俺の為だけの、俺の女…<つかつく> 9.
あれからも、司は、つくしに尽くし続けた。
その様子を端で、見ていたF3は…?
今までにも、司が、こんなに、他人(ひと)に尽くす姿を見た事も無ければ…。
こんなに柔らかな雰囲気を醸し出している司を見た事が無かった。
余りにも、今までとは違う司を、応援して遣りたくて仕方ないと言った感じのF3だったのだ。
そんな或る日…の事。
総二郎&あきらは、日本に帰国して帰って来たばかりの類を呼び出して、一緒に飲んでいた。
あきらが、口火を切って来た。
「類、何とか成らねぇのか?」
類は、また、あきらのお節介が始まったと思っていた。
「何の事…?」
類は、あきらが言わんとして居る事を分かって居ながら、惚けようとして居た。
其処に、総二郎も参戦して来た。
「牧野だよ?
司が、あんなに牧野に尽くしてんのに…よ。
今までに、あんなに、人に尽くす司を見た事、在ったか?
俺等 F4は、もう直ぐで、幼少期から言えば、四半世紀の付き合いだろ‼
こんな司を、今まで見た事、有るか?
ねぇよな‼
類だったら、何とか成るだろ?」
類は、ソファに寝転びながら、総二郎を嗜め始めた。
「何で、俺が、牧野を如何こう出来るの?
牧野は、静にとって、妹みたいな存在らしいけど…。
だからって、俺が、牧野を誘導出来る訳ないでしょ‼
牧野の気持ちが、何処を向いて居るのか?
俺にだって分からないのに、何も、出来ないよ‼
それに、もしかしたら、牧野自身でさえも…。
牧野自身の気持ちに気付いて無いのかも…ね。」
総二郎とあきらは、顔を見合わせて、驚愕していた。
「類…?
其れって、如何言う意味だよ?」
「だから…?
そう言う意味…。
牧野は、『鈍感 牧野』って、言う意味‼
牧野自身の気持ちでさえも、『鈍感』って、言う意味‼
自分自身で、気付かないと意味が無いでしょ‼」
其処まで言うと、類は、寝た振りを決め込んで、何も言わなく成った。
総二郎とあきらは、諦めた様に、アルコールに舌鼓を打って居た。
一方の司は…?
何時まで経っても、司自身に靡こうとしないつくしに痺れを切らし掛けていた。
つくしも、司が、嫌いという訳じゃない。
唯、司の余りの熱っぽさに、就いて行けないだけだった。
“何故、私なのか?”と…。
不思議で、仕方なかった。
だから…。
“そのうち、熱も冷めるだろう。”と…。
踏んで居たつくしだった。
唯、静から呼び出されたつくしは…?
何を訊き出されるか位は、見当が着いて居た。
実は、静は、類から頼まれて居たのだった。
で、呼び出された日は、司が、出張で日本に居ない日だった。
で、静は、類から、その日は、司が出張で居ない事まで、聞いて居たのだった。
静も、一応は、気を使って居たのだろう。
つくしは、静と事務所から、そのまま、静の行き付けのレストランに来ていた。
其処で、静から、訊かれて居たつくしだった。
「ねぇ、つくしちゃん…。
正直に答えて頂戴ね。」
「はい。
何でしょうか?」
静は、一旦、ウォーターを口に含ませてから、話しを切り出していた。
「あのねぇ、つくしちゃん…。
つくしちゃんは、司の事を如何思って居るの?」
「“如何…?”と、言われても…。
答え様が無いですが…。」
一旦、つくしは、話しを切って、静に逆質問していた。
「其れは、そうと…。
静さんって、道明寺さんとお知り合いですか?
親しそうでしたが…?」
「えっ??
知らなかった?
でも、つくしちゃん…?
何故、そんな事が気に成るの?」
「………」
つくしは、答える事が出来なかった。
だから、静は、そんなつくしに、話しを続けた。
「私と類は、『幼馴染』って、知って居るでしょ‼
だからね。
F4の後の3人も、類同様、『幼馴染』なのよ。」
「そうだったんですね。」
つくしは、静の前で、あからさまに、ほっとした表情をして居た。
そんなつくしの表情を見過ごす筈等無い静だった。
当のつくしは、自分(つくし)自身の心の変化に気付いては居なかったのだった。
この事は、静➡類に話しは伝わって居た。
類は、“やっぱり…‼”と…思うのだった。
類には、何故か、既に、予想は着いて居たのだった。