俺の為だけの、俺の女…<つかつく> 16.
<つくしside>
桜子が、私の左手 薬指に嵌めている『ペアリング』に、桜子の右手 人差し指で指差して来て、早く、言えと言わんばかりに、声を掛けて来た。
「先輩…?
此れって、一体、誰からのプレゼントですか?
先輩の『Birthday』は、まだまだですよね?
何の記念日でも無い時に、『ペアリング』を買って貰うって、そういう意味ですよ
ね?」
「………」
桜子は、私の方を、ニヤニヤしながら、言って来るもんだから…。
返答に困って居ると…。
司が、答えてしまった。
「そう言う訳だ‼」
と、言いながら、司は、司自身の左手 薬指に嵌めている『ペアリング』をF3&優紀と桜子に魅せ始めた。
其の様子を見ていた美作さんが、声を掛けて来た。
「おいおい。
司…?
何時の間に、嵌めてたんだ?」
「さっき?」
で、西門さんが、月並みな事を、司に訊いて来た。
「まさか…?
指輪の内側には、メッセージが刻印されているとか…か?」
「「………」」
司は、刻印されているメッセージを知られたくないのか?
だんまりを決めていた。
勿論、私は、教えてもらって居ないんだから…。
皆に、答えられる筈が無かった。
其れに、“婚約指輪を嵌めるまで、此のメッセージは、見るな‼”と、言われているから、見る事も出来ない。
司が、言うには、『おまじない』らしい。
ほんと、つくづく、司は、『ロマンチスト』だと、私は、思って居た。
だが、其処は、西門&美作ペア…。
司から訊き出そうとしていた。
だが、頑として言わない司だった。
「効力が落ちるんだよ‼」と、司が言った言葉に…。
西門&美作ペアは…。
「「何じゃそりゃあ?」」と、呆れていた。
それ以上、無理強いをしなく成った西門&美作ペアだった。
類は、ソファに倒れ込んで、寝た振りを決め込んでいた。
類は、如何も、いつもの事らしい。
で、ひょんな事から、司と私の付き合いは、F3&優紀と桜子の知れる所と成ったのだった。
後は、お互いの両親だけだった。
否、家族かな?
<司side>
俺は、此れからの事も在るから、西田にだけは、先に伝えて於いた。
「西田…?
今、良いか?」
「はっ、どの様な、ご用件でしょうか?」
「ああ。
俺、牧野コーポレーションの娘と、付き合う事に成ったから…。
宜しく頼むわ‼」
「はぁ~??
何時の間に、その様な事に成って、お出ででしたか?」
俺は、ババアに知られて居るとは言え、事の発端は、西田には、バレてねぇだろうと思い、白状する事にした。
「元々、俺とつくしは、総二郎とあきらの紹介で、知り合ってんだよ。
初めは、あきらの彼女が、つくしの母親から、“誰か、良い人が居たら、つくしに紹介
して欲しい。”と、頼まれてたらしくてよ。
で、総二郎とあきらが、俺に白羽の矢を当てて来たらしい。
けど…?
つくしは、最初、俺に興味を示さなかったんだよ。
それ処か?
無視を決め込んで来やがった。
だから、俺が猛チャージを掛けて、やっと、つくしを手に入れた訳だ‼」
「………、左様でございましたか?」
西田の返答は、やっと、出て来たって感じだった。
西田の顔付きは、今まで、俺が見た事のねぇ様な顔付きをしていた。
言わば、『能面秘書』らしからぬ顔付きとでもいうべきか?
まあ、そりゃあ、そうだろうな?
ババアも、西田も、俺では、つくしを取り込めねぇとでも思って居ただろうから…よ。
だから、俺は、西田に言って遣った。
「ババアにも、伝えて於け‼」
西田は、俺の言葉に、間髪入れずに、返答して来た。
「賜わりました。」
つくしに、逃げられねぇ内に、両家の婚約の約束を収め様とでも考えてんじゃねぇのかと思う程の勢いだった。
俺は、つくしを逃がさねぇし、逃がせねぇんだよ‼
俺は、西田から、“如何言う男に思われてんだ‼”と、思うしかなかった状況だった。
<楓side>
西田から連絡を受けた私(わたくし)は、直ぐ様、日本に帰国して帰って来た。
そして、直ぐ様、牧野コーポレーションにアポを取る様に指示を出した。
そして、取り敢えず、司とつくしさんの恋人としてのお付き合いを容認し、今後は、両社の提携に向けて、動く事と成った。
また、両家は、司とつくしさんの婚約発表を執り行う事で、一致していた。
“こんな事なら、お見合いの席に就いてくれても良かっただろうに…。”と、思うも…。
つくしさんが、最初は、司を避けていた様だから、致し方なかったのだろう。
で、私(わたくし)が、日本に帰国して帰って来て居る事から、両家の家族での食事会を開く事に成った。
本人達は、勿論だが…。
NYから、主人に日本に帰国してもらい…。
LAからは、椿家族にも日本に帰国してもらった。
そして、食事会を開く事を司に容認させた。
つくしさんは、何と言って来るだろうか?
出来るだけ早く、覚悟を決めて欲しい処では在った。