俺の為だけの、俺の女…<つかつく> 11.
つくしは、静の言葉を聞いてから、ふとした時に、司の事を考えて居る自分(つくし)自身に気付き始めていた。
ここ最近は、出張等、何も無ければ、仕事終わりに迎えに来てくれる日々…。
其れが、通常の日々の様に成って来て居た。
で、つくしは、自分(つくし)自身の心に問い掛けていた。
「私は、あの人の事を如何思って居るの?」
つくしは、司に迎えに来てもらえない日は、寂しさを感じて居た。
其れが、好きという気持ちと、如何、繋がるのか?
恋愛経験に疎いつくしにとって、弁護士として寄り、難しいこの難問に苦慮していた。
また、類は、司を呼び出す事にしていた。
静から聞いた内容だと…。
“牧野は間違い無く、司に好意を寄せ始めている。”と、踏んで居た類だった。
だから、ちょっと、司に『飴』を与えて、つくしには経験に乏しい『恋愛』と言う『鞭』で、“牧野に気付かせる事も、良いんじゃないのか?”と、類は、考えて居た。
だが、其処は、『司』と言う男…。
強引さに掛けては、ピカ一だが…。
此方(司)も、また、恋愛経験に乏しい男…。
上手く行けば、お互いが、意識し合う事で、成立する可能性は高い。
だが、つくしが、司の強引さに引かないとも限らない。
司を刺激し過ぎない程度に、『飴』を与えなくては、成らない。
昔から、『飴と鞭』を使い分ける事に定評の在る類でも、上手く行かせる為には、『至難の業』と、言った処だろうか?
だが、類は、敢えて、司を動かす事にしていた。
類は、一人、ゴチていた。
「あきらのお節介振りが、移ったのかも…ね。」
<司side>
俺は、類に呼び出されていた。
類に呼び出される事等、滅多にねぇ事だったから…。
何事かと、身構えて居た俺だった。
だから、誘いに乗らねぇで於こうと思ったが…。
類からは、一言、言われていた。
「良いよ。
来たく無いなら、来なくても…。
でも、来ないなら、後で、後悔しても、俺は知らないからね。」
「………。
ああ、分かった。
行ったら良いんだろ‼」
初めは、類の言葉に面食らったが、“類が其処まで言うなら…。”と、誘いに乗る事にした俺だった。
で、メープルのラウンジのVIPルームに着いた俺は、吃驚するしかなかった。
其処に居たのは、類だけじゃ無かった。
俺の愛しのあいつと静だった。
静から、一言、言われた。
「司…?
今日は、つくしちゃんも、一緒なの?
良かったかしら?」
「………」
俺は、静の言葉に、如何返して良いのか?
迷って居たら、あいつは、何を勘違いしたのか?
俺は、あいつに言われた言葉に、必死に引き留めていた。
「あの~。
道明寺さんが、ご迷惑そうですので、帰りますね?」
俺は、間髪入れずに、あいつの言葉に返答していた。
「なっ、訳ねぇだろう?
迷惑じゃねぇよ。
反対に、お前が、此処(メープルのラウンジのVIPルーム)に居た事は、嬉しいっつー
の‼」
「………」
そう言いながら、俺は、あいつの横に座った。
だが、あいつは、俯いたまま、言葉を発し様とは、しねぇで居た。
だから、あいつの顔を覗き込む様に、俺は、俺の顔を下向けて遣った。
はっとした様に、顔を上げたあいつが可笑しくて、俺は、笑って遣った。
そんな俺とあいつの様子を見て居た類が、あいつに声を掛けていた。
「牧野…?
如何…そろそろ、分かったんじゃないの(笑)?」
俺は、類の言った言葉の意味が分からずに居た。
だから、俺は、類に確認していた。
「類…?
其れって、如何言う意味だよ?」
類は、俺の方をしっかり見ながら、ニヤ着いてやがった。
だが、類が、話し掛けて居るのは、俺じゃねぇ‼
あいつに…だった。
「牧野…。
自分自身の気持ちに気付いたんじゃないの(笑)?」
「………」
牧野は、何も、答えなかった。
其処に、静が、言って除けていた。
「ねぇ、つくしちゃん…。
私が、言った通りだったでしょ?
此れで、良~く分かった…?
つくしちゃん自身の気持ちを…?」
俺は、類と静が、あいつに言って居る会話が、今一、ピンと来て居なかった。
だが、あいつは、頷いて居るみてぇだった。
其処に、類が呆れて言って居た。
「ほんと、牧野は、『鈍感 娘』だよね?
自分自身の気持ちにも、中々、気付かない何て…。
でも、気付いたんだよね?」
「………」
言葉は無かった様子だったが…。
あいつは、類に頷いて見せていた。
俺を省いて、話しが、どんどん進んで行くこいつ等に、俺は、イラ付き始めていた。
「だから…よ。
お前等だけで、話しを進めて、俺は、蔑ろかよ⁉」
で、類は、俺を苛付かせる言葉を、またもや、言って来やがった。
「そろそろ、司が限界の様だから…。
牧野…?
俺と静は、退散するよ‼
ほんと、司と牧野には、『飴と鞭』が、必要だね‼
まあ、今回は、牧野に、荒治療をし過ぎた感は在るけどね。」
と言いながら、類と静は、席を立って、その場を後にしていた。