再び…<総優> 1.
<総二郎side>
西門総二郎…26歳 西門流 次期家元
俺は、大学卒業後も、未だに、『女たらし』は、止めれなかった。
“身体の寂しさから…。”と、言うのは、言うまでもねぇ。
あきらは、大学卒業と同時に、“『マダムキラー』を引退した。”とは、聞いて居た。
こんな俺は…。
やっぱり、如何しようもねぇのかも知れねぇ…な⁉
そう思って居た時…。
俺は、一人、ふらっと、昔馴染みのバーに入ってみた。
其のバーで、この俺は、驚愕してしまった。
其のバーのカウンターは、U字カウンターに成って居る。
俺は、其のバーの扉を開けた瞬間、“あっ⁉”と、成った。
扉を開けた目の前のカウンターに、昔、見慣れた女の顔が其処に居た。
余りにも突然過ぎて…。
俺は、一瞬、動く事が出来なかった。
其の女とは…?
俺等が、高校だった頃に、非情にも、俺が振った女だった。
忘れもしねぇ…‼
俺の身体にへばり付く様に、感覚を忘れさせる事をさねぇ女だった。
いつも、此の感覚を探し求めるけど…。
同じ感覚を思い出させる女は、一人として居ねぇ…⁉
やっぱり、此の女以外は…⁉
『此処で会ったが百年目』…‼
悪ぃな‼
俺は、もう、逃がさねぇよ‼
<優紀side>
私は、仕事帰りに、有るバーに、仕事仲間の同期に連れて来られていた。
お酒は、余り、得意ではない。
その事を知っている同期だから…。
“偶には、良いか⁉”って、就いて来てしまったのが、『運の尽き』だった。
同期は、扉が開いた瞬間、入って来た人に興奮気味だった。
後で、聞かされて、驚愕したのだが…。
同期に連れて来られた其のバーとは、私が、昔、知っている人が、“ちょくちょく現れるバーだったらしいよ。”との事だった。
「ちょっと、優紀…。
あの人、F4の西門総二郎じゃない⁉」
私は、同期の方を向いて喋っていたので、入って来た人を見て居なかった。
私は、同期に言われ、何気に、扉の方に振り向いた。
そして、私だけじゃなく、その人も…。
お互いが、驚愕しているのが、分かった。
そして、私達の座るカウンターの傍にその人は、近付いて来た。
同期は、更に、興奮気味だった。
「ちょっと、私達の方に近付いて来るわよ‼
もしかして、気に入られたのかしら⁉」
「それは、無いんじゃないの?」
私が、さらりと言ったもんだから…。
同期は呆気に取られていた様子だった。
「ちょっと、西門総二郎…よ‼
興味無いの?」
「………」
私は、答え様も無く、無言だった。
其処に、その人は、私の傍まで来て、私の腕を行き成り掴んだ。
そして、とんでもない言葉を同期の前で…。
ううん、お店の注目を浴びる様な言葉を私に話した。
「優紀ちゃん、久し振りだな‼
綺麗に成ったな‼」
「………」
私を見詰めながら、そう言われて、私は、俯きながら、何も言えずに居た。
そして、同期に向かって、言って除けていた。
「悪ぃが、優紀ちゃんをこのまま、連れて行くから…。
良いかな?」
同期は、“うん、うん。”と、首を上下に振る事しか出来ない様子だった。
「友達も、了承してくれたから、優紀ちゃん、一緒に来てくれるか?」
そう言われて、握られていた腕を、そのまま引き上げ、私は、立ち上がらされていた。
私の荷物のカバンを持ち上げ、一言、言われた。
「これ、優紀ちゃんのカバン…⁉」
「………」
私は、何も、答える事が出来ず、頷くだけだった。
そして、西門さんは、さらっと、此処の支払いの為のお金(私は幾らかは見えて居なかったが…?)を、同期の目の前のカウンターの上に置いて居るのが、横目で見えた。
そして、私は、同期に首を傾げただけで、無理矢理に近い形で、此のバーを連れ出された。
それは、あっという間の出来事だった。