お嬢だとしたら…<F4&T4> 10.
そんな時、あきらが総二郎に声を掛けた。
「総二郎、大丈夫か?」
「………」
総二郎の顔色が蒼褪めて来た。
総二郎は何も返答出来ずに居た。
総二郎のこの時の心中は穏やかでは無かった。
“じゃあ、俺はどんなに頑張っても、優紀ちゃんの傍には居れねぇのか?”と…。
総二郎はあきらに言って来た。
「あきら、悪ぃ。
俺、今日帰るわ。」
「総二郎…??」
あきらは、それ以上の事は何も言えずに居た。
総二郎は、今までの自分の行いを、初めて、自分自身に責めていた。
“俺は自分が惚れた女を守って遣る事も、救って遣る事も出来ねぇのか?”と…。
総二郎は、これまでの自分の置かれている状況から、逃げてばかりの人生を反省していた。
今までには考えられない時間に、西門邸に戻って来た総二郎は、塞ぎ込んでいた。
その総二郎の状況に、西門邸に居る誰もが、不思議に思っていた。
だが、様子を見ようと思っていたのは総二郎の母親 家元夫人だった。
だが、総二郎は、この1週間、部屋から出て来ず、部屋に籠っていた。
家元夫人は、何が遭ったのか分からず、総二郎の幼馴染の中で一番、総二郎に近い存在のあきらに連絡を入れていた。
あきらなら、総二郎の此の状況を知っていると推測しての事だった。
「あきらさん、ごめんなさいね。
実は、総二郎の事、何だけど…?
未だに、大学にも行かず、仕事も放棄したままなの。
大学で何が遭ったのか、教えて下さらない?」
「実は、-------------、何です。」
あきらは、全てを総二郎の母親 家元夫人に話しして聞かせた。
家元夫人は驚愕していた。
家元夫人は決心していた。
今度、開催予定の『花咲流 生け花展』の出席の際、花咲流 家元に会って、総二郎を紹介して、総二郎を受け入れてもらえる様に…と。
ところが、当の本人で在る優紀は、生け花展に出展する作品を全て生け終えたと同時に、倒れてしまった。
優紀は、かなりのプレッシャーで圧し潰されそうに成っていたのだった。
取り敢えず、生け花展は、優紀不在のまま、開催する事と成った。
優紀は、安静にする為、親の病院で在る松岡総合病院に入院する事に成った。
その事を、優紀ママを通じて、つくしママから聞いたつくしがLINEで皆に伝えた。
司と類は仕事の為、つくしと桜子と滋とあきらがお見舞いに行く事に成った。
総二郎は『F4&T4LINE』に気付いて居ないだろうと、あきらは察していた。
あきらは、そんな総二郎に連絡を入れた。
「総二郎、優紀ちゃんが倒れた。」
総二郎は、かなり、テンパっていた。
“何が遭ったんだ?”
「桜子が言うには、優紀ちゃんはかなりのプレッシャーで、圧し潰されそうに成っていた
のではないかと…。
如何する?
総二郎、行くか?」
あの自信家の総二郎は、自信を無くしていた。
“あきら、俺が行っても良いと思うか?”
そんな総二郎に、あきらは、諭していた。
「総二郎だけが行くんじゃねぇだろ?
俺等も一緒だろ?」
“ああ、そうだな。
じゃあ、行くわ‼”
「じゃあ、松岡総合病院の地下駐車場で待ち合わせな‼」
で、松岡総合病院の地下駐車場で、見舞いに行くメンバーで待ち合わせをした。
優紀の病室前に着いた。
【コンコン】…つくしが声を掛けた。
「優紀、良い?」
「はい、大丈夫だよ。」
つくしに続いて、桜子、滋が入った。
そして、あきらが入った後、総二郎が申し訳無さそうに入った。
そして、総二郎が優紀に声を掛けた。
「優紀ちゃん…?」
「………」
優紀は声を発せなかった。
<10.も、短めで申し訳御座いません。>