お嬢だとしたら…<F4&T4> 2.
類の言っていた通り、F4はT4とパーティーで会う事が出来た。
あきらが、口を開いて居た。
「おいおい、今日は、T4来てるぜ‼」
類は、“普段、他人(ひと)に興味が無い筈だが…?”と、思うF3だった。
それ程までに、類の発言は、F3にとって、驚愕だった。
「へぇ~、生で見ると、イメージが違うね。」
あきらは、また、類に確認していた。
「其れって、如何いう意味だよ?」
「あの、牧野財閥のお嬢は、ゴシップ誌だと子供っぽく見えていたけど…?
今は、そんな子供っぽく見えてないでしょ‼
他の娘(こ)達もそうじゃない?」
総二郎は、類の言葉に納得していた。
「確かにな。
あの、大河原の娘も飛んで跳ねて娘には見えねぇよな。」
そんな会話をして居る時…。
あきらは、司の様子をじーっと見て居て、司の挙動不審な態度に、首を傾げて居た。
「おい、司、如何した?」
「ああ、何がだよ?」
「さっきから、無口だからよ。」
類は、司の気持ちが、手に取る様に分かって居た。
「無口って言うより、一点を唯、見詰めて黙ったままでしょ?」
「うるせぇ~な‼」
「司からの目の角度だと…。
もしかして、牧野財閥の令嬢に惚れたとか?」
「ああ…?
うるせぇ~んだよ、類‼
黙っとけよ‼」
司は逆ギレだった。
類の言う通り、司は、『牧野つくし』が気に成って仕方無かったのだ。
実は、つくしの笑顔が、司の過去の記憶の中に在る少女の笑顔と重なって、頭から離れないのだ。
司が、現在までに会って来た『女』の笑顔で一番好きな少女の笑顔とつくしの笑顔が重なって見えるのだ。
それは、あの、ゴシップ誌の『牧野つくし』の写真を見た時からそうなので在る。
司自身が、その状況を一番、驚愕していたのだった。
実は、先日のF4ラウンジで、あきらが持ってきたT4特集のゴシップ誌をF4で見ていた時に、類が、そんな司の様子を見て居たのだった。
普段、女性に興味が、全く無く、反対に女性を毛嫌いしている司が、唯、黙ったまま、唯、一枚のゴシップ誌の写真をじーっと見詰めたままで居たのが、類には気に成っていたのだった。
その一枚の写真が『牧野つくし』の写真だった。
司が上の空で居る時に、あきらが声を掛けて来た。
「おい、T4に声を掛けに行くか?」
総二郎も、あきらの言葉に納得していた。
「ああ、良いなぁ~‼
そうするか?」
反対に、類は、そんなF2を止めていた。
「止めときなよ。
F4から声掛けたら目立って仕方ないでしょ?」
総二郎は、類の言葉を跳ね除けようとしていた。
「良いんじゃねぇ?
別に悪い事する訳じゃねぇし、唯、喋るだけだろ?」
類は、司にカマを賭け様としていた。
「だって、司が、居るんだよ。
何か、遭ったら、如何するの?」
あきらは、類の言葉に賛成していた。
「まあ、それもそうだよな…。
女嫌いの司が、もし、女に触れられれば、凶暴化するのは間違いねぇよな。」
総二郎は、思い出した様に笑い出した。
「ああ、そうだよな。
この前のパーティーの時なんか、態と司にぶつかって来て、司に触れ様とした女の服
の裾を司が踏ん付けて、女の服が脱げた事件が遭ったよな(笑)。」
あきらも思い出していた。
「まあ、あれは、究極だっただろ(笑)‼
あの女、上半身裸に成ってたもんな‼
下心、丸見えだったよな‼」
類も、笑い出した。
「でも、あれ以来、誰も司に近付かなく成ったけどね(笑)。」
司は、怪訝な顔付きに成って居た。
「当り前ぇだろ‼
女が傍に寄ると、武者震いすんだよ。」
司は、態と、身体を震えながら、言って除けていた。
司のその姿を見ながら、類は、今後が楽しみだと思っていた。
あのパーティーの後、直ぐ、F4は高校を卒業した。
4月からは、英徳大学に進学する。
噂されていた大河原財閥のお嬢様は英徳大学に進学しなかった。
何故なら、自分一人だけ、別の大学に行く事が嫌だったので、親を説得して、桜林女学院高校と同じ敷地内に在る桜林大学に取り敢えず、進学した。
そして、その1年後、つくしと優紀は英徳大学に入学し、滋は英徳大学に編入し、桜子は英徳高校に編入した。
そして、その後、T4は、F4と知り合う事に成った。
つくしが英徳大学に進学して来るまでのこの1年、司の凶暴化が増して居た事は言うまでも無かった。
司がこの1年、つくしに会えると成ると、パーティーで見掛けるくらい。
此方から、声を掛けると、“警戒され兼ねない。”と、F3に言われ続けて、司は躊躇していたのだ。
“自然な形で知り合うのが一番良いんだ。”と、F3から説得され続けていたのだった。
それが、噂通り、T4が英徳学園に、入って来る事に成ったのだ。
嬉しくない筈がない司だった。
唯、F3が誤算だったのは、好きな女に対する司の執拗な迄の執着振り。
限界を知らない司は、女性に対する扱いが何処まで言っても、独り善がりなのだ。
司が嬉しい事は、相手も嬉しいんだという、独り善がりなまでの発想。
相手が如何思っているか?
何て考える余裕もない司なのだった。
司のこんな姿を見た事の無いF3だった。
また、司を抑えるだけで精一杯のF2だったのだ。
類は、素知らぬ振りを決め込んでいた。
そうなのだ。
『猛獣使い』のF2だったのだ。
毎日大変なのは、F2だった。
毎日が楽しいのは司だけだった。
F2は思って居た。
「「誰か、俺等の代わりに、司の『猛獣使い』に成ってくれぇ~‼」」
後々、そんな日が、訪れる事に成ろうとは、F2でも、思ってもみなかった。