飲み過ぎた後は…<総優> 前編
<忘年会seasonが、到来して来ました。
忘年会seasonに合わせて、お酒に纏わる小話です。
短編ですが…。
楽しんで下されば、幸いです。>
<一部の表現に不快にで有ろう箇所が有ります。
お詫びします。>
<総二郎side>
俺は、偶に思い出す。
あの時、俺の前から居なく成ったあいつの事を…。
本当は、手放したくなかった。
だが、手放して遣った方が…。
俺なんかより他の男の方が…。
『ぜってぇ、あいつは幸せに成る』と、俺はあの頃、思ってんだよな⁉
何故、そう思ったんだ?
何故、手放したんだ?
俺は、後悔しかなかった。
俺は、あの頃から、未だに、『ちゃらんぽらん』総二郎は続けて居た。
あいつを手放してから、あいつの代わりに…。
誰かに『暖めて欲しくて…‼』、女を求めた。
だが、一向に、暖まる事はねぇ…。
其れ処か、却って虚しさが残るだけだった。
だからだろうか?
ここ最近、高校の頃のあいつが、夢に出て来る事が多くなって来ていた。
そう思っていた時だった。
俺は、バーで誘った初めて会った女と、腕を組まれながら一緒に歩いていた。
その眼の前で、繰り広げられている男女の一悶着に見入ってしまい、身体が動かなかった。
否、瞳(め)が、その男女から離れなかった。
その一悶着の男女の内の女の方は…。
そう、俺が、恋焦がれて止まねぇ、あいつだったのだ。
俺は、腕を組んで居る女の腕から、己の腕を引き抜き、その場を取り繕う様に、女に言って除けていた。
「西門君、如何したの?」
「否、悪ぃ‼
用を思い出した。
此処で、終わりにしてくれ‼」
女もそう簡単には引き下がらねぇ‼
「誘って来たのは、西門君の方だよね?」
「でも、誘って欲しそうにしてたのは、君だよね?
悪ぃが、もうねぇよ‼」
「………、それ、如何言う意味??」
女は、顔を真っ赤にして、怒り出した。
俺は、言って除けていた。
「そのままの意味っ‼
君に興味が無く成ったって訳っ‼」
「それは、無いでしょ?」
「………」
そう言って、俺の頬を叩こうとして来たが、それを上手く避ける様にして、俺は、無言で、その場を後にした。
俺には、そんな興味ねぇ女より、俺が、恋焦がれて止まねぇ女が目の前にいるんだ。
何の興味もねぇ、唯のヤる為の女より、俺の身も心も暖めてくれる女の方が大切なんだっつーの‼
今、あいつを救わねぇと、俺が後悔すんだよ‼
俺は、迷わず、あいつの下まで歩いて行った。
俺が、もう、後悔しなくて済む様に…。
誰の手にも、あいつを渡さねぇ為にも…。
何より、俺の為に…。
俺は、あいつの下に…向かった。