twice ~2回目~…<つかつく> 2.
<一部の言葉に不快に思われるだろう言葉が入って居ます。
お詫びします。>
<つくしside>
実は、私は、仕出かしてしまった過去が在った。
私は、大学院の修士課程を終了後、博士課程の最初の1年間を、NYの大学院に交換留学生として、渡米した事が在った。
最新の研究システムを勉強する意図が有った。
其の頃のNYでの私の休日の楽しみは、セントラルパークでの散歩だった。
その時に知り合った日本人男性と顔見知りに成り、会う機会も増えて行き、待ち合わせをして、食事をする様な仲に成った。
唯、其の男性は、NYに長く在住との事。
だから、当分は、日本に帰国する事は無いという事から、お互いの事は伏せて、
『fast name』だけしか教え合いをしないで於く事にした。
私も1年間だけの留学だったし、深入りすると、後が辛く成るのも嫌だったので…。
其れに従う事にした。
如何も、私は、其の男性に恋をしてしまったみたいだった。
1年後には、二度と会う事もないだろう其の男性にだった。
私は、今まで、勉学だけで、恋愛をして来なかった付けが、“『今』なのだろう‼”と、理解していた。
私は、帰国する日取りが決まった1週間前から、会わない事を其の男性にお願いしていた。
何故なら、私自身、分かれが辛く成る事が予想されるからだった。
だが、日本に帰国すれば、研究に明け暮れる日々が続き、NYでの事も、記憶の片隅に追い遣る事が出来て居た。
其れなのに…。
“何故、『今』何だろう?”としか思えなかった。
しかも、“私が、勤める大学に、何故、居るのだろう?”としか言い様が無かった。
あの当時、男性の前では、私は、眼鏡を掛けて居なかった。
何故なら、眼鏡を掛けている自分の顔が好きでは無かったからだった。
優紀からも、言われていた。
「つくしは、眼鏡を掛けて居ない方が、可愛いよ‼」って…。
可愛いか如何かは、分からないが…。
優紀の言う通り、私は、眼鏡が、似合わないと認識していた。
昔から、眼鏡を掛けた私は、『ガリ勉少女に見える』と、良く言われていた。
その事は、私も認識していた。
だから、其の男性の前では、そんな私の顔を覚えて居て欲しく無くて、眼鏡を掛けて居なかった。
NYに持って行っていたコンタクトを頑張って、装着していた。
本来の私の目は、コンタクトを装着すると、直ぐ、目が赤く成るから、コンタクトも、余り装着して居なかったのだが…。
でも、この時ばかりは、NYに眼鏡だけではなく、コンタクトを持って行って於いて良かったと、思わなかった事は無かった。
でも、今の私は、学内では、眼鏡を掛けている。
多分、其の男性も、私だと言う認識はないだろう事は、伺い知れた。
だから、素知らぬ振りを決め込む事にした。
その方が、良い様な気がしたからだった。
で、私は、其の男性の横を、素知らぬ振りをして素通りして、研究室の在る学舎の中に入って行った。
其の男性は、多分、其の男性の横を素通りした私の事を、あの私だという事は、気付いて居ないだろうと思って居た。
この時までは…。
<司side>
もう、何年前に成るのだろうか?
こうして、あの日本人女性と対面したのは、4年振りか?
俺は、NYに1年間、交換留学生として、“渡米して来た。”という日本人女性と、セントラルパークで、顔見知りに成った。
諸、俺好みだった。
だが、1年間だけと聞き、別れが在る事は事前に知っているという事も有り…。
俺は、“『fast name』だけを教え合いしよう‼”と、伝えて居た。
相手も、其れで、了承してくれた。
で、其れから、半年位は、待ち合わせして、食事をする様な仲に成った。
マナーも、何処で、覚えたのか?
一般家庭の娘にしては、しっかり躾られて居る様に感じた。
“もしかしたら、起業家の娘なのか?”と、色々、勘繰りもした。
だが、そんな勘繰りをしても、どうせ別れは来る。
だから、今を楽しむ事にした俺だった。
其れが、間違いの元だったと気付いた時には、相手の此の女(性)に、のめり込む俺が居た。
如何も、俺は、彼女を好きに…。
否、愛してしまった後だった。
“別れが来てから、気付く何て遅ぇんだよ‼”と、当時は、どれ程、嘆いただろうか?
なんせ、俺と彼女の間に有るモノは、切っても切れねぇ仲なのだから…。
俺と彼女は、待ち合わせをして、食事を繰り返す様に成った或る日…。
俺のペントハウスに彼女を誘い入れる様に成った。
そして、そんなに時間が掛からない頃…。
俺は、彼女を抱いた。
彼女は、『初めて』だった。
その時に、俺自身の気持ちに気付けただろうに…。
俺は、舞い上がって居ただけで…。
結局、彼女が、帰国してから、気付いた。
彼女を抱いた日を境に、俺は、積極的に成り、彼女のアパートメントに、ほぼ毎日、出入りする様に成り、彼女が、帰国する1週間前まで、ほぼ毎日、俺は、彼女を抱き続けた。
俺は、後が離れがたく成る等と、考えても居なかった。
その時その時を楽しむつもりだったのだから…。
で、其れからの俺は、俺独自で彼女を探す日々だった。
だが、見付ける事は出来なかった。
変わった『fast name』だから、直ぐに見付かると思って居たが…。
何処に雲隠れして居るのか?
居場所は、掴めなかった。
俺の其の敗因は、彼女の年齢を勘違いして居た事だった。
まさか、大学院 修士課程修了年齢だとは、思わずに居た。
大学生だと思って居たのだから…。
まさか、俺の1歳年下だったとは…その時の俺は、思わずに居たのだった。