有り得ないっつーの‼…<つかつく> 3.
<つくしside・回想>
私が、日本で、お世話になっていた弁護士事務所は、関西に在った。
東京に居るのは、英徳大学に居た時に懲りていた。
道明寺の残像ばかり…。
瞼を閉じて居ても、見えてくる。
だから、東京を離れる事にした。
英徳大学の授業料を(4年分、道明寺が一括で支払ってくれて居たらしく)、返すべきか悩んだが、其処までしたら、道明寺との思い出が汚れた(けがれた)ものに成りそうで怖くて出来なかった。
だから、心の中で、“慰謝料代わりに受け取って於くね‼”と、言って於いた。
道明寺には聞こえて無いし、了承もされてないけど…。
そんな私は、偶に、思い出す。
道明寺との5年間を…。
一緒に居れた日々は短かったけど…ね。
<司side・回想>
あれから、俺は、ゴシップ誌に、“有り得ねぇ(ない)っつーの‼”と、言いたく成る様な記事を掲載され、NYで噂の的に成っていた。
如何も、知らねぇ間に婚約者と成っていた女が、ゴシップ誌に婚約破棄と企業倒産に追い込まれた理由を聞かれ、“有り得ねぇ(ない)っつーの‼”と、言いたく成る様な話しを、ゴシップ誌に暴露しやがった。
其の記事の内容が、ゴシップ誌に掲載された。
其のタイトル名だけでも、俺は、“はぁ~??”と、成った。
【『道明寺司 氏』の闇…。
実は、女性嫌いで、女性に靡かない。
ゲイを隠していた。】
俺にとっては、『寝耳に水』状態だった事は、言うまでもねぇ。
だが、俺は考えた。
敢えて、否定しなかった。
そう言われて居る方が、女が寄って来ない事を悟ったからだった。
俺が、“『ゲイ』かも知れない。”と、あいつ等 F3まで、疑われてしまったが…。
婚約者と成っていた女がした事は、用意周到で、有難い事に、“お陰で…。”と、俺は、言いたく成った。
所謂、幼馴染で親友のF3にまで疑われた俺だったという事だ。
詳細を伝えると、『司らしい』と、言われた。
ゴシップ誌の件は、俺に取っちゃあ、まあ、如何でも良いけどよ。
実は、婚約者とされた女が、ゴシップ誌に情報提供した理由は、ババアと、ババアが政略結婚を目論んでいた相手企業の親との約束事が理由だったらしい。
ババア と 政略結婚を目論んでいた相手企業の親との間では、俺 と ババアが、交わした『誓約書』の件は、了承していたらしい。
だから、俺が、婚約者とされた女に会えば…。
ババアが政略結婚を目論んでいた相手企業の親は、何れ、俺の方から、折れて来ると思っていたらしい。
だから、俺が提示した『誓約書』の件については、婚約者とされた女にも、親から説得されていたらしい。
其れも…。
【俺の婚約者として、世間では、認知させるという事…。
其の期間は、長くとも、3年迄…。
遅くとも、其の3年の間に、結婚式を済ます事…。】
という事が、ババアと、ババアが政略結婚を目論んでいた相手企業の親との約束事だったらしい。
だが、俺自体が、一切、折れなかったし…。
婚約者とされた女に、俺から靡く事は、無かった。
其の事が、婚約者とされた女にとって、許せなかったらしい。
だから、莫大な慰謝料に成ったとの事だった。
所謂、婚約者とされた女の自尊心を、滅茶苦茶にしたのは、俺だそうだ。
だが、俺にとって、もっと、驚愕した事が有ったから、此のゴシップ誌の件は、其れ程、気に成る事は無かった。
今思えば…。
ゴシップ誌の件は、“其れで良い。”と、思っていたからかも知れねぇな。
ゴシップ誌の件よりも、ババアに対して、俺を怒らせた事は…。
ババアが、俺と別れる様、牧野に強要した内容が、『(今回で、2回目では在るが)親父が倒れた。』と、牧野に嘘の情報を伝えたと言う事だった。
“有り得ねぇ(ない)っつーの‼” だろ⁉
元気に成って、仕事をして居る親父を勝手に倒れた事にするとは…。
少なくとも、親父の妻で在る ババアがするべき事案じゃねぇだろ⁉
其の時のババアはして遣ったりだっただろうが…。
牧野大好き姉ちゃんに、此の事がバレてしまえば、簡単に、親父に話しは伝わり、親父の有り得ねぇくれぇの雷がババアに堕ち、震え上がったババアは、“再起出来ねぇ程、落ち込んでいる‼”と、姉ちゃんから聞いた。
俺は、ババアが住居にして居る、NYの(道明寺)邸には、一切、帰らず…。
ペントハウスに住居を置いて居るので、俺には、ババアの様子は、分からねぇ。
だから、例え、姉ちゃんから、ババアの様子を聞こうが、ババアが、意気消沈している等と、信じられずに居た。
だからって、様子を見に行こうとも、思わねぇが…な。
其れに、俺にとって、そんな事よりも…。
俺は、そんな事の為に、牧野と別れ、仕事にだけ精を出し、後は、生きた屍状態で居るというのか…⁉
其れこそ、“有り得ねぇ(ない)っつーの‼” だろ⁉
で、親父から言われた言葉に俺は驚愕した。
まさか、親父がそんな事を言ってくれるとは思わずに居たのだから…。
「牧野さんと一緒に遣って行きたいなら、日本に帰国するか?」
だが、俺は親父の厚意を無にする様だったが…。
このまま、日本に帰国しても牧野は喜んでくれねぇと思ったので、敢えて、NYに残る事を、親父に伝えた。
「否、このまま、日本に帰国しても、牧野に怒られるだけだから…。
最後まで遣り抜いて、牧野を迎えに行くわ。」
「そうか。
司、お前、大人に成ったな。
牧野さんが大人にしてくれたんだろうな。」
それは間違いねぇだろうから、親父に同調して於いた。
「そうだろうな。
あいつが居なかったら、俺は今頃、どんな大人に成ってたんだろうな。
最悪な大人に成ってただろうな。」
親父も、俺に賛同してきやがった。
其処は、親らしく、一応は、“否定しろよ‼”と、俺は、親父に言いたく成った。
「それは、間違いないだろうな。
一日でも早く牧野さんを迎えに行ける様に頑張りなさい。」
「ああ。」
俺は、“産まれて初めて、親としての親父と接する事が出来た‼”と、牧野に感謝していた。