インフルエンサー・マーケティング…<つかつく> 2.
楓は、つくしに、行き成り、辞令を出した。
そして、つくしは、其の辞令に関して、楓に断りを入れた。
其の後、不貞腐れ気味に楓は、つくしに話しして居た。
「あら、企画営業本部長には、了承を得てるわよ‼
其れと、引継ぎは、必要ないわ。
引き続き、企画の仕事は、遣って頂戴。」
つくしは、不思議だった。
企画の仕事は、今まで通り…。
“じゃあ、何故、異動の必要性が有るのか?”と…。
だから、つくしは、楓に確認していた。
「前部署での引継ぎを行わない異動等、聞いた事は有りません。
今回の異動の辞令は、如何言う意図を以って行われるのでしょうか?」
楓は、つくしの置かれている立場を分からせる為…。
此処で、伝えるべきだろうと判断した。
「今や、つくしさん…は?
貴女は、司より、此の道明寺HDにとって、最重要人物に成って居るのよ‼」
「………」
つくしは、楓が言って居る意味が、全く、分からずに居た。
否、如何、解釈すれば良いのか?
分からずに居た。
だから、つくしは、驚愕で、言葉も出せかった。
だが、訊かずには居られない状況、故…。
楓から、訊き出す事にしたつくしだった。
「其れって、一体、如何言う意味、何でしょうか?」
楓は、つくしの方を、じーっと、見詰めながら、お道化た表情から真剣な顔付きに成り、話しを綴っていた。
「つくしさん…?
貴女は、今や、道明寺HDの『インフルエンサー』なのよ。
『情報発信能力』に、長け過ぎて居るのよ‼
其の為、今や、つくしさんは、道明寺HDの『インフルエンサー・マーケ
ティング』を担って居ると言っても、過言じゃないわ。
其の為、他企業から、貴女は、狙われて居るの。
他企業が、貴女を欲しがっているのよ‼
今や、つくしさん…。
貴女は、司にとってだけじゃ無く、道明寺HDにとっても無くては成らない存在。
つくしさんに何か遭っては、司だけじゃ無く、間違い無く、道明寺HDにも、悪影響を
及ぼす事に成る。
だから、常に、司の傍につくしさんを置いて於きたいの。
今まで、何も無かった事が、救いよ‼
本当に、つくしさんの中には、危機管理と言うモノは、存在しないみたいね?
マンションから、地下鉄通いだ何て…。
つくしさんは…不服だったらしいけど。
既に、司が、無理矢理、つくしさんも一緒に、マンションに、住まわせて居ると聞いて
います。
此れからのつくしさんの通勤は、司と一緒にリムジンに乗車しなさい。
此れは、強制よ‼
其れと、至急、司とつくしさんの婚約発表を行います。
今までは、司もつくしさんの言われるがままにして居たかも知れないけれど…。
もう、そうは、言ってられない状況に成ったの。
結婚式も、司の誕生日に執り行います。
準備は、此方でします。
宜しくて…つくしさん?」
「………」
つくしは、楓の言葉を聞きながら、口に出して言って居ないつもりで言って居た言葉が、つくしの口の中から、零れていた。
そんなつくしは、“其れって、決定事項よね‼”と、一人、心の中で、ゴチていた。
否、つもりだった。
だが、楓は、しっかり、其のつくしの心の声を拾って居た。
「ええ、決定事項よ‼」
「えっ??」
「言葉に出てるわよ。
もう、少し、緊張感を持ちなさい。」
「………」
つくしは、楓の言葉に面食らって居た。
其処に、楓は、いつも通り、“つくしさんは、相変わらず…の様ね。”と、心の中で思うのだった。
また、何年経っても、知り合った頃から、全く、変わり映えのしないつくしに、“ホッとするやら、呆れるやら…。”と、思う楓だった。
だから、確認したく成った楓で在ったのだろう。
「司とつくしさんは、お付き合いして、もう、何年に成るのかしら?」
「私が高校2年の頃からのお付き合いに成りますので…。
遠距離恋愛の4年を入れると、8年に成ります。」
「そう、もう、そんなに成るのね。
って、事は、私(わたくし)とつくしさんも、8年の仲って事かしら?」
「………(苦笑)」
つくしは、何と返答して良いやら、瞬時に、言葉が出て来なかった。
代わりに出て来たのは…。
つくしの苦笑いの顔付きだけだった。
楓は、楓に苦笑いが出来るのは、家族の他は、第2の家族ともいうべき、タマと西田、そして、つくしだけだろうと、心の中で、思って居た。
だが、つくしには、楓の親としての愛情を、しっかり、受け取っていた。
だから、つくしは、素直に、楓の申し出に答えていた。
「異動の件、そして、婚約発表の件、合わせて承知しました。
社長…。
不束者ですが…。
此れからも、宜しくお願いします。」
其の言葉を聞いた楓は、つくしに釘を刺して於いた。
下手をすれば、他人行儀に話しをするつくしだったからだ。
「つくしさん…。
貴女は、司の婚約者…。
貴女が、後には、司の妻に成るという事は…。
私(わたくし)は、貴女の母親よ‼
そろそろ、私(わたくし)を、『社長』では無く、『お義母様』と、呼んでもらいたい
わね(笑)。」
「………。
承知しました(笑)。」
つくしは、一瞬、面食らってしまって、言葉が出て来なかったが…。
楓の可愛らしい表情を見て、笑ってしまって居た。
其のつくしの態度に、楓は、怪訝さを滲ませて居た事は、言うまでも無い。
そして、つくしは、楓との話しが終わって、楓の執務室を出る寸前に振り返り、ドアの前で、楓に了承を得ていた。
「一旦は、企画営業本部に戻って、席を片付けて、皆さんに挨拶してから、秘書課に異動
でも宜しかったでしょうか?」
「ええ、そうしなさい。
司には、事前に、話ししないといけないでしょ?
後で、つくしさんが困るだけだし…。」
「まあ、何をしても宜しければ、何とかしますが…。」
「まあ、頼もしい事…。
司の件は、私(わたくし)が、了承したわ‼」
楓とつくしは、顔を見合わせて、笑っていた。
周りに居た秘書は、“もう、既に、嫁姑の域を超えた二人なのだろう‼”と、認識していた。