エロ門、改め【エロ門、登場】…<総優> 続編⑬
<総二郎side>
そして、1月6日の朝が遣って来た。
実は、6日の朝に成っても、優紀は、妊娠に気が付いて居なかった。
此れには、俺だけじゃ無く、お袋も呆れて居る様子だった。
だが、取り敢えず、俺は、優紀をリムジンに乗せて、兄貴の病院に連れて行こうとしていた。
で、発覚した。
優紀の悪阻は、如何も、リムジンの匂いに、察知するらしい。
急に、嘔吐しそうに成り、優紀は、苦しそうにしていた。
俺の匂いには、異常が見られなかった事は、俺にとっては、嬉しいが…。
優紀は、運転手に、申し訳なさそうにしていた。
だが、此れに関しては、優紀が悪い訳じゃねぇ‼
仕方ねぇと言える部類だろう。
で、俺の愛車に優紀を乗せて、兄貴の病院まで、連れて行った。
しかも、同じ『車』と言える乗り物に違いねぇのに…。
俺の愛車も、俺同様、如何もねぇらしい。
そんな優紀に、俺は、嬉しく思った。
俺だけが、優紀に選ばれた男なのだと、実感出来た。
で、兄貴の病院の産婦人科の前に、俺は、優紀を連れて行った。
其処まで来て、やっと、優紀は、認識したのか?
優紀は、やっと、優紀の此の胸のむか付きの原因を理解した様子だった。
俺は、思わず、優紀に言いそうに成った。
“遅ぇんだよ‼”と…。
だが、其の言葉は、喉の奥に押し込んで遣った。
優紀も、新年早々、神経を使って、色々、疲れた数日間だっただろうから…。
だが、優紀は、産婦人科の女医から、言われた言葉に、驚愕していた。
「妊娠10週目よ‼
既に、妊娠3ケ月に達して居るわよ‼
おめでとうございます。」
優紀は、放心状態のまま、女医に、礼の言葉を述べていた。
俺とは、声が重なって居たが…。
其れさえも、気が付かねぇ、優紀の様子だった。
其れ程までに、驚愕気味の優紀だった。
「「有難う御座います。」」
だが、女医は、真剣な顔付きに成って、俺と優紀に言って除けて来た。
「但し…。
年末年始は、飛行機に乗ったのよね⁉
幾ら、妊娠に気が付いて居なかったとしても…。
妊娠初期に、そんな無謀な事を…。
流産に成って居たら、如何して居たの?
此れからは、無茶をしない事。
ご主人も、宜しいわね?」
俺と優紀は、了承の返事をする事だけに留めていた。
「「はい。」」と…。
そして、(西門)邸に帰宅してからは、玄関先まで、お袋が、俺と優紀を迎えに出て来て居た。
で、お袋は、俺の顔を凝視し乍ら、俺に、一言だけ、訊いて来た。
「如何だったの?」
だから、俺は、優紀を自室で休ませて遣りたかったのも在って、お袋には、簡単に報告していた。
「妊娠10週目…。
妊娠3ケ月だった。」
俺の其の言葉に…。
お袋の顔は、俺が、今まで、見た事のねぇ様な顔付きに成り、急に、燥ぎ始めた。
こんなお袋を、今まで、俺は、見た事が無かった。
俺は、何方かというと…。
そんなお袋に、驚愕していた。
妊婦で在る 優紀の方が、冷静に見えて来た俺だった。
で、お袋は、優紀に、祝いの言葉を言って居た。
「優紀さん…。
おめでとう。
そして、有難う‼」
で、今度は、お袋は、泣き始めた。
“お袋は、情緒不安定気味か?”と、俺は、疑いたく成る程、お袋の様子に、驚愕しか無い俺だった。
何故なら、俺が、産まれて此の歳に成る迄の今までに、見た事のねぇお袋だった事は言うまでもねぇのだから、致し方ねぇ筈だ‼
で、優紀の妊娠の件は、お袋➡親父に…。
そして、お袋➡使用人頭に伝わった。
と言う事は、邸中の誰もが、知る処と成った。
そして、優紀は、お袋に言って居た。
「“妊娠は、病気では無い。”と、良く伺います。
初釜までは、次期家元夫人としての役割をしっかり全うしたいと思います。
ご指導、宜しくお願いします。」と…。
だが、俺は、優紀が心配だった事は言うまでもねぇ。
だが、優紀の真剣な顔付きを観て居たら、俺は、何も、言い出せなかった。
だから、俺は、そんな優紀をフォローして遣る事に決めていた。
初釜の日は、俺が亭主で、優紀が半東を務める事に成って居た。
優紀は、お袋から、少しずつ、此の日に向けて、指導してもらって来た。
だから、優紀は、慌てる必要も無い筈なのだが…。
やはり、初めてという事も有り、心配して居る様子だった。
だからこそ、お袋は、真剣な顔付きで、優紀に返答していた。
「賜ったわ。
優紀さん…。
此方こそ、宜しくお願いしますね。」
優紀も、ニコッと、笑い乍ら、お袋に返事して居た。
「はい。
宜しくお願いします。」と…。
で、初釜の日の1月7日は、何事も無く…。
無事、終了した。
まあ、一部の重鎮や弟子からは、優紀に対して、嫌味の様な態度をされて居た様子だったが…。
家元と家元夫人が、優紀に対して、『認めた』と言う言葉に、誰からも、反論出来ずに居た様子だった。
優紀は、其れ程、そう言う奴等の態度を気にしてねぇ様子だったが…。
そんな優紀の様子に、“流石‼”としか、俺には、言えなかった。
優紀という女は、ここぞという時には、スイッチが入ったかの様に肝が据わるんだよな。
俺には、そんな優紀を感心するしか出来なかった。