出会ってしまった…<つかつく> 11.
<つくしside>
リムジンは、先方企業のビルの地下駐車場に着いた。
そして、私は、リムジンから、下りる寸前のリムジンの車内で、専務から一言、言われてしまった。
「先方から、先方の息子と牧野との見合いを、うち(道明寺HD)で、“執り為して欲し
い。”と、言われている。
お前の様な、優秀な社員を手放すつもりは毛頭ねぇ‼
だから、先方には、“牧野は、俺の恋人だ‼”と、伝えてある。
そのつもりで居ろ‼
良いな‼
決して、余計な事は、先方には言うな‼
言えば、お前は、結婚させられるぞ‼」
「………」
飛んでも無い事を言われてしまった私は、驚愕の余り、言葉を出す事も出来ず、頷く事だけしか出来なかった。
其れを了承と見做した専務は、私に頷いて見せていた。
<司side>
俺は、脅しに近ぇ様な口振りで、牧野に伝えた。
そうでも言わなければ、超が付く程の生真面目人間の牧野は、先方の言葉に、否定しねぇとも限らねぇ‼
何時(いつ)、俺が先方にその事を伝えたかを知れば、牧野は、怒る(イカる)かも知れねぇが、正当な理由を言えば、牧野は納得すると、俺は、踏んでいた。
だから、本当の意味合いは違ぇが…。
まあ、この際、その辺は如何でも良い…。
取り敢えず、牧野が、納得すりゃあ良いんだから…な。
そして、牧野は、世間では、俺の第2秘書だが…。
牧野は、うち(道明寺HD)にとっては、即戦力と成る。
まあ、勿論、俺がフォローして遣らねば成らねぇが…。
<つくしside>
先方の会長の執務室に通された専務と西田常務と私…。
通されるや否や、あの時の老婦人が、私に近付いて来て、私は、『hug』をされてしまった。
そして、私にお礼を言って下さった。
「あの時は、助けて下さって有難う‼
お陰で、少しの入院で、私(わたくし)は、助かったのよ。
感謝しています。」
「そんな、大げさです。
当たり前の事をしたつもりですので…。」
「現在の世の中は、悲しい事だとは思うけど…。
その当り前の事を見て見ぬ振りをする世の中なのよ‼
だから、貴女の心の綺麗さに感動したのよ。
本当はね、義理でも良いから、私(わたくし)の本当の孫に成って欲しかったの?
私(わたくし)の傍に居て欲しくてね‼
でも、先約が居らしたのね⁉」
「………」
私は、如何答えたら良いのか?…。
迷ってしまって、応えられずに居た。
そんな時だった。
専務が私の代わりに応えていた。
<司side>
俺は、牧野が答えられない様子だったので、間髪入れずに、牧野の代わりに返答して遣った。
やっぱり、その話しをして来たかと…。
まるで、牧野に探りを入れて居る様にも思えた。
「申し訳ありません。
その先約が私の様な人間で…。」
嫌味っぽく、言って遣った。
「牧野さんが、幸せに成るなら、何方でも良いのよ‼
私は、牧野さんの幸せを一番に考えてくれる方と一緒に成って頂きたいの‼」
「その件に関しては、心配に及びません。
私が、幸せに致しますので…。」
「あら、頼もしいわね‼
宜しくお願い致しますわね。」
「はい、承知しました。」
確実に、俺がどんな反応をするのか?
探りを入れて来て居るのが、俺には、分かった。
どんな言葉を言って来るのか?
先方は、じーっと、俺の反応を観察していた。
だから、俺は、本音で応えて遣った。
牧野は、勿論、驚愕気味だったが…。
<11.も、短めで申し訳御座いません。>