Remember me…<つかつく> 6.
其の後…。
司は、西田に指示を出して居た。
「今後も、NY同様…。
女の秘書は、ぜってぇ、俺の執務室には、入らせるな‼
コーヒーは、牧野に指示を出せ‼」
西田は、呆れるしかなかった。
「女性秘書の件に関しましては、想定内で在りますので、承知致して居ります。
しかし乍ら、先程も、申しました通り、牧野様には、牧野様の業務が御座います。
既に、秘書課から受付課に異動と成っております。
今や、受付課は、牧野様に寄り、生まれ変わったと言われております。
我が社の受付課の対応の評判は、牧野様が、受付課に異動してからで御座います。
其れ故、会長 並びに 社長より、牧野様を秘書課に戻す事は、許されておりません。
司様…。
ご了承下さいませ。」
司は、西田の言い分が最も過ぎて、イラ付いて居た。
「もう、良い‼
自分で、何とかする‼
西田、お前は、下がってろ‼」
司は、西田が、西田の自室に下がって行くのを見届けて直ぐ、つくしの居る受付課に内線を掛けていた。
「はい、受付課 ○○で御座います。」
「其処に、牧野は居るか?」
「失礼ですが…?
何方様でしょうか?」
「支社長だ‼」
「失礼致しました。
只今、離席致して居りますので、折り返し致します。」
「承知した。」
受付課の女性従業員は、手に汗が出て居るのを感じ取っていた。
で、つくしが戻って来たので、司からの言付けを伝えた。
「主任…。
先程、支社長より、内線が入って来ました。
折り返し欲しいとの事でした。」
つくしの心の中では、溜息しか出なかった。
“はぁ~⤵。”
「賜りました。
事務室で折り返しして来ます。」
「賜りました。」
で、つくしは、支社長の執務室に内線を掛けた。
「もしもし、受付課の牧野です。
内線を頂戴して折ったと、言付けが有りました。
離席して居りましたので、失礼致しました。」
司は、つくしが折り返しして来た事に気を良くしたのか?
司の声には、頗る優しさが在った。
「否、構わねぇ。
牧野、今直ぐ、俺の執務室に来てくれるか?」
「何か、御座いましたでしょうか?」
「来てから、説明する。」
「賜りました。」
つくしは、怪訝では在ったが…。
支社長の申し出を、無下に断る事も出来ず、向かう事にした。
つくしは、部下に、司の執務室に呼び出された事を伝え、司の執務室に向かって居た。
司は、つくしが来る事を、今か今かと、待ち詫びていた。
つくしが、司の執務室前に着いて、ドアをノックして、司の執務室に入った時、つくしは、吃驚してしまった。
司は、艶っぽい目付きで、執務机の前に軽く座る様にして立って居て、腕を組んで、足を組んで、ドアが、開く事を待って居た。
つくしは、そんな司を見て、微動だに出来ずに居た。
否、如何、司に対応して良いのか?
つくしは、分からずに居たと言う方が、正解だろう?
司は、そんなつくしを見て、ほくそ笑んでいた。
そして、つくしに声を掛けた。
「牧野、俺にコーヒーを淹れてくれ‼」
つくしは、心の中で、“何度、言わせるんだ‼”と、司に呆れていた。
「先日も、お話し致しました様に、其れは、私の仕事では、御座いません。
秘書課にお任せ下さいませ。」
司は、急激に身体の熱が下がる事を感じていた。
「俺の指示に従えねぇのか?」
司のトーンは、1トーン処か?
2トーン位、下がった様な声に、つくしは、恐怖を感じて居た。
当の司は、額に青筋が3本出ていた。
司は、尚も、言って除けていた。
「兎に角、コーヒーを淹れて来い‼
さもないと、俺は、業務を遂行しねぇ‼
俺が、執務放棄すれば、お前が困るだけだぞ‼」
つくしは、困り果てていた。
取り敢えず、つくしは、司の執務室を出て、西田の執務室に向かった。
「受付課の牧野です。
ご相談が御座います。
宜しかったでしょうか?」
「どうぞ、お入り下さい。」
つくしは、入るや否や、西田に訴え掛けていた。
「先程、支社長より、コーヒーを淹れる様に申し付かりました。
ご説明させて頂きましたが…。
私が、コーヒーを淹れ無ければ、“業務を遂行し無い。”と、仰ってお出でです。
如何致しましょうか?」
西田は、考えた挙句、つくしに頼む事にした。
「賜りました。
牧野さん…?
申し訳御座いませんが、支社長の為に、コーヒーを淹れてもらえますか?」
「従来通りで、宜しかったでしょうか?」
「構いません。」
「賜りました。」
其れにしても、受付課に異動する前は、例え、秘書課に居たつくしで在ったとしても…。
現在、秘書課から受付課に異動して居るつくしが、司に命(めい)を受けたからと言って、コーヒーを淹れる為に、秘書課を出入りする事は、可笑しな事…。
西田は、機転を利かしたつもりで、秘書課の面々に、『コト』の次第を説明した。
「支社長の命(めい)を受けて、今後は、以前、秘書課に居られた牧野さんが、支社長の
コーヒーを淹れる事に成りました。
ですので…。
今後、受付課の牧野さんが、此方(秘書課)に出入りする事に成ります。
ご理解下さい。」
西田は、『秘書課に居られた』と言う言葉を、分かり易く、語尾を強めに、秘書課の面々には、伝えていた。
此れに寄って、司のコーヒーを淹れるという仕事は、つくしの業務と成った。
しかし、此れを面白く無いと思うのは、女性秘書の面々…。
秘書課の面々は、つくしの性格を知り尽くしている筈で在る。
しかし、女性秘書の面々の中には、妬み、嫉み、嫉妬心から、つくしを阻害し様とする者も出て来た。
特に、先日、司の執務室にコーヒーを持って行って、入室拒否された女性秘書は、尚の事…。
司が、何故、つくしだけを贔屓にするのか?
秘書課の女性秘書の面々にとって、面白く無いという処なのだろう?
『支社長(司)のコーヒーを淹れるという仕事は、牧野さん(つくし)の業務と成った』という事を、西田から、秘書課の面々に、伝わった事を知った司は…。
此の後から、更に、司は、つくしに執着し始めた事は言うまでも無い。
<此の二次小説『Remember me…<つかつく> 6.』のカテゴリーが、別の
『Rememer me…<つかつく>』に入れられて居た為…。
修正する為、一旦、公開を外して居ました。
お詫び申し上げます。
お詫び文掲載日…2020.1.21 23:18>