Again and again…<つかつく>・<総優> 9.
<総二郎side>
俺は、兄の祥一朗と義姉との披露宴終了後の二次会前に…。
俺が司に頼んでキープしてもらって居た部屋に、兄貴を呼び出した。
「兄貴…。
悪ぃな…。
義姉さんは、何も言って無かったか?」
「ああ。
松岡の家族と一緒に居るから、大丈夫だ。
其れより、話しって、何だ?」
俺は、自分自身を落ち着かせ乍ら、兄貴に話しして居た。
「義姉さんの妹の優紀ちゃん…居るだろ?」
「ああ。
って、総二郎…?
“優紀ちゃん…?”って…。
如何いう意味だ?」
兄貴がかなりテンパって居るのが分かった。
だが、俺は、兄貴に分かってもらいたくて、必死に、説明していた。
「俺…。
3年前から優紀ちゃんの事…。
忘れられなかったんだ‼」
「はぁ~??
総二郎…?
“3年前から…。”って…その頃の総二郎は、確か?
遊ばなく成った頃だったよな?」
「ああ、そうだ‼」
「優紀ちゃんと、付き合ってたって事か?」
「否、まだ、付き合ってねぇよ‼
けど…。
ずーっと、優紀ちゃんとは、“付き合いてぇ‼”って、思ってた事は、事実だけど…な。
タイミングみてぇな事が、全く、合わなくて…な。
なぁ~、兄貴…?
俺を優紀ちゃんに会わせてくれよ‼」
兄貴は、頭を抱え出した。
で、兄貴に嫌味を言われてる俺って…。
「総二郎…⁉
幾ら、俺の弟でもなぁ。
今までの総二郎の行いの事を考えると、優紀ちゃんにお前を逢わせる訳には、行かない
だろ?
考えてもみろ?
世間に、総二郎の良い噂が出た試しがないよな?
そんな男を、幾ら、俺の弟でも、松岡家のお嬢さんで在る 優紀ちゃんに進められる訳
無いだろ?」
「………」
兄貴の言葉は、俺の心の中を抉って来た。
“こんな俺に成ったのは、少なくとも、兄貴のせいでも有んだよ‼”って、言いたかった。
だが、兄貴は、頭を抱えたまま、身体は、縮こまって蹲って丸まって居た。
そんな兄貴を見たら、何も言えねぇ、俺が其処には居たのだった。
過ぎた日は、もう、返って来ない。
けど…。
この思いを…。
3年待ったこの思いを…。
そう簡単には、捨てれねぇ俺が居る事も、また、事実だった。
<司side>
総二郎から、LINEが来た。
俺は、あの日…。
そう、俺は、後ろ髪を引かれる想いで、あいつと別れてから…。
あの後、3年経って、漸く、日本支社長のポストを与えられて、日本に帰国して帰って来た。
総二郎のLINEには、驚愕する様な言葉が入っていた。
『今日、兄貴の披露宴に出て、優紀ちゃんが、義姉の妹だった事が分かったんだ‼
一応、“兄貴に逢わせろ‼”って、言ってみたけど…。
断られた。
俺に良い噂が出た試しがないから、“逢わせられねぇ‼”って、言われたわ。
けど…。
俺は、諦め切れねぇから、遣るだけ遣ってみるわ。
因みに、牧野は、兄貴の担当する研修医だったらしく、披露宴に招待されて来てた
ぞ。』
俺は、やっぱり、祥さんの招待を断わらずに行けば良かったぜ。
何で、こんな時に限って、出張、何だ?
俺は、誰とは言えず、悪態を突いて居た。
総二郎のLINEに、『既読スルー』にする訳もいかず、取り敢えず、返信だけして於いた。
『分かった。
教えてくれて、サンキュな‼』
<椿side>
私は、司がNYに居た此の3年間の間に、それまでとは違う弟を見ていた。
勿論、他人(ひと)に対しての対応は、それまでとは、全く変わらなかった。
寧ろ、女性嫌いは、寄り一層、加速したかの様にも、見えた。
けれど…。
何かが、違う⁉
男っぷりが増したというのか?
男度が増したというのか?
兎に角、違って居た。
だから、お母様に話ししてみた。
そうしたら、お母様は、何食わぬ顔で、私に返答して来た。
「3年前の司の親友達の卒業式に、司が出席して、日本から此方(NY)に戻って帰って来
た頃からだったかしら…ね。
私(わたくし)も、そんな気がして居たわ。
もしかしたら、好きな女性でも出来たのかしら…ね?」
お母様の言葉に、私は、度肝が抜かれた。
“女性嫌いの司に、まさか…?”としか、言い様が無かった。
でも、そうだ思えば、司の仕草・態度には、納得した私だった。
なので、日本支社長として、日本に帰国して帰った弟を、追い掛ける様に、私は、日本に帰国したのだった。
で、司の変わり様に、私は、もっと、度肝が抜かれる結果と成った事は、言うまでも無かった。