1season女…<あき桜> 3.
<あきらside>
類が、此処(メープルのラウンジのVIPルーム)に入って来る成り、不思議そうな顔をしてやがる。
で、類は、何か珍しい物でも見た時の様な顔で、口を開いて来た。
「へぇ~?
珍しい物、見たよ?」
俺は、類が、何を言ってるのか、意味さえ掴めて居なかった。
だから、俺は、きょっとんとして居たのだろう?
俺は、素っ頓狂な声が出てしまった。
「何の事だ?」
類は、躊躇わず、俺に言い返して来た。
「今の此の状況…?」
類の言葉に、俺だけじゃなく、桜子も反応していた。
「「はぁ~??」」
俺と桜子は、同時に声が出ていた。
桜子は、驚愕して居るのだろう?
普段、桜子の口から聞いた事のねぇ、タメ語に成ってやがる。
で、類が、間髪入れずに、俺と桜子に反応して来た。
「ほら…?
息、ピッタリじゃん‼」
「「………」」
俺と桜子は、何も、言えなかった。
其処に、滋が入って来て、この話しは、有耶無耶に終わった。
だが、其れからの俺は、桜子の事が気に成っていた。
何故か…?
その疑問に気付いた俺は、しっかり、瞳(め)は、桜子だけを追っていた。
そんな俺を類はしっかり見て居たみてぇだった。
<桜子side>
確かに、花沢さんの仰る通り…。
美作さんに対する、私の味方は、変わったかも知れない。
でも、その事を露骨に指摘されて、気に成らない訳が無い。
如何してか…?
私の瞳(め)が、自然と、美作さんに向かって居る自分自身に、驚愕するしかなかった。
美作さんとご一緒して居て、居心地良かったのは…確か。
でも、其れが、如何して…?
花沢さんの仰った…。
『珍しい物、見たよ?』に、繋がるのか?
私は、不思議で成らなかった。
そう、思って居る時に…滋さんが、私に指摘して来た。
「桜子…?
何か、有った…?
今日は、いつもと、この場の雰囲気が、何~か、違うんだよね?
桜子の雰囲気って言うのかな?
何なんだろう?」
滋さんのその言葉に、さっきまで、ソファに寝転んでいた花沢さんが、のこっと起きて来て、笑い出した。
しかも、あの花沢さんが、お腹を抱えて笑い出す何て…。
「あははははっ‼
でしょ(笑)?」
こんなに、感情のままに笑い出す花沢さんを見る事も、“珍しい‼”と、私は、思って居た。
いつもは、失笑(?) or 苦笑…?
そんな感じだったから…。
いつもの花沢さんは、クスクス…と、笑う感じ?…だった。
だからだったのだろう?
滋さんは、尚も、首を傾げて、花沢さんの対応に不思議そうにして見て居る。
「類君、如何したの?
ほんとに、何か、有ったの?」
「否、そうじゃないけどね?
総二郎と言い、あきらと言い…?
まあ、“そろそろ、年貢の納め時…?”って、やつかな?」
美作さんを見たら…?
驚愕顔に成っていた。
美作さんは、仕舞いには、花沢さんを睨み出して居た。
<あきらside>
俺は、類の言葉に、類を睨み付けて遣った。
何を言い出すのか…?
この男は…?
だが、確かに、桜子が、気に成るのは、俺自身、嘘じゃねぇ事は、否めない。
だからって、類の野郎‼
本人の前で、何を言い出してんだ⁉
俺は、苦笑いするしか無かった此の状況が、居た堪れずに居た。
其処に、俺にとっては、良い援軍とでもいうべき友…⁉
総二郎が、優紀ちゃんと共に、VIPルームに入って来た。
だが、俺の気持ちとは余所に、類は、総二郎に目で合図を送って居やがった。
総二郎は、何の事なのか?
分かって居ねぇ状態だったのに…。
類が、目配せだけじゃなく…。
口で、顔付きで、顎で、総二郎に合図を送るって…。
俺にとっては、如何言う仕打ちだよ?
俺は、更に、この場が、居た堪れなく成っていた。