輝きの中へ…<つかつく> 9.
今まで、つくしが見て来た…。
『道明寺司』という男は、つくし自身、『俺様・横暴・暴力男・我儘』だと、認識していた。
それが、つくしの目の前で、可愛く、甘えた仕草をして居る。
本来の司は、『寂しがり屋で、誰よりも繊細で、優しい男』だったのだ。
だが、それは、今までは、タマにだけ見せていた仕草だったのだ。
所謂、其れは、子供が、親に見せる仕草そのものだった。
だが、司は、その仕草をつくしに見せ始めたのだ。
つくしに、心を許して居る証拠だった。
F3にも、見せた事の無い、司が本来持つ心の中に隠されていた本質だったのだ。
そんな司を見てしまったつくしは、思わず、手を口に当てて、吹いてしまった。
「プッ‼」
司は、照れてしまい、顔を赤くさせていた。
そして、つくしに一言、言って居た。
「何だよ⁉」
「いいえ、何も…。
じゃあ、失礼しますね。」
と、言いながら、つくしは、司のTシャツの首辺りから、体温計を脇に挟ませようとしていた。
その時、つくしの顔が、司の至近距離に近付き、司は、思わず、つくしの頬にkissをしてしまった。
つくしは、驚愕で、顔を上げて、司を見た。
その顔が、司は、堪らず…。
言うつもりじゃなかったのに、思わず、言ってしまった。
「俺は、お前が好きだ。
否、愛してる。
高校の頃から、ずーっと、忘れられなかった。」
つくしは、驚愕で、固まってしまった。
司は、“しまった。”と、思い、言ってしまった事を後悔していた。
で、そんな事が有ってからは…。
司とつくしの距離がグーンっと縮まって居た。
否、司が、つくしに想いを伝えるかの様に、つくしへの距離を縮め出したのだ。
司とつくしは、飄々としているつもりだろうが、タマには良く分かって居た。
所謂、タマの眼は誤魔化せないという事なのだった。
何故なら、司は、つくしが居れば、甘えた様な仕草をし始めた。
それは、タマにしか分からない仕草なのだから…。
それに、司は、自分(司)自身の想いが、つくしに通じない時は、寂しげな・縋る様な辛そうな顔付きで、つくしを見る様に成って居た。
此れには、つくしは、困ってしまうのだった。
普段、司は、他人の前では、冷淡な冷酷さが際立つ顔付きを魅せるのに…。
つくしの前では、違うのだ。
如何して良いのか、分からなく成るつくしだった。
つくし自身が、悪い事して居る様な気分に成るのだった。
それは、F3の前でも、つくしが居れば、つくしに見せる様に成って居た司だった。
此れには、F3も、驚愕だった。
“司にこんな所が有ったのか?”と…、思うF3だった。
だが、当の本人は、つくししか見えてないのだ。
しかも、仕事にも、影響し始めた。
今までは、唯、惰性で熟していた執務が、司の考えの下、進んで行く事に…。
西田まで、驚愕していた。
其のお陰で、プロジェクトも、無事、遂行していた。
この事は、西田より、道明寺HD 社長で在る楓にも、報告されていた。
楓の勘が当たったと、密かに、ほくそ笑んでいた楓で在った。
しかも、コトが順調に遂行するまで、日本への帰国を、母親の楓より、止められていた椿にも、タマから報告が入って来ていた。
そろそろ、日本への帰国を了承して欲しい椿は、母親で在る楓に直談判していた。
「お母様、そろそろ、宜しんじゃないでしょうか?
司も、つくしちゃんへの司の気持ちを告白した様ですし…?」
楓は、まだ、つくしの気持ちをタマも確認して居ない事を言及していた。
「タマも、まだ、牧野さんの気持ちは聞いて居ないらしい…わ。
もう少し、待ちましょ?」
椿は、不服だった。
「何時(いつ)まで、待てば宜しかったかしら?」
楓は、椿の暴走さに、我が娘では在るのだが、呆れていた。
「取り敢えず、焦って、牧野さんが、司を煙たがってはいけないでしょ?
もう少し、様子を見ましょ?」
椿も、仕方なく了承していた。
「分かりましたわ、お母様。」
椿は、残念そうで在った。