五月人形【泣かずに居られるのなら】…<つかつく> 番外編
5月5日…端午の節句(子供の日)
【『鬼退治【泣かずに居られるのなら】…<つかつく> 番外編①~④』と同じ年のお
話し】
あれから…。
そう、2月3日の節分の日から…。
所謂、『鬼退治』を切っ掛けに、航は、すっかり、『お兄ちゃん』に成って居たのだった。
云わば…。
『鬼退治』を切っ掛けに、航は、しっかりして来たと言っても、過言じゃ無かったのだ。
実の事を言うと…。
司がつくしの記憶を取り戻し、自身が愛するつくし と (司とつくしの息子で在る)航の下に戻って来る迄の間、司 と つくしに代わって、タマが航を育てて来た手前…。
タマは、ずーっと、気に掛けて来た事が有ったのだ。
何故かと云うと…。
牧野家の遺伝子を真面に受け継いだ『人たらし』で在り、人の良い優しい航の事を、此れ迄のタマは、ずーっと、気に掛けて来たから…だったのだ。
だからこそ…。
『鬼退治』を切っ掛けに、すっかり、『お兄ちゃん』に成った航の事を、タマは、頼もしく観て居たのだった。
其処で、道明寺邸でも、そろそろ、『五月人形』を飾る時期が近付いて来たのだった。
だからだったのだろう。
タマは、使用人頭として、使用人達に指示を送って居たのだ。
其処に、つくしが、其の場を覗くかの様に、顔を出して来たのだ。
そして、タマは、タマで、そんなつくしに気が付いた事で、つくしに声を掛けるのだった。
「何だい、つくし…?
そんな所で…。」と…。
だからだったのだ。
つくしは、タマに返答するのだった。
「“何を飾って居るのかなぁ~?”と、思って…。」と…。
そんな素っ頓狂な物言いで自身に訊いて来たつくしを、呆れた様に、唯、じーっと、観て居たタマは、漸く、そんなつくしに言って遣るのだった。
「つくしは、何を訊いて居るんだい⁉
仮にも、つくしは、航坊っちゃんの母親だろ。
もう直ぐしたら、5月5日だろ。
だ・か・ら…。
航坊っちゃんの『五月人形』を飾って居るんだよ。」と…。
其処で、此の時のつくしは、首を捻り乍らも、考え込むのだった。
だからだったのだろう。
此の時のつくしにとっては、タマに訊けた言葉…だったのだ。
「えっ??
“航坊っちゃんの…。”って…?
今、飾ってる『五月人形』は、『司』の…とか、『道明寺家代々』の…とか…。
代々受け継がれて来た『五月人形』じゃ無いって、事ですか?
実は、『雛人形』も、そうだったんですけど…。
牧野家には、『五月人形』という物も存在して居なかったので…。
そういう類(たぐい)の物は、良く、知らないんですけど…。」と…。
実は、此の時のつくしは、“勿体無いのに、お金持ちって…。”と、思い乍ら、タマに訊いて居た事は、事実…だったのだ。
だが、此の時のタマは、更に、驚愕するのだった。
何故なら…。
此の時のタマは、“と言う事は、つくしは、『五月人形』の謂れを知らんのかね?”と、言いたく成って居たから…だったのだ。
だが、事情が事情なので、此の時のタマが言いたかった言葉は、自身の喉の奥に引っ込めた事は、事実…だったのだが…。
だからだったのだろう。
此の時のタマは、そんなつくしに教えて遣るのだった。
「『五月人形』を飾るというのは、意味が有るんだよ。
病気や災いから生まれて来た男児を守り、其の男児の無事の成長を願う『お守り』とし
て、家の中に飾るんだよ。
云わば…。
『五月人形』とは、【子供の健康と成長を願う】という意味合いが有るんだよ。
其れに、『五月人形』には、『子供の代わりに厄を引き受けたり、子孫繁栄を願う】
という意味合いも有るんだよ。
だからこそ…。
『五月人形』は、引き継いではいけないださね。
『五月人形』という物は、生まれて来た男児に降り掛かろうとする穢れ(けがれ)
や 災いの『身代わり』と、成って、其の穢れ(けがれ) や 災いを引き受けてくれる
という物ださね。
代々、『五月人形』を受け継ぐという事は、【厄を引き継いで行く】という事に成
る。
だから…さね。
『五月人形』というのは、男児一人に付き、一体ずつ用意する必要が有るんださ
ね。」と、力説するかの如く…。
だからだったのかも知れない。
此の時のつくしは、開いた口が塞がらない様な状況のまま、タマの力説を聞いて居たのだった。
だが、此の時のつくしは、暫く、黙ったままだったのだが、漸く、タマに、返答するのだった。
「そう何ですね。」と…。
其処で、此の時のタマは、思い出したかの様に、更に、つくしに話しし始めるのだった。
「実は、司様 と つくしが、此処(道明寺邸)に戻って来る迄の航坊っちゃんは、此の
『五月人形』を怖がってたさね。
此の『五月人形』を飾ろうとすれば、航坊っちゃんは、泣いて、タマを止めて居ただ
さね。」と…。
だからだったのだろう。
此の時のつくしは、タマに訊くのだった。
「航が、此の『五月人形』を観て、泣いて居たんですか?」と、訊き返すかの様に…。
其処で、自身の言葉を繰り返すかの様に、自身に訊き返してくるつくしに、再度、言って除けるのだった。
「そうさね。
此の『五月人形』は、『鎧飾り』と、言うんだが…ね。
鎧を着たお侍さんが、今にも、動き出しそうだろ。
だから…さね。
航坊っちゃんは、怖かったのかも知れないださね。
其れでも、泣き出しお子は、タマが知る限りでは、航坊っちゃん位ださね。
航坊っちゃんのお祖父様に当たられる 保様も、勿論、司様も、同じ様に、『五月人
形』をご覧に成っても、泣く処か?
返って、興奮気味に、お喜びに成って居られたよ。
だから…さね。
“此れからの航坊っちゃんは、如何成って行くんだろうかね?”と、危惧して居たんだよ。
けれど、司様は、そんな航坊っちゃんの事を分かって居られたんだろうさね。
見事に、航坊っちゃんを立て直された。
司様は、お父様として、立派に成られた。
タマは、良いモノを見られたよ。
長生きするもんださね。」と…。
だが、つくしは、タマに言って除けるのだった。
「航が、ひ弱なのは、仕方ないのかも知れません。
航は、牧野家に似たんだと思います。
私の弟の進も、『弱虫』だったし…。
私が英徳高校に通って居た当時の私と進は、両親と離れて、姉弟二人だけで、一緒に住ん
で居た時期が有ったんです。
しかも、引っ越して、初日の事だったと思うんですけど…。
其の初日の夜中に、泥棒に入られたんです。
其の時の進は、私の後ろに隠れて、私を盾にしたんです。
しかも、其の時の進は、泥棒が居なく成った後、掛け布団に包まったまま、【ブルブル、
ガタガタ】と、震えて居たんです。
警察の方も、“弟さんが居るの、じゃ、安心だ。”って、仰って居ましたが…。
そんな様子の弟を見て、“まぁ~、何か有ったら、110番して下さい。”って、仰って帰ら
れた位ですから…。
進は、男子…何ですよ。
そういう時こそ、女子を守るべきなのに…。
其れ位、私の弟の進は、『弱虫』だったんです。
きっと、航は、其の進の遺伝子を、諸に、受け継いでしまったんだと思います。
だから、航の性格は、きっと、牧野家の遺伝子を、諸に、受け継いでしまったんでしょう
ね。
でも、遺伝子って、面白いですよね。
両親じゃ無くて、『叔父さん』の性格に似るだ何て…。
でも、司には、其の事が分かって居たのかも知れませんね。
だから、司には、そんな航を、何とかしたかったという事だったんでしょうね。」と…。
其処で、タマも、つくしに、返答の言葉を伝えるのだった。
「そうだったのかね。
其れじゃあ、仕方ないださね。
航坊っちゃんは、きっと、つくしの弟さんに似たんだろうさね。」と…。
そして、其の後のつくしは、英徳学園 初等部から道明寺邸に帰邸して帰って来た航を引き連れて、今し方、飾ったばかりの『五月人形』(『鎧飾り』)を見せるのだった。
だが、此の時の航は、勿論、泣く事は無かったのだ。
其れ処か…。
「カッコいい!」と、呟いて居たのだ。
そんな航を観て居たつくし と タマは、お互いの顔を見合わせて、それぞれ、同じ事を思って居たのだった。
“大きく成って成長して来たという事も在るんだろうけど…(さね)。
きっと、『鬼退治』の効果が有ったという事なのだろう。”と…。
だからだったのだ。
其の夜のつくしは、道明寺邸に帰邸して帰って来た司に、其の日の出来事を、話しして聞かせて居たのだった。
其の時の司の返答の言葉は、「そうか…。」と、経った一言、言って居るだけ…だったのだが…。
此の時の司自身は、勿論、ドヤ顔だった事は言うまでも無かったのだった。
fin
<此の二次小説『五月人形【泣かずに居られるのなら】…<つかつく> 番外編』の中
に出て来るタマのセリフは、実は、検索した内容を引用させて頂いて折ります。
関係者各位 様に於かれましては、お詫び申し上げます。
了承の程、宜しくお願い致します。>
<此の二次小説『五月人形【泣かずに居られるのなら】…<つかつく> 番外編』の中
に出て来る一部の文面に、神尾葉子先生の『花より男子』のセリフ や シーンを、勝手
に、拝借して、記載致して折ります。
神尾葉子先生に於かれましては、勝手致して折ります事をお詫び申し上げます。
また、関係者各位 様に於かれましても、勝手致して折ります事を、重ねて、お詫び申し
上げます。>