俺の為だけの、俺の女…<つかつく> 17.
<つくしside>
あれから数日経った、或る日の事…。
私は、司とのデートの後、(牧野)邸に送ってもらって、帰宅して居た。
邸に戻るや否や、私は、パパの書斎に呼び出されていた。
“言われる事は、分かり切っているから、別に呼び出さなくても…。”と、密かに、心の中で、悪態を突いて居た私だった。
で、パパの書斎に入ると…間髪入れずに、私は、パパから、悪態を突かれていた。
「つくし…?
どうせ、こう成るんだったら、何も、態々、反抗する事も無かっただろ?
素直に、見合いを受け入れて於けば良かったものを…。」
「………」
私は、パパから、言われるで在ろう言葉を、ズバリ、的中させていた。
私は、“やっぱり…。”としか、言い様が無かった。
“まあ、覚悟はしていたけど…ね。”と、思う、私が、其処には居たのだった。
で、何も言わないで居た私に、パパから、お小言を言われていた。
普段、放任主義かと思いきや、偶に在る過保護振りに、私は、疲弊しない筈等無かった。
「今後は、つくしの嫌いな、家と家との繋がりに成る。
もう一つ、言う成れば、企業間の付き合いに成る。
道明寺社長とは、我が社(牧野コーポレーション)との提携の話しに成って居る。
と、言う事は、今後は、つくしも我が社(牧野コーポレーション)の行事ごとには出て
もらわなければ成らなく成る。
勿論、道明寺HDの行事ごとにも、司君のパートナーとして、出てもらう事に成る。
つくし…?
覚悟は出来て居るんだな?」
「………」
“覚悟が出来て居るのか?”と、パパから聞かれて、“出来て居ない。”と、言えない私は、如何したら良いのだろうか?
司と結婚するという事は、“そう言う事、何だろう。”と、認識せざるを得ない私は、まだ、其処までの覚悟は出来て居なかった。
だから、パパから、言われた時は、何も言い返せなかった。
何も言わなさそうな私に、痺れを切らしたのか?
パパから、続けて話しされていた私だった。
「其れと、司君と、結婚する気が在るなら、そろそろ、弁護士事務所は、退所しなさい。
つくしは、道明寺家に嫁ぐんだぞ‼
今までの様に、自分勝手な事は出来ん。
これからは、司君を助けて行く事を考えないと行けない。
今までの様に、お嬢様じゃ無いんだぞ、つくしは…。」
「………」
私は、パパから、そう言われてしまえば、そう言う事だと、認識せざるを得なかった。
だからと言って、今更、司との将来を無しにも出来ない。
パパは、多分、“弁護士の仕事と、司(君)との結婚を天秤に掛けるな‼”とでも言いたいのだろう。
其れなら、答えは、一つ。
「分かりました。
事務所の所長と、話しして来ます。」
パパは、其れまで私と話しして居た時の厳しい顔付きでは無く、穏やかな、にこやかな顔付きに成って、言って来た。
「そうしなさい。」
いよいよ、私の自由な日々のラストの日は、刻々と、近付いて来ていた。
私の今までの足掻きは、何だったのだろうか?
結局、私は、こっちの世界に舞い戻って来てしまった様だった。
そして、パパから、伝えられていた。
「両家で、近々、食事会が執り行われる予定に成って居る。
その為に、態々、NYから、司君のお父上が、LAから、司君の姉上の家族が、日本に帰
国して帰って来て下さる。
粗相の無い様にしなさい。」
「承知しました。」
私を幾つだと思って居るのだろうか?
何時までも、子供扱いにする私自身の父親に、正直、就いては行けない気分だった。
そして、私は、パパの書斎から出た所で、ママにも声を掛けられて居た。
「つくし…?
本当に、良かったわ‼
素敵な方に、見初められて…。」
「何、其れ…?」
私は、ニコニコして居るママの顔付きを見て、言うつもりじゃなかったけど…。
言ってしまった。
ママが悪い訳じゃ無いんだけど…。
「良く言うわよね、ママ?
桜子に良い人を紹介してくれる様に、頼んだらしいわよね?
ほんと、お節介よね?」
ママも、負けじと、私に言って除けて来た。
「あら、其のお陰で、司さんと巡り会ったんじゃないの?」
分が悪いのは、私の方らしい。
「まあ、そうだけど…。」
其れでも、まだ、ママは、私に悪態を突いて来た。
「つくしは、司さんに会って無ければ、一生、結婚出来なかったんじゃ無いかと、危惧し
ていた処…よ。」
何、ママの其の言い草…?
もう、溜息しか出ないわよ‼
“はぁ~⤵。”
しっかり、私の溜息は、ママには、聞こえていたらしいけど。
私は、もう、ママの小言も、聞く事が辛く成って来て、話しを切る為に、謝って於いた。
「はいはい。
出来損ないの娘で、悪うございました。」
で、その場を後にした私だった。