馬鹿だよな、俺…<総優> 6.
<あきらside>
俺の下に、総二郎の弟の巧三から、連絡が入った。
滅多に連絡を寄越さねぇ、巧三からの連絡に、俺は、面食らった。
“あきらさん、お久し振りです。”
「へぇ~、久し振りだな、巧三。」
“はいっ‼”
「如何したんだ、俺に連絡寄越すだ何て…?」
“あきらさん、聞いても良いですか?”
「何を…だ?」
“はいっ‼
兄さんの事なんですが…?”
「総二郎の事か…?
何か、有ったんか?」
“ええ、兄さんが、父さんに飛んでも無い事を言い出したので…。
あきらさんなら、何か知ってるんじゃないかと思って…⁉”
「何を言い出したんだ?」
俺は、見当は着いて居たが、巧三に言わせていた。
“「次期家元の座を巧三に託す‼」と…。”
「はぁ~??」
俺は、見当違いだった事に驚愕していた。
てっきり、優紀ちゃんの事を、総二郎は、言ったのかと、思っていた。
「で、巧三は如何答えたんだ?」
“如何答えたも何も、俺が西門流を引き継ぐ訳、無いですよ。
だって、兄さんは、茶の世界でしか、生きてはいけない人でしょ?
それは、俺だけじゃなく、父さんも母さんも、兄さん自身でさえも、認めている所で
しょ?
そんな兄さんが、次期家元の座を俺に託すと言い出すのは、余程の事が無ければ、普
通、言わない筈ですよね?
兄さんに何が有ったんですか?”
俺は、巧三が、大学生に成った一人の大人の男に対して…。
例え、総二郎の弟だとしても、大人扱いをするのが当然だろうと思っていた。
だが、この事を、総二郎の了承無しで、総二郎の弟で在る巧三に言うのも、気が引けるのは、俺にとっては当然の事だった。
“如何すれば、良いのか?”と、俺は、悩んでいた。
そして、咄嗟に、口から出て居た言葉は、総二郎に言わせる事だった。
「巧三、今、何処に居る?」
“(西門)邸ですが…?”
「総二郎は…?」
“多分、自分の部屋に閉じ籠っていると、思いますが…?”
「分かった。
今から、そっち(西門邸)に向かう。
総二郎と共に話ししよう‼」
“はい、分かりました。
有難うございます。”
こうして、俺は、西門邸に向かった。
<総二郎side>
巧三があきらを呼んだらしかった。
で、(西門)邸に…と、言う寄り、俺の部屋に、あきらと巧三が入って来た。
「総二郎、居るんだろ?
入るぞ‼」
「ああ、構わねぇよ。
………。
何で、巧三まで…?」
「巧三が、お前の変わり様に心配してるらしくて…な。
総二郎の現状を俺に聞いて来たんだよ‼
だから、本人から聞く方が良いと思って…な?」
“また、あきらは、余計なお節介を…‼”と…。
俺は、そう思っていた。
「巧三、聞きたい事が有るんだろ?
総二郎に聞けよ…。
俺が居るから、大丈夫だろ?」
巧三は、一瞬、深呼吸をする様な仕草をしてから 話しし始めた。
「まぁ、そうですね⁉
………。
兄さん、この間も、聞いたけど…?
一体、何が兄さんに有ったの?
兄さんが、茶の世界を見限ろうとしてるのは、余程の事が有ったんだよね?」
俺は、見限ろうとはしてねぇんだけど…な。
俺は、本当は、溜息しか出ない状況で有ったのだ。
「はぁ~⤵。
あきら、覚えて於けよ(笑)⁉」
あきらは、心外とでも言う様に、俺に言葉を返して来た。
「はぁ~??
如何いう意味だよ‼」
「余計なお世話なんだよ(笑)‼」
「………」
俺は、笑いながら、あきらに言ったつもりだったが、あきらは、何も応えなかった。
「俺は、愛してる『女』さえも、幸せに出来ねぇ、碌でもねぇ男なんだよ‼」
巧三は、驚愕しながらも、俺に聞いて来た。
「はぁ~??
それって、如何いう意味?」
俺の言葉に上乗せするが如く、あきらが言って除けていた。
「巧三、まあ、総二郎の言葉は、分かり難いけど…な。
所謂、総二郎は、愛してる女を手放したんだ‼」
「はぁ~??
兄さんに本気で愛してる女性が居たって事…?」
「そう言う事だ‼」
そう言いながらも、俺はふらふらしながら、立ち上がり、例の物を入れた箱を持って来て、あきらと巧三に見せて居た。