慕情そして恋情…<つかつく> 1.
<翼side>
俺は、牧野翼 13歳 中学2年 区立中学に通っている。
俺の家族は、母親の牧野つくし・祖父ちゃんの牧野晴夫・祖母ちゃんの牧野千恵子・そして、母ちゃんの弟の牧野進。
俺は、叔父で有る母ちゃんの弟の事を、進兄ちゃんと呼んでいる。
進兄ちゃんが、俺にとっては、俺の父親代わりの様な、兄貴の様な存在。
進兄ちゃんが中学生の頃に俺が生まれたらしくて、“遅れ来た弟の様な存在だ。”と、言ってくれている。
母ちゃんは、大学に通って、バイトを掛け持ちして、俺を育てながら、弁護士資格を取得して、女性専門弁護士事務所に在籍して、今や、事務所のエース弁護士とまで言われているらしい。
俺は、母ちゃんが誇らしい。
また、進兄ちゃんは、某製薬会社の主任研究員をして居る。
母ちゃんも進兄ちゃんも優秀過ぎて、後退りしそうだけど、負けずに俺も将来は頑張りたいと思っている。
俺の将来の夢は、世界を舞台に活躍出来る様なグローバルな人間になりたいと思っているんだ。
俺の夢は、壮大な夢過ぎて、難しいとは思っているが、母ちゃんも進兄ちゃんも夢を叶えたって言って居るから、俺も頑張りたい。
本当に心から成れたら良いなと、そう思っている。
この夢の事は、母ちゃんは知らないが、進兄ちゃんには話ししている。
母ちゃんに俺のこの夢の話しをすると、“絶対、悲しむぞ‼”と、進兄ちゃんから脅されている。
そんな時の日曜日、母ちゃんが仕事で、居なかったのも有ったんだろうけど、進兄ちゃんと、一緒に居る時、不意に、父さんの事を訊かれた。
「なあ、翼。
やっぱり、父親の事は気に成るか?」
「気に成らないって言ったら嘘に成ると思うけど…⁉
母ちゃんが俺に何も言いたくないって事は、それなりの意味が有ると思うから…。
俺が大学生くらいに成ったら、訊き出そうかなって、思って居たのは、事実だけ
ど…。」
進兄ちゃんは、少し、考えてから、話し始めた。
「姉ちゃんが、翼の父親の事を話さないのは、俺が思うに、多分だけど、翼を見てるから
だと思うぞ。」
「それって、如何いう意味?」
「翼は父親に、瓜二つ何だよ。
瓜二つ処じゃないな。
容姿に至っては、体格も、体系も全てが、そっくり何だよ。」
「進兄ちゃんは、俺の父さんの事、知ってるの?」
「知ってるってもんじゃないよ。
知り過ぎてるよ。」
「どんな人だった?」
「う~ん、そうだな。
翼は容姿は兄さん似だけど、中身は姉ちゃん似だよ。
兄さんの性格は、簡単に言うと、『俺様』‼
でも、姉ちゃんの前では、『主人に服従な犬』って感じかな(笑)。」
「『犬』って…⤵。」
「嫌ぁ~。
此れは、俺が言ってんじゃないよ。
兄さんと姉ちゃんの親友達が言ってた言葉だよ。」
「その、親友の人達って、今、何処に居るの?」
「姉ちゃんが疎遠にしたから…な。」
進兄ちゃんは、歯切れが悪そうに喋ってた。
「それまで、住んで居たアパートも引っ越したし…。
なぁ、翼‼
兄さんを恨むなよ‼
こう成ったのは、仕方なかったんだよ。」
俺は、そろそろ、確信が訊ける様な気がしてた。
「それって、如何いう意味?」
「事故のせい何だよ、こう成ってしまったのは…。
兄さんと姉ちゃんが決意した証だったんだよ、翼は…。」
俺は、進兄ちゃんが俺に伝えたいと思ってくれている意味が全く理解する事が出来ず、首を捻る事しか出来なかった。
だけど、進兄ちゃんの顔が苦しそうに、歪んでいくのを見ると、父さんと母ちゃんの間には、唯ならぬ事件が有ったんだろう事だけは推測出来た。
そんな状態でも、俺を生んでくれた母ちゃんには感謝の言葉しかなかった。