馬鹿だよな、俺…<総優> 13.
<優紀side>
私から、つくしに声を掛けていた。
「つくし、色々、心配掛けてごめんね。」
「ううん、良いよ。
優紀が、元気で居てくれたから…。」
「うん、有り難う‼」
つくしは、踏み込んで良いのか?
迷って居たのだろう。
私を、見詰める様に、訊いて来た。
「優紀、優一郎君とずーっと、二人だけだったの?
経った一人で、優一郎君を産んだの?」
「其れは、違うの。
私が、留学した先の大学にね。
日本人女性の大学教授の先生が居てね。
私が、大学内で、倒れた事を聞き付けて、私の傍に居て下さったの。
其れから先は、ずーっと、私の母親代わりの様に、一緒に居て下さったの。
だから、優一郎を出産する時も、傍に居て下さったの。」
つくしは、ほっとしていた様子だった。
「じゃあ、一人じゃなかったんだね。
本当に、良かったね。
良い人に巡り会えて…。」
「うん、ほんと、そうだね。」
つくしは、ニコっと、笑ってくれた。
「優紀は、小さい頃から、芯が通ってて、しっかりしているとは、思って居たけど…。
やっぱり、“一人だったら…。”と、思うと…。
ずーっと、優紀の安否が、心配だったから…ね。」
つくしの泣き笑いの様な顔付きが、私にも良く分かって、私も泣きそうに成って居た。
つくしは、優一郎が寝ているベビーベッドから離れず、ずーっと、優一郎を眺めていた。
“寝顔が可愛いね‼”と、言いながら…。
でも、つくしの一言に、私も優一郎の将来を思わずには居られなかった。
「優君、将来は、パパみたいに成ったりしたらダメだから…ね‼
幾ら、パパと瓜二つの息子でも…ね‼」
つくしは、また、優一郎の頬を軽~く突いて(つついて)言って居た。
<総二郎side>
あきらから、言われた。
「取り敢えずは、今の、優紀ちゃんの日本での立場を話しして遣らねぇと、ダメだろ?」
俺にも、其の事は、分かって居た。
だが、俺にとっては、優紀の件を優紀に伝えるよりも、優一郎の事に気を取られて居る方が先だった。
「ああ、分かってる。
けど、空港で、優一郎を抱いて居る優紀を見て、衝撃で、優紀の件は、後回しにしてし
まってたんだ。」
あきらは、納得してる様子だったが…。
「けど、今後は、優紀ちゃんも、色々、覚悟が居んだろ?
お前と居る事もそうだろうけど…。
日本での、世論も、もう、優紀ちゃんにはガキが居て、其のガキの“父親は誰か?”って
事まで、知られてんだ。
優紀ちゃんは、もう既に、有名人、何だぞ‼」
「ああ。」
ある意味、其れが、一番、厄介かも知れねぇ…。
だが、優紀にも、覚悟は、必要だよな⁉
そんな時に、優紀が、牧野と一緒に、優一郎が寝ているという、客室から出て来た。
そして、優紀は、F3&T2に、詫びの言葉を言って居た。
<優紀side>
私は、客室から出て直ぐ、F3&T2に今までの不義理を詫びる言葉を伝えた。
「皆さん、今まで、ご心配をお掛けしてすみませんでした。」
滋さんは、行き成り、私を抱き締めて泣き出した。
桜子さんも、泣き出して居た。
「ゆう~き…(嗚咽)‼」
「優紀さ~ん…(泣)‼
もう、私達の前から、何も言わず、何処にも行かないで下さいよ‼
先輩もそうでしたけど…。
優紀さんも…ほんとに、心配だったんですからね‼」
私は、滋さんに抱き締めながら、桜子さんに頷いて見せた。
「うん、うん。
ごめんね、心配掛けて…。」
桜子さんも、ニコっと、笑って、頷いてくれた。
でも、良~く見たら、つくしは、桜子さんの言葉に不貞腐れて居る様子だった。
その時だった。
私は、滋さんから、抱き締められていた腕が緩んだと、思ったら…。
優一郎の事を聞かれて居た。
「優紀、息子の名前は…?」
「『優一郎』って、言うんです。
皆さんからは、『優』って、呼ばれてたんです。」
つくしが、呼び方を言ってくれていた。
「私も『優』君って、呼ぼうと思って…。」
「じゃあ、私もそうするね。」
「ええ、そうですわね。
『優』君の『ゆう』の字って、優紀さんの『優』ですか?」
「うん、そうだよ。
何で…?」
桜子さんは、西門さんの方を向いて、ニヤッとしながら、言っていた。