お祖父ちゃんがくれたモノ…<総優> 7.
<優紀side>
無事、私の親族からの追及の難局を乗り越えた(?)西門さんは、私を連れ出した。
勿論、お父さんの許可を得て居た事は、言うまでも無かった。
だから、西門さんは、私の手を取って来て、恥ずかし気も無く、私に言って除けていた。
「優紀…行くか?」
私は、俯き加減で、西門さんに頷いて居た。
そして、その日は、西門さんの所有らしいマンションに連れて来られた。
其のマンションには、西門流 次期家元らしく、お茶室が備えられていた。
私は、思わず、其のお茶室に正座で座り、久し振りのお茶の世界に酔い痴れていた。
其処に、西門さんが、私に声を掛けてくれた。
「優紀…。
一服、茶を点てるか?」
私は、催促したつもりじゃなかったけど…。
久し振りに、西門さんのお茶を堪能したい気もして…首を縦に振っていた。
私が、お茶の世界に触れ始めたのも、あの時…そう、高校生の頃に遡る。
あの時に、西門さんに点ててもらったお茶に触れた事で、高校生だった頃の私は、茶道部に入ったんだっけ?
なのに…。
お茶に触れ続ける事が、辛く成って…。
高校を卒業後は、お茶の世界に触れて来なかった。
でも、やっぱり、私は、西門さんの事を度外視しても、“お茶は好きかも…。”と、再認識してしまって居た。
お茶の香りに落ち着いて居る私が、其処には居た。
もしかしたら、西門さんの中に、“お茶の香りを感じて居たのかも知れない。”と、私は、思って居た。
そんな事を考え乍ら、西門さんが、点ててくれたお茶を堪能していた。
お祖父ちゃんが亡く成って直ぐなので、不謹慎、何だけど…。
私は、今の此の状況が、何か、嬉しかった。
お祖父ちゃんが亡く成ってからの私は…。
西門さんが居なかったら、こんな精神状態では居られなかったかも知れなかった。
私は、お祖父ちゃんに可愛がられて居た事は、自覚していた。
私は、従兄姉妹の中で、一番下なのだ。
だからかも知れない。
私にとって、優しいお祖父ちゃんは、心の拠り所だった。
だから、中学生の頃の私は、夏休みに成ると、つくしをお祖父ちゃん家(ち)に連れて行った。
私にとって、お祖父ちゃんは、自慢だった。
其のお祖父ちゃんが、居なく成った。
もしかしたら、お祖父ちゃんは、その事(優しいお祖父ちゃんは、私の心の拠り所だという事)を知って居たのかも知れない。
私に、西門さんを近付けてくれた事も…。
お祖父ちゃんが居なく成った後の私の事を、心配してだったのかも知れない。
お祖父ちゃんが、そんな私に、最後にくれたモノ…。
お祖父ちゃんは、分かって居たんだね。
お祖父ちゃん…。
何度も言うけど…。
“今まで、私を支えてくれて有難う‼
そして、此れからも、見続けて居てね。
そして、最後に、“私にお祖父ちゃんがくれたモノ…を、大切にするね‼”と、私は、心の中で、思って居た。
其処に、そんな私を覗き込んで居る人が居るとは、思わずに居た。
西門さんは、そんな私に苦笑しながらも、言って来た。
「何だよ、優紀…。
そんな神妙な顔付きに成って…。」
「えっ??」
“そんな神妙に、私は、成って居たのか?”と、私自身、驚愕していた。
お祖父ちゃんの事を考えて居ただけだったんだけど…。
西門さんは、そんな私の心を理解して居るかの如く、言って除けて来た。
「何…?
優紀は、祖父さんの事でも、思い出してた?」
「えっ??」
「何だよ。
図星かよ…?
ちょっとは、俺の事も、考えろよ(笑)?」
笑い乍ら、西門さんは、言って居たので、私には、怒っている様には、思えなかったんだけど…。
其れでも、一応、私は、西門さんに謝って於いた。
「ごめんなさい。」
「今日だけは、許して遣るよ。
此れからは、俺の事だけを考えろよ‼」
「はい。」
私は、顔が、真っ赤かだと思う。
だって、デコルテから上が、熱く成って来た事を感じて居たのだから…。
何だか、照れて、西門さんを直視出来ずに居た。
そんな私は、西門さんにkissをされて居た。
で、西門さんから言われた。
「今日は、此れで許して遣るよ。
其れこそ、其れ以上は、優紀の祖父さんに怒られそうだから…な。
けど、此れからは、そうはいかねぇからな‼」
私は、頷いて居た。
で、次の日のお葬式も終わり、幾日か経った頃…。
私は、西門さんのお陰で、お祖父ちゃんが亡くなってしまった事も、自然に、立ち直る事が出来て居た。
お祖父ちゃんは、そんな私の事を何もかも、お見通しだったのかも知れないと、今と成っては、思えていた。
何時まで経っても、心配を掛ける孫で、ごめんね。
此れからは、強く成れる様に、頑張るね‼
そして、お祖父ちゃんが亡くなって、1ケ月が経った頃…。
西門さんと私は、F3&T3に呼び出されていた。
そして、今回の経緯を説明させられて居た。
F3&T3は、渋々、了承してくれた。
ううん、許してくれた。
勿論、最後まで、つくしは、西門さんに訴えてくれて居た。
「いい…西門さん‼
優紀を傷付けたら、私の鉄拳をお見舞いするから…ね。」
「否、其れは、拙ぃだろ?
其れは、司の為に有るんじゃねぇのか?」
「優紀の為なら、西門さんにも、使用OKなのよ(笑)‼」
「分かった。
優紀の事は、優紀の祖父さんと約束してるから…。
牧野、云々じゃなく、約束は守るし…よ‼」
私は、西門さんの言葉に、驚愕していた。
私は、お祖父ちゃんに、守ってもらって居るらしい。
西門さんが、私に笑い掛けてくれたから…。
私も、西門さんに微笑み返していた。
お祖父ちゃんに感謝だね。
お祖父ちゃん有難う‼
fin
<此処での『お祖父ちゃんがくれたモノ』…の『モノ』は、『総二郎』の事で
す。
取り敢えず、ご報告まで…。>