おとり捜査…<つかつく> 16.
そんな日々も、更に、半年が経っていた。
そして、司とつくしの関わりも、少しずつ、変化して行った。
誰もが、其の事に気付く位に…。
あの時の退院後のつくしは、警察を辞めて居た。
警視総監も、楓から事情を聞いて居たので…。
警視総監は、つくしの退官の件は、受理せざるを得なかった。
なので、此の半年後のつくしは、更に、会長に、秘書として、鍛え上げられていた。
だから、会長は、司との、プロジェクト会議には、必ず、会長の秘書として、つくしを就けていた。
其れは、司の頑張りに、会長が労っての事だった。
だからこそ、司も、会長に対しての気持ちも変わって行った。
そんな司の様子を見ていたつくしは、徐々に、司に対して、見る目が変わって行った。
そうしている内に、司とつくしの仕事の関わりも密に成って行った。
此れは、会長と楓が、相談して決めた事だった。
司は、つくしと一緒に、仕事が出来る事が嬉しくて仕方なかったのだ。
未だ、つくしは、司を受け入れられる程には、至って居ない。
だが、つくしが、司の傍に居ても、普通にして居る姿に、司は、嬉しさを拭えなかった。
だから、つくしを取り込む為にも、一日でも早く、司は、“良い男に成った。”と、つくしから認めてもらえる様に、司自身、頑張っていた。
其の司の姿に、端から見ている、楓、会長、司の第1秘書の西田…。
だけじゃなく、F3&T3、タマに至ってまで…。
“良い傾向だ‼”と、思って居た。
で、そんな頃のつくしは、会長のお供で、出張する事も増えて来た。
其の際の司は…。
会長のお供として出張して居るつくしの近場に、“少しでも、近付きたい‼”と…。
司は、つくしが出張で訪れて居る出張先を突き止め、西田に頼み込んで、つくしが、出張して居る現地の出張を入れる様に、スケジュールを変更させて居た。
せめて、司は、ディナーだけでも、つくしと一緒に過ごしたかったのだ。
西田は、出来るだけ、司の意向に沿う様に、スケジュール調整をするのだが…。
其れでも、西田は、司の我儘振りには、疲弊仕掛けて居た事は言うまでも無い。
楓も、西田から、其の報告を受けて、呆気に取られていた。
否、楓は、司に呆れていた。
そんな司の行動に、歯止めを掛けられるのは、如何も、既に、つくしだけの様子だった。
なので、楓は、会長に相談する事にしたのだった。
楓は、会長に詳細を伝えた上で…。
楓は、会長に提案を入れるのだった。
「司の過剰な行動を、セイブ出来るのは、如何も、つくしさんだけの様ですわ‼
会長…。
つくしさんを司の傍に居させて頂く事は可能でしょうか?」
会長は、“そろそろ、其の時期が来た様だな…。”と、覚悟を決めていた。
会長は、つくしを手放す覚悟を…。
だが、寂しさを募らせる会長では在ったのだが…。
会長にとっては、道明寺HDとの、今後の提携の為…。
お互いの企業の提携を強固にする為に、楓との話し合いは、既に、つくしを取り込む時に、話しは、纏まっていた。
唯、会長は、つくしの『爺』として…。
会長の孫として、『つくし』を見始めて居た。
なので、会長にとっては、つくしを手放す事が惜しくも在ったのだった。
だが、つくしの将来の幸せの為と思えば…。
会長は、つくしの『爺』として、つくしを手放す覚悟を決めて居たのだった。
そして、会長から、つくしは話しを聞かされていた。
「つくし君…。
明日から、道明寺HDに出向してもらう事に成る。
明日からは、儂は、つくし君の一人の『爺』として、居させてもらう事にする。
所謂、つくしは、もう、儂の孫じゃからな‼
だから、何か在れば、何時でも、爺に言ってお出で‼
良いな、つくしっ‼」
つくしは、会長の言葉に戸惑って居たが…。
つくし自身も、道明寺HDに出向する事は、満更でもない様子だった。
唯、つくしも、会長と離れる事を寂しく思って居た。
もう、つくしも、会長の孫の様に、思って居たのだから…。
だが、道明寺HDに出向する事を了承していたつくしだった。
「承知しました。」
だが、つくしからの其の言葉を聞いた会長は、寂しさを募らせるのだった。
また、司は、漸く、つくしが道明寺HDに出向して来る事を、西田から聞かされ知った事で、喜びを爆発させていた。
其の日の司の執務は、西田に文句を言う事も無く、進めていた司だった。
西田は、司の其の行動に、呆気に取られていた。
否、呆れて居た。
余りにも早い司の変わり身には、脱帽の西田だった事は、言うまでも無い。
また、西田から報告を受けて居た、母親の楓でさえも、息子で在る 司には、脱帽だった事は、言うまでも無い。
そして、つくしは、道明寺HDに出向して、西田から、司の第2秘書に就く事を告げられていた。
つくしは、“やっぱり…。”と、思うしか無かった。
司との余りにも近い距離間に、“仕事がし辛くなるのでは無いか?”と、つくしは危惧しての事だった。
其の辺りは、西田が、フォローする事を約束してくれた。
なので、つくしも、少し、安心していた。
だが、そう簡単には、『そうは問屋が卸さない』のが、司という男だった事は、言うまでも無かったのだが…。
<此の二次小説『おとり捜査…<つかつく> 16.』は、切りが良い為…。
短めに成っております事をお詫びします。>