一方通行の恋…<つかつく> 10.
<司side>
俺は、驚愕的な言葉を聞いてしまった。
だから、ここ最近、類とあいつは、会って居るのかと、悟ってしまった。
多分、類は、静から、あいつを紹介されたのだろう?
静が居ねぇ間の穴埋めとして…。
何処か、静に雰囲気が似ているあいつを…。
類が、ここ最近、笑う様に成ったのは、もしかして、あいつのお陰なのか…?
そんな風に、自分で分析して、落ち込んでやがる俺が其処には居た。
余りにも、情けな過ぎて、自分で、自分を持て余していた。
だが、良~く考えれば、『類⇔静』だろ?
という事は、あいつは、あぶれて来るんじゃねぇのか?
という事は、俺もまだ、あいつに付け入る隙は有るって事だろ?
情けねぇが、俺は、それでも良いから、あいつに俺を見て欲しかった。
そして、俺は、静に聞いて居た。
「牧野とは、身内でも、如何言う身内なんだ?」
「ああ、従姉妹なの。
知らなかった?」
俺は、類からも聞いた事は無かった。
「ああ、聞いた事がねぇな。」
「そう何だ?
つくしとはね…。
私の母親とつくしの父親が、姉弟なの。
だから、幼少期から、良く、お互いの邸は、行き来してたの。
で、うち(藤堂)の邸につくしが居る時に、類が遊びに来たりして…。
だから、類も、幼少の頃から、つくしとは、幼馴染みたいなもんよ。」
静は、そう言いながらも、誰かを探している様子だった。
あきらが、聞いて居た。
「静、誰を探してるんだ?」
「ああ、つくし…。
あの子は、絶対、こういう時は来る子なの⁉
そう言う律儀な処が在る子なの。
なのに、変ね?
来ない何て…?」
俺は、心配に成って来た。
じゃ何故、現れねぇんだ?
やっぱり、あれか?
俺のせいか?
傷付くよな、もしそうなら…⁉
藤堂家のSPが探し出した。
類も、探す様にSPに伝えていた。
俺も、其処に参戦してぇ‼
けど、そう言える理由がねぇ。
あいつの気持ちを無視して、『俺が好き』ってだけでは、何も言えねぇ‼
ほんと、辛ぇ‼
そして、あいつは、俺等の前に現れた。
静が心配顔で、あいつに説教紛いな言葉を掛けていた。
「静お姉様、お帰りなさい。」
「つくし…‼」
そう言いながら、静は、あいつを抱き締めていた。
「つくし、今、来たの?」
「ううん。
ちょっと、前…。」
「じゃあ、何故、直ぐに来てくれなかったの?」
「ごめんなさい。」
「心配したでしょ?」
「うん、そうだよね。」
其処に、類が、あいつに優しく声を掛けていた。
俺は、その様子に、居た堪れなかった。
「つくしちゃん、眼が赤いよ。
泣いた?」
「えっ??
そんなんじゃないよ。」
「つくし、何か、辛い事でも有ったの?」
「ううん、何もないよ。」
「ほんと…⁉」
「うん、ほんと。」
あいつは、そうは言って居たが、俺には、分かって居た。
目の前の類と静の2ショットに、堪え切れて居なかったんだろう。
あいつは、類と静のその様子に、自然に、涙を流していたと言う所か?
俺は、あいつを抱き締めて、慰めて遣りたくて仕方なかった。
だが、それが出来るのは、今は、静だけって処か?
幾ら類でも、出来ねぇよな?
俺は、あいつの顔の表情に、遣り切れない思いが溢れて来ていた。