twice ~2回目~…<つかつく> 6.
<司side>
“牧野准教授(つくし)との見合いの日にちが決まった。”と、俺は、ババアから聞き、興奮が収まらなかった。
“つくし…?
お前が、俺から、逃げ様とも、俺は、ぜってぇに、お前を逃がしはしねぇんだよ‼
早く、其の事の意味を分かれよ⁉”と、俺は、心の中で、つくしに悪態を突いて居た。
そして、つくしとの見合いの当日が、遣って来た。
朝から、俺は、ワクワクして、気が落ち着かずに居た。
で、俺とババアは、メープルに着いた。
見合いの部屋は、日本料理の個室に準備されていた。
で、ババアと俺は、その部屋に通された。
相手企業で在る牧野財閥の会長は、既に老齢…。
如何も、牧野財閥の会長は、日本料理の方が落ち着くだろうという、ババアの配慮みてぇだった。
で、ババアと俺が、着いてから20分程で、牧野家が到着したという連絡が入って来た。
そして、暫くすると、襖が開けられ、先ずは、会長、つくしの父親らしい男性、母親らしい女性、で、続いて、本人のつくしが入って来た。
つくしの顔付きを見た俺は、苦笑するしかなかった。
だってよ…。
一人、迷惑そうな顔付きに成ってやがるんだから…よ。
<つくしside>
普段、滅多に、私と会話し様としないお爺様に寄って、お爺様の書斎に、私は、呼ばれていた。
「つくし…。
何故、つくしを、此処(お爺様の書斎)に、儂が、呼んだのか?
分かっとるか?」
「………」
私は、怪訝な顔付きにでも、成って居たのだろうか?
お爺様も、怪訝な顔付きをし始めた。
そして、“其れって、パワハラ(?)(否、ファミハラ【ファミリーハラスメント】(?))よね?”って、言いたく成る様な言葉を、私は、お爺様から、言われていた。
「つくしも、もう、30(歳)前の良い歳じゃの?
もう、若くはない。
寧ろ、早く、結婚をせねばならない年頃じゃ。
見合いを進めて居る。
其のつもりで居なさい。
もう、下がって宜しい。」
お爺様は、言うだけ私に言って、書斎の机の上の書類に目を通し始めた。
此のお爺様の態度は、もう、私からの話しは、受け付けないという意味である。
私の言い訳も、反論も、受け付けないという意味だ。
お爺様は、こういう人だから…。
“パパは、耐え切れなくて、牧野財閥から、家出同然の駆け落ちを…。
ママと決行したのだろう‼”と、私は、思えていた。
当然と言えば、当然だろう。
私も、今、その気持ちだ‼
でも、私が、家出をすれば、パパとママが、悲しむだけじゃ無く、パパとママが、お爺様から、責められる事は、分かり切って居る。
特に、ママは、責められるだろう?
その事が分かって居るのに…。
決行出来ない私が、其処には居たのだった。
だから、彼方(あちら)から、断りを入れてもらえる様に…。
徹底的に、相手方に嫌われ様と、誓って居た私だった。
そして、お見合いの当日が、遣って来た。
そして、お見合い場所のお部屋に通された時…。
私の目の前に居る男性を見て、私は、驚愕してしまった。
と、同時に、私は、後悔していた。
何故、今日に限って、私は、コンタクトにして来たの?
何故、今日に限って、私は、眼鏡を掛けて来なかったの?
今に成って、後悔しても遅いのだが…。
<司side>
両家の挨拶、自己紹介が滞り無く済んだ後…。
両家の話しは、和やかに過ぎて行くのに…。
つくしの顔色は、如何見ても、冴えない。
つくしは、俺を見てはくれない。
何を考えてるんだ、つくし…?
俺は、唯、つくしを見詰め続けるのみだった。
其処に、ババアから、話しが為されていた。
「司…。
つくしさんとご一緒して、二人っきりで、お話しをして来たら如何かしら?」
と、フォローを入れて来た。
俺は、其の言葉を、今か今かと待って居た。
やっと、俺とつくしは、二人っきりに成れる。
そして、“つくしの真意を訊ける。”と、一人、ほくそ笑んで居る俺が居た事は、事実だった。
つくしの気持ちは、如何で有れ…。
そして、俺は、つくしに声を掛けて、此の部屋を出る様に、促していた。
「つくしさん、外に出ましょうか?」
「………」
つくしは、何も言わず、その場の雰囲気を壊そうともせず、席を立ち、俺の誘導の下…。
俺の後ろを就いて来る形で、俺とつくしは、個室を出た。
そして、何も、話しもせず、俺が、キープしている部屋の専用エレベーターに乗り、つくしを俺の部屋に誘導した。
つくしは、全く、気付いて居る様子もなく、俺の誘導に、大人しく就いて来ていた。
だが、俺は、エレベーターに乗り、ドアが閉まった途端、俺の想いをつくしに分からす為、行動に移して居た。