが、此の時の司にとって、現在の記憶しか無いつくしを、其れ以上、傷付けたくは無かったのだ。
云わば…。
其の事だけは、司の本心で在り、事実だったのだ。
だからこそ…。
此の時の司には、つくしに言えた言葉だったのだ。
「其れ以上…。
お前が、俺に言わねぇでも、俺にも、分~ってるよ。
だからこそ…。
其れ以上、お前に、無理させる気は、毛頭ねぇよ。
其れに、今の俺は、お前に、嫌われる事の方が、怖ぇんで…な。
其れと、今の俺は、生憎、あの頃のバカだった頃の俺じゃねぇんだよ。
お前の今の気持ち位ぇ、分~ってるって…。
其れに、お前自身の気持ちを、俺は、大切にしてぇと思ってるよ。」と…。
だが、此の時の司は、悟って居たのだ。
自身が抱き締めて居るつくしの身体が、小刻みに震え始めて居る事を…。
だが、此の時の司には、如何しても、そんな状況のつくしでさえ、つくしから離れて遣る事が出来無かったのだ。
もし、此のまま、自分自身が、つくしから離れれば…。
其れは、終わりを意味して居るかの様に、此の時の司には、思えて居たのだ。
だが、何時迄経っても、自身から離れ様とし無い司に、痺れを切らしたかの様に、暫くしてから、此の時のつくしは、司に、言って除けるのだった。
「だったら…。
今直ぐ、私から離れてよ。」と…。
だが、そんな風に、自身が愛するつくしから言われても、此の時の司は、そう言って来たつくしから、尚も、離れて遣る事が出来ずに居たのだ。
実は、此の時の司は、久し振りに、愛するつくしに触れた事で、また、抱き締めた事で、つくし自身を、味わって居たのだ。
だからこそ…。
此の時の司にも、分かって居ても、自身が愛するつくしから離れる事が出来ずに居たのだった。
そして、漸く、つくしから離れる事が出来た司にとっては、唯、つくしの首に腕を回して、抱き締めて居たに過ぎ無かったのだ。
だが、此の時の司には、何故か?
罪悪感が残って居たのだ。
何故なら…。
一瞬では有ったとしても、此の時のつくし自身、記憶を取り戻した様なものだったのだ。
だが、其れは、例の『土星のネックレス』に寄って、つくしの記憶が蘇って居たのでは無く…。
司に抱き締められた事に寄り、つくしの記憶は、一瞬だけ、蘇ったのだ。
当初、司の思惑は、“此の『土星のネックレス』が、牧野の記憶を蘇らせる『キーポイント』だったら、良いのになぁ~。”と、考えて居たのだ。
だが、皮肉にも、つくしの記憶が、一瞬だけ、蘇ったのは、(例の)『土星のネックレス』では無く…。
自分自身が抱き締めた事に寄るモノだったと分かったのだ。
其れは其れで、司にとっては、嬉しい筈なのだが…。
此の時の司には、良しとは、思えなかったのだ。
何故なら…。
結局、つくしの記憶は、一部分だけ…。
しかも、一瞬だけ、つくしの記憶が過った程度で在って…。
所謂、つくしの記憶の全てが戻ったという訳では無かったから…だったのだ。
だからこそ…。
後々の司は、また、振り出しに戻って居た事を、痛感する事に成るのだった。
そして、此の時の司は、思って居たのだった。
“結局、『土星のネックレス』は、牧野の記憶を戻す為の『キーポイント』じゃねぇって事
だよな。
じゃあ、牧野の記憶を戻す為の『キーポイント』は、一体、何なんだ⁉”と…。
そして、其の後の司は、そんな風に考える日々だった事は言うまでも無かったのだ。
<此の二次小説『自惚れ~うぬぼれ~…<つかつく> 60.』は、短めに終わって居る事
を、お詫び申し上げます。
了承の程、宜しくお願い致します。>