一方通行の恋…<つかつく> 13.
<つくしside>
私は、パパとママに連れられて、お見合い場所で在るメープルに来ていた。
そして、パパとママと私は、支配人に誘導されながら、お見合いが行われるというお部屋の前に連れて来られた。
私は、溜息しか出なかった。
“はぁ~⤵。”
そして、促さる様にお部屋の中に入って、私は、驚愕で、声も出せずに居た。
否、完全に思考は停止していた。
多分、ものの20秒位の事だったとは思うのだが…?
何を如何すれば良いと言うの?
パパから、席に就く様に促されていた。
席に就いた時、私の目の前に座るあいつは、ニヤッと、微笑んで…。
否、笑って、私を見ていた。
如何すれば、良いのだろうか?
前を向く事が、出来そうに無い。
ああ~、ヤバいよ、此の状況‼
<司side>
俺は、あいつが、入って来る事を、今か今かと待って居た。
俺が、居る事を見付けて、あいつは、如何思うんだろう?
もう、お前は、俺から逃げられねぇんだよ‼
俺とお前は、親同士が決めた許嫁らしいぞ‼
俺は、飛び上がる位ぇ、嬉しくて…。
昨夜は、朝方まで、寝付けずに居た。
情けねぇと思うが、仕方ねぇだろ?
だってよ…?
あいつが、見合い相手だったんだからよ‼
まあ、此れは、F3に報告だな。
俺とあいつは、切っても切れねぇ仲って、やつだからよ‼
<つくしside>
お見合いの席で、良く有りがちな、“この後は、若いお二人だけでどうぞ?”パターンに成らない様に…と、心の中で懇願していた私だった。
が、やはりのパターンだった。
あいつは、私を席から立つ様に促し、東京メープル自慢の中庭に誘導されていた。
そして、話しを切り出されていた。
「まさか、見合い相手が、お前だったとは…⁉
俺、親から、聞いた時、飛び上がる位ぇ、嬉しかったんだよ。」
「そう何だ。」
「お前は、如何思った。
部屋の中で、俺を見た時、思考が、止まってただろ?」
「うん、止まってたね。
ねぇ、私の何処が良いの?
道明寺さんなら、幾らでも、良い人が居るでしょ?
因みに、『選び放題』じゃないの?」
急に、あいつは、顔を赤鬼の様に、真っ赤にさせて、逆上して言って来た。
「俺、言ったよな?
“お前が、好きだ‼”って…。
確かに、俺は、強引な所が有るのは認める。
けど、其れは、『好き』というだけで、決して、お前を如何こうしようというんじゃ
ねぇんだよ。
どうせ、俺等は、親同士が決めた『許嫁』らしいからよ‼
お互い、見詰め合って行かねぇか?
俺は、お前が好き。
お前が、俺を好きに成ってくれる様に頑張るから…。
俺と、付き合ってみねぇか?」
「………」
私は、何と、答えたら良い?
如何しよう⁉
でも、答えるしか無いなら、取り敢えず、あいつの話しを聞いてみる?
と、思った時、あいつに聞き返されてしまった。
「俺が、お前の傍に居る事は、嫌か?」
其れは無い。
じゃあ、何て答える?
でも、私は、自分自身が発した言葉に、自分自身で、驚愕してしまった。
「道明寺さんが、傍に居る事は、嫌じゃない。」
「じゃあ、俺は、お前の傍に居ても良いって事だよな?」
「う~ん?
でも、付き合うって言うより、お試しで付き合うのは…?
それでダメなら、双方の親に言ってみる。
だって…?
私は、道明寺さんが、私を思ってくれている気持ちの10分の1しか、好きじゃないと思
うんだよね。
それでも良いなら…だけど?」
あいつは、私の言葉に絶句している様子だった。