出会ってしまった…<つかつく> 3.
<楓side>
私(わたくし)は、最大手の日本企業である、或る企業との提携を目論んでいた。
其の日本企業が持って居る特許取得寸前の製品を道明寺HDでも使用可能にする為だ。
その製品が使用可能に成れば、道明寺HDは、莫大な利益を得る事に成る。
司との政略結婚に繋げれば、話しは簡単だが…。
実は、相手企業のお子さんは、息子さんばかり…。
話しは、そう簡単に、『コト』は運びそうに無かった。
仕方なく、慎重に話しを進めるより他無かった。
ところが、4月初旬頃に先方企業より、“提携の話しを進めたい。”と、連絡を入れて来た。
司を連れて、日本に帰国し、提携を此方(道明寺HD)側に優位に立てる様、話しを進めるべく、綿密に打ち合わせを熟していた。
そして、提携に関しての打ち合わせの日が遣って来た。
其処で相手企業より言われた言葉に驚愕するしかなかった。
何故なら、此方sideの思惑と、全く違う方向からの相手企業の打診に驚愕しか無かったのだった。
<司side>
俺は、NYに戻った後、数日で、また、“日本に帰国する様に…。”と、ババアの秘書から報告が有ったと、西田から伝えられた。
「司様、社長の秘書より、日本への帰国を打診されております。
半年前より、提携を打診しております日本企業から、提携についての連絡が入った様で
す。
社長より、司様に同行する様にとの連絡でございますが、了承をお伝えして宜しかった
でしょうか?」
「ババアに…。
“俺は、NYに帰って来たばっかだぞ‼
また、折り返しかよ‼
いい加減にしろよ、ババアっ‼”って、言って於け‼」
西田は、怪訝な顔をしていたが、取り敢えず、何も言わず、俺の執務室を出て行った。
俺は、“日本に帰国するなら、また、あの女に会えるよな‼”と、内心、ほくそ笑んでいる自分自身が居る事に…。
俺は、俺自身に驚愕しか無かった。
<楓side>
日本に帰国して、相手企業との打ち合わせの為、メープルで打ち合わせする事に成っていた。
「ご足労をお掛けして申し訳御座いません。」
「いいえ、此方こそ…。
NYから、態々帰国して下さり、有難うございます。」
私(わたくし)は、今までの相手企業の弊社への対応の違いに、怪訝さが隠せなかった。
実は、相手企業は、道明寺HDの提携話に難色を示していたのだ。
それが、打って変わって、相手企業の対応が軟化して居るのだ。
私(わたくし)が怪訝に成るのも、誰もが頷けるというものだった。
<司side>
行き成り言われた相手企業の言葉に、俺は、面食らってしまっていた。
「御社の新入社員の中に『牧野つくし』さんがいらっしゃいますね?」
俺は、怪訝さを拭えなかった。
「ええ、居ますが…。
何故、うち(道明寺HD)の『牧野』をご存知なのでしょうか?」
「ええ、私の母が助けて頂いたんですよ‼」
俺は、“如何言う意味だ‼”と、言う様な顔付きにでも成って居たのだろうか?
先方は、慌てて、話しを続け出した。
「私の母が、路上で、動けなく成って蹲って居た所に、牧野さんが通り掛かられた様で
して…。
何方もスルーされ、見て見ぬ振りをされる中、急いでいらっしゃる様子でしたが…。
態々、救急車を呼んで下さり、病院まで同乗して、母を救ってくれたそうです。」
先方は、一旦、話しを止めて、俺とババアを見詰めていた。
「意識を回復した母が後でお礼をすべく、牧野さんに名前とTEL番号を聞こうと思ってい
た様ですが…。
牧野さんが警察官と話しをして居る会話を小耳に挟んだ様で、お礼を牧野さんに伝えて
欲しいと、母から言付かったんです。
それで、母から、その『牧野』さんの名前と、勤めて居られる企業名を確認して…。
成らば、牧野さんを弊社の担当者に据え置いてもらって、企業としてお付き合いさせて
もらった方が、牧野さんの株は上がるのではないかと、思ったんですよ。」
俺とババアは驚愕していた。
実は、あの入社式の後、NYに戻った俺は、『牧野つくし』の履歴書をPCのファイルから呼び出し、履歴書を確認していた。
そして、確認した俺は、あきらに連絡して、『牧野つくし』に関しての情報を聞き出していた。
~~【あきらからの情報…。】
*英徳大学 経営学部のF3の1年後輩で、三条の1年先輩
*特待生制度で入学して来た才女。
*総二郎曰く、『勤労処女』らしい。
所謂、大学生の間、勉学の傍ら、バイトに明け暮れていた日々だったらしい。
*F3の中でも、類が牧野と一番仲が良い。
何時(いつ)も、一緒にF4ラウンジに居た。
あきら曰く…。
“如何も、いつも、類が牧野を呼び出していた様子だった。”との事だった。 ~~
って、事は、類は、牧野の事が好きなのか?
“それでも良い‼”と、俺は、何故か、そう思って居た。
その時は、まだ、俺自身、俺の牧野への気持ちに気付いて居なかったが…。
俺は、“ぜってぇ、牧野を俺に振り向かせる‼”と、何故か誓っていた。