戸惑い…<つかつく> 2.
静は、類を藤堂邸に呼び出した。
そして、其処で、静は、類につくしを、つくしには類を紹介して居た。
静は、類の方を向いて、つくしを紹介した。
「類…?
此方ね、私の母方の従姉妹の『つくし』って言うの。
つくしの父親が、私の母親の弟なの。
つくしは、牧野コーポレーションの娘なの。
あっ、それとね。
つくしは、9月から、英徳高校の1年で通う事に成ってるの。
類、つくしを宜しくね‼」
そして、今度は、静は、つくしの方を向いて、類を紹介していた。
「つくし…?
此方ね、『類』って言ってね。
私の幼馴染なの。
花沢物産の後継者なのよ。
類も、英徳高校2年なのよ。」
類とつくしは、お互い紹介されたので、挨拶は、共に交わしていた。
しかし、類と、握手を交わそうとするつくしに対して、類は、つくしと、握手を交わそうとしなかった。
「宜しく‼」
「宜しくお願いします‼」
だから、つくしは、握手の代わりに、類に軽く会釈をして居た。
つくしは、NYで暮らして居たのだが…。
日本人の両親を持つ為、日本式スタイルは、教え込まれていた。
だが、類は、つくしとは、挨拶を交わしたのだったが、何故、静が、つくしを紹介して来たのか?
類自身、不思議だったのだ。
類自身、女性嫌いな上に、静以外の女性に靡く事は無い事を、“静も知って居る筈なのに…?”と、類は、思わずには居られなかったのだ。
其れが、もし、静の『従姉妹』だったとしても…。
そんな静の意図が読めない類は、静に対して、苛立ちを覚えるのだった。
また、其の苛付いて居る態度の類は、苛付いて居る顔の表情を隠さずに、静をじーっと、見て居たのだった。
其の様子を観て居たつくしは…。
“お互い初対面なのに…。
何なの、この人…?”と、思わずには居られなかったのだ。
だが、度々、静は、類を藤堂邸に呼び出し、類に、つくしを会わせて居る内に…。
類も、つくしを受け入れ始めていた。
また、つくしも、類を信頼し始めていた。
また、類とつくしの其の様子に、静も、ホッとしていたのだ。
徐々に、類とつくしは、静の策略に嵌まって行くのだった。
類は、つくしの天真爛漫さに…。
また、コロコロ変わるつくしの顔の表情に、類も、自然に笑える様に成って居たのだ。
また、牧野コーポレーションのお嬢様のつくしは、静同様…。
お嬢様だからと言って、他人(ひと)に媚びる事は無いのだ。
流石、NY育ちのつくしと言うべきなのだろうか?
他人(ひと)を判断する材料は、つくし自身の直感を信じて居るのだ。
だから、噂に左右される事は、つくしに於いて無いのだった。
だからだったのだろう。
静は、類の其の顔の表情を観て居て、類につくしを会わせた事を、ホッとしていたのだ。
そして、静は、“類とつくしを残してフランスに留学しても、大丈夫だろう。”と、安心して居たのだった。
其れから、数日後…。
静とつくしは、『party』に出席の際のソワレを新調する為、ショップ巡りをして居る時に、椿とばったり会ってしまったのだ。
静は、椿から、声を掛けられていたのだ。
「あら、静ちゃん…?」
声を掛けられた静は、声のする方に顔を向けて、言葉を発していた。
「えっ??
椿さん…?」
椿は、静に話し掛けていた。
「ほんと、ご無沙汰だったわね?」
「ええ、ほんとに…。」
「ねえ、静ちゃん…?
此方は…?」
静は、つくしの方を向いて、椿に答えていた。
「私の母方の従姉妹…何です。」
「そうなんだ。
可愛らしいわね。
静ちゃんとは、また、タイプが違う様ね?
ねぇ、良かったら、今から、ご一緒に、お茶しない…?」
椿は、『静の従姉妹=つくし』を、一目で気に入ってしまったのだ。
椿の弟で在る 司のお相手に、“如何かしら?”と、密かに、ほくそ笑んでいた椿だった。
意外と、椿は、他人(ひと)の目利きには、優れて居ると言われていた。
そんな(椿)自身に認められたつくしを、逃がすつもりの無い椿だったのだ。
そんな事とは知らない静とつくしは、椿と一緒にお茶する事を了承していた。
椿は、密かに、つくしを観察する事に余念は無かったのだ。
其処で、椿に寄って、連れて来られた静とつくしは、メープルのカフェの個室に居た。
其処で、正式に、つくしを紹介してくれる様に、静を促す椿だったのだ。
「ねぇ、静ちゃん…?
静ちゃんの従姉妹ちゃんを紹介して…?」
静は、ハッとした様に、椿につくしを紹介し始めた。
「私の母方の従姉妹の『つくし』って言うです。
つくしの父親が、私の母親の弟…何です。
つくしは、『牧野コーポレーション』の娘…何ですけど…。
あっ、其れと…。
つくしは、9月から、英徳高校に1年で通う事に成って居るんです。」
椿は、嬉しそうに、静に答えていた。
「そうだったのね。
つくしちゃん、宜しくね‼
私は、『道明寺椿』。
『道明寺財閥』の娘なの。
私には、弟が居て…ね。
英徳高校2年なのよ‼
其の『弟』の事も宜しくね‼」
椿は、右手を差し出し、つくしに握手を求めて来た。
つくしも、そんな椿の対応に応える様に、右手を差し出し、握手を交わしていた。
此れには、静は、苦笑いで在った。
何故なら、静には、椿の意図している所が見えた様に感じたからだった。
静は、“後で、椿さんに口添えをして於かなければ…。”と、思うのだった。
<此の二次小説『戸惑い…<つかつく> 2.』の中に、握手するシーンが出て来ま
す。
此の度の世界的な事案により、『握手』自体をタブー視される昨今…。
此の様なシーンを『二次小説ネタ』として、掲載致しております事をお詫び申し上げま
す。
了承の程、宜しくお願い致します。>