俺の為だけの、俺の女…<つかつく> 6.
<司side>
類が、俺とあいつを二人っきりにでも、しようとしてくれて居るのか?
声を掛けて来た。
「司、牧野…?
俺と静は、この後、行く所が在るから、このまま、出るね‼
司…?
此処(レストラン)の支払い、頼んだね?」
俺は、類の厚意を有難く受け取る為、間髪入れずに、類に答えていた。
「ああ。
任せとけ‼」
静は、如何やら、類を睨め付けているみてぇだった。
当のあいつは、驚愕していたが…。
そして、類と静は、個室から、帰って行った。
で、其の類と静を見送った後…。
あいつが、俺に声を掛けて来た。
「じゃあ、私も帰りますね。」
俺は、そうはさせねぇと、立ち上がり掛けていたあいつの腕を掴んで、また、席に就かせていた。
そして、あいつを見詰める様に、俺は、あいつに言って遣った。
「今日、お前に話しが有んだ?
もう、ちょっと、残れよ‼」
「………」
あいつは、驚愕で言葉も出ねぇ様子だった。
だからなのか?
あいつは、言葉も発して来なかった。
あいつの答えは、Yes? or No? の何方なのか?
分からねぇ中…。
俺は、黙ったままのあいつの顔を見詰めたまま、言って遣って居た。
「何で、俺との見合いを断った?」
今度は、こいつの顔は、俺の顔を怒りに似た感情の様な状態で、見詰めて来やがった。
俺は、ころころ変わるこいつの顔の表情を見詰めて居て、不謹慎にも、笑いそうに成って居た。
こんなに、顔の表情が、ころころ変わる奴は、今まで、俺は、見た事が無かった。
だからだろうか?
益々、こいつに、のめり込みそうに成って居る俺が、其処に居たのは事実だった。
だが、俺は、こいつの返して来た言葉に、“俺には、無関心、何だな⁉”と、言う事を、更に、知ら占められる結果と成ってしまった。
「“何故…?”と、聞かれても…。
公判に忙しい時期だったから…ですけど⁉」
“其れが、何か?”と、言わんばかりに言って除けて来たこいつに、落胆するしかなかった俺だった。
だが、俺は、こいつを、俺の手中に収めるまで、こいつに向かう事に決めていた。
「俺は、公判より下の立場なのか?」
こいつは、間髪入れずに、言って除けて来やがった。
「当り前ですよね‼
私にとって、これ以上、大切なものは在りません。
其れに、私にとっては、仕事ですから…。
大切に決まっています。」
だが、俺は、こいつの顔をじーっと見詰めたままで居た‼
こいつは、そんな俺の態度に何かを悟ったのか?
こいつは、俺の目に目線を合わせようとしねぇ。
だから、こいつの頬を両手で挟んで、グイっと、俺の方に顔を向かせて遣った。
そんな俺に悪態を突く事は忘れねぇで居るこいつだった。
「痛いですって…。
何をするんですか?」
「じゃあ、俺の方を見ろよ?」
「えっ??」
「俺は、お前の方を見てんだ‼
お前も、俺の方を向いて会話するのが、大人だろ?」
「………」
こいつは、何も言い返せねぇのか?
何も、言って来なかった。
だから、俺は、尚も、こいつの頬を両手で挟んだまま、こいつの目をじーっと見詰めて言って遣った。
「俺は、お前が好きだ‼」
だが、こいつは、そうとは思って居なかったのか?
驚愕顔で、瞼を見開き、大きい目が、更に、大きく成って、今にも、瞳が、落ちて来るのではねぇかという位ぇ、吃驚してやがった。
だから、俺は、こいつに訊いて遣った。
「お前は、俺の事を、如何、思ってる?」
「………」
返答に苦しんでいるのか?
何も答え様としねぇこいつに、俺は、更に、こいつに言って遣った。
「お前が、俺の事を何の興味もねぇ事は分かってる。
けど…な。
良~く、覚えて於け‼
俺は、狙った獲物は、ぜってぇ、逃さねぇんだよ‼
ぜってぇ、お前を、俺に振り向かせて見せるから、そのつもりで居ろ‼
俺から、お前が逃げ様とも、地獄の果てまでも、お前を追い掛けて遣るからよ‼
分かったな、牧野…?」
「………」
俺は、威圧(威嚇 ?)と思われ様が、構わなかった。
寧ろ、牧野は、俺に包囲されて居ると認識させる方が良いと思っていた。
何故なら、俺は、類から言われて居た言葉が、頭から離れなかったからだった。
~~『司は、その気でも、牧野は、超が付く程の、『鈍感 娘』だから…。
嘘とか、誤魔化しは、通用しないんだよ‼
牧野には、真っ正面からぶつかって行って、丁度、良い感じかな?』 ~~
だから、超が付く程の、『鈍感 娘』を攻略するには…?
類の言う通り、“更に、真っ正面からぶつかって行こう‼”と、心に決めていた俺だった。
<つくしside>
あの人の私を見て来る目付きに圧倒されるしか無かった私だった。
何が、如何して、其処まで、あの人を熱くさせて居るのだろうか?
私には、意味が全く分からなかった。
だが、私を捉えたら離さないと言う様なあの人の目付きに、如何して良いか?
分からず、狼狽える私が、其処には居たのは、事実だった。