お嬢だとしたら…<F4&T4> 7.
実は、お見合いとは名ばかりで、既に、業務提携を含めて、マスコミには、司とつくしの婚約発表が、FAXで流されていた。
此れには、F3は驚愕していた。
流石、“道明寺HDっ‼”と、思っていたF3だった。
なんせ、楓の遣る事が素早過ぎるのだから…。
婚約発表後の司の凶暴さは成りを潜め、世間では、つくしは、密かに、『つくし様』と、崇められていたとか居ないとか…。
それ程までに、司の婚約前と後とでは、司に違いが在るのだ。
司の事を好きだった滋は、成す術が無いこの状況に、誰にもこの苦しさが言えず、諦めていた筈だったが…。
つくしを見ていると、如何しても、不憫な司が堪らなく愛おしく感じてしまう滋だった。
だが、徹底的に諦めなければいけない出来事が滋の目の前で起こった。
司がつくしに話ししながらkissをして居る現場を、滋の瞳(め)で滋自身が見てしまったのだった。
「つくし、俺は、お前の事が、堪らなく好きだ。
否、愛してる。
今直ぐ、俺を好きに成ってくれとは言わねぇ。
けど、俺を避けるな‼
俺は、お前の婚約者、何だ‼」
「………」
何も、言い返せないつくしを尻目に、司はつくしにkissをした。
その時だった。
司の顔付きが、『悲しそうな・縋る様な顔』をつくしに見せたのだ。
この司の顔付きを見たつくしは、司が、可哀想に成って居た。
司はつくしのその様子を見て、司自身の顔付きの中には、つくしにとって、司の見た目、弱い顔付きが在る事を司は悟った。
つくし自身はまだ、その事には気付いて居なかったのか…?
直ぐには、何も言えずに居たのだが…。
つくし自身、気が付いたら、思っても居ない事を、口走ってしまっていた。
「私は、道明寺さんが私の事を想ってくれている気持ちの10分の1しか好きじゃないかも
知れないけど…。
それでも良いの?」
司は、つくしから言われた言葉が悲しかったが…。
“嫌い。と、言われた訳じゃねぇ。
受け入れられない。と、言われた訳じゃねぇ。” と、思い直して居た。
そして、司は、“自分自身を受け入れてもらえるよう頑張れば良いんだ。”と、思い直せて居た。
そして、司は、つくしに言って除けた。
「俺は、お前が俺に眼を向けてくれるだけで御の字だ。
だから、俺だけを見てくれ‼
俺を好きに成ってくれるのはそれからでも良い‼」と…。
その現場を見た滋は、司を諦めなければいけない事を悟ったのだった。
そして、この事が有ってからのつくしは、司に対しての考え方が少しずつ変わって行った。
そして、司を避ける事が無くなった。
他人(ひと)前で、司と一緒に居ても嫌そうな態度を取らなく成った。
まだ、いちゃ付く事は、他人(ひと)前だろうと、何処だろうと、つくしは、苦手の様子だったのだが…。
この様子を見ていたF3は、ほっとしていた。
特に、司の『猛獣遣い』を仰せ遣っていたあきらと総二郎にとっては有難い展開だったのだ。
今では、司の『猛獣遣い』は、つくしに成っていた。
司は、日々、ご満悦なご様子。
誰もが、司の幸せそうな顔に、つくしを崇める事を忘れなかった。
西田に至っては、司が、つくしとの前日の過ごし方によって、司の仕事振りが変わる事に苦慮するくらいで在った。
西田は常に思っていた。
“つくし様、如何か、司様に素直に堕ちて下さいませ。”と…。
楓に至っては、将来の道明寺HDの為に、つくしの存在の重要性を認識する程だった。
また、楓は、今後の道明寺HDの為にも、“つくしを絶対に司から逃がさせまい。”と、誓っているくらいだった。
今日も、『本日の司坊っちゃんは、絶好調‼』と、SPを通じて、西田より、報告を受けている道明寺HD社長 楓で在った。
<7.も、短めで申し訳御座いません。>