馬鹿だよな、俺…<総優> 7.
<総二郎side>
そう言いながらも、俺はふらふらしながら、立ち上がり、例の物を入れた箱を持って来て、あきらと巧三に見せた。
「俺のパンドラの箱‼」
あきらと巧三は、同時に、驚愕の声が出た。
「「………、はぁ~??」」
俺は、あきらに開ける様に手渡した。
あきらは、恐る恐る、箱を開けていた。
「総二郎、此れは…?」
「ああ…?
1年半程前に俺のマンションに優紀が置いて行った手紙…。
と、俺が、優紀の為に、買って遣った俺からのプレゼント‼
と、俺が優紀に渡していた俺のマンションのスペアキー…。
キーホルダーも色違いのお揃いにして居た。
ほらっ‼」
俺は、お揃いのキーホルダーが着いた二つのキーをあきらと巧三に見せていた。
また、箱の中には、無造作に乱雑に、俺から優紀へのプレゼントの代物は入っていた。
あきらと巧三は、驚愕で、言葉も出ねぇ様子だった。
「優紀からの手紙、読んでも良いぞ‼」
「良いのか?」
と、あきらは、言いながら、恐る恐る、手紙を封筒から出し、手紙を広げていた。
【~~優紀の置き手紙…。
『西門さんへ
4年間、有難う御座いました。
私は、もう直ぐ大学4年に成るので、就職活動も本格的に成る中、皆さんとは、一緒
には居られなく成ります。
此れを機に、西門さんとも、会う事無く終わりにしたいと、思います。
付き合っても居なかったので、終わりにすると言うのは変ですが…。
此の4年間、私の我儘で一緒に居て下さって、有難う御座いました。
もう、付き纏う事は有りません。
如何か、お幸せに成って下さいね。
優紀』~~】
手紙には、手紙に零れ落ちた俺の涙のシミの後…が、残っていた。
其れを見たあきらは、尚も、驚愕していた。
読み終えたあきらは、俺の方を向いて、何も言わず、俺を見詰めていた。
俺は、何度も、優紀の手紙を読んだので、フレーズを暗記している程だった。
そして、俺が優紀に遣ったプレゼントを見たあきらは、“お前は、何遣ってんだ…⁉”と、でも、言いた気に、俺を見ていた。
全く、その通り何だから、“何を言われても仕方ねぇよな…‼”と、俺は、思って居た。
「総二郎、お前さ、鎖の様なこの指輪やネックレス…。
優紀ちゃんを束縛してるって、誰が見ても分かる様なプレゼントを…。
優紀ちゃんにこんなに沢山してるのに…。
良くもまあ、俺等に、“付き合ってねぇ‼”って、言えたよな⁉」
「………」
俺は、何も言う事が出来ずに居た。
あきらは、尚も、続けて、俺に嫌味を言って来た。
「お前、こんなに優紀ちゃんに指輪やネックレスをプレゼントしてるって…⁉
それに、このマンションのスペアキー、何だよ⁉
まさか、優紀ちゃんとそう言う関係だったって事はねぇだろうな?」
「………」
俺は、図星を付かれて、何も言えずに居た。
そんな俺の顔付きを見たあきらは、ため息交じりに言葉を言って来た。
「お前なぁ~。
そりゃあ、自業自得だろ⁉」
「………」
俺は、もう、何も反論する事も出来ずに居た。
弟(巧三)からは、ジト目で見られる兄貴(総二郎)って…。
情けねぇ…。
何が、弟の前では、『格好良い兄貴で居る』だよな…⁉
其れから、2週間が経ったある日、あきらが俺に会いに来た。
「総二郎、此のゴシップ誌、見ろよ‼」
俺は、あきらからゴシップ誌を受け取り、あきらに言われるがまま、ゴシップ誌を見て、俺は驚愕した。
更に、綺麗に変身した優紀が、其処には居た。
“俺の傍に居なかったのに…。
何故、優紀は、こんなに綺麗に成って遣がんだ‼
どいつが、優紀を綺麗にしたんだ⁉”
と、嫉妬で心が苦しく成っていた。
で、優紀が、ゴシップ誌に掲載されている内容に俺は、更に驚愕していた。
<優紀side>
私は、NYで、英語翻訳士として、映画等の字幕の翻訳の仕事をさせてもらっていた。
其の仕事が、皆様から認めて頂き、先生より、“日本での仕事の依頼が舞い込んで来た‼”と、話しが有った。
私は、悩んだ。
日本に帰れば、私が、子供を産んで居た事がバレるかも知れない。
バレた時は、『優一郎』が、私から、引き剥がされるかも知れない…⁉
そんな事に成れば、私は、生きて行く糧を失う…かも知れない⁉
不安で居た私に、先生から言われた一言に、私は、打ち拉がれていた。