奇跡の出会い…<つかつく> 9.
【F4side】
F3 それぞれは、怪訝に思って居た。
何しろ、司が言って居た『つくし』という(女性の)名前を、嘗て、司から、聞いた事が無かったので、F3が、怪訝な態度を示しても、致し方ない状況だったのだ。
寧ろ、此の状況は、F3にとって、首を傾げる状況だったのだ。
F3は、“司に訊く事は、当然だろう。”と、お互いの顔を見合わせて、目線を送り合いして居たのだ。
で、F3は、司に確認する事にしたのだった。
司に訊き出す事は、類と総二郎の目線から、司の『猛獣遣い』のあきらと成った事は言うまで無かったのだ。
「司…。
『つくし』とは、誰…何だ?」
司は、飄々と、答えていた。
「ああ??
俺の女だ‼」
其の司の言葉に、F3は、揃って、雄叫びを挙げていた。
「「「はぁ~??
『女嫌い』のお前が…か?」」」
司は、イラつき乍ら、F3に返答していた。
「だったら、何だよ⁉」
F3は、司の顔付きを、凝視し乍ら、返答していた。
「「「否、何もねぇ(無い)。」」」
F3は、司に反論する事を避けたのだった。
“取り敢えず、『司の女』とやらに、会おうぜ‼”って事で、F3の中では、一致して居たのだった。
【司・つくしside】
司は、興奮状態に在った。
何故なら、やっと、つくしに会えるのだから…。
“どんな事をしても、俺は、もう、お前を離さねぇ‼
こんなに、俺を苦しめやがって…。
覚えて於けよ、つくし…。”と、司は、心の中で、叫んでいた。
其処に、西田が、つくしを連れて、司の部屋に入って来た。
つくしの顔は、何時ものつくしの顔付き寄り、強張っていた。
しかし、今の司には、そんな事は、如何でも良かったのだ。
つくしの顔が観られただけで、司の気分は浮上して居たのだから…。
“司の高熱は、何処に行ったのか?”と、誰もが、不思議がる状況だった事も、また、事実だったのだ。
そうなのだ。
つくしが、現れた事で、司の高熱は、一気に、微熱近くまで、下がって居たのだった。
(此れには、F3も、驚かざるを得ない状況だったのだ。)
なので、司の瞳(め)は、つくしを捉えると、ベッドから下りて、其のままの勢いでつくし目掛けて駆け出し、つくしを抱き締めていた司だったのだ。
つくしの顔は、驚愕顔が張り付いた状況だったのだ。
司はして遣ったりとばかりに、つくしをきつく抱き締めていた。
そして、司の心の中は、“もう、お前を離さねぇ‼”と、叫んでいた。
なので、つくしの耳元に、司は、囁いていた。
F3と西田に聞かれない様に…。
「やっと、つくしに会えた。
どんなに、俺が苦しかったのか?
つくしは、分かってんのか?」
「………」
つくしは、司の肩に顔を埋めたまま、司の言葉を聞くだけで、一切、返答しなかった。
実は、つくしは、返答出来ずに居たのだ。
司に抱き締められたままで居る事が、恥ずかしくて、つくしは、顔を赤らめて居たのだった。
司の部屋には、未だ、F3も、西田も、居るのだ。
致し方ないと云えたのだった。
「なぁ~。
俺が、“もう、お前を離さねぇ‼”と、言えば…。
つくしは、此れからも、俺の傍に、居てくれるのか?」
「………」
司は、尚も、黙ったままのつくしに、イラつき始めていた。
「何故、黙ったまま…何だ?
俺に、逢いに来てくれたんだろ?
もう、許してくれたんだよな?」
「………」
「つくし…。
何故、黙ってんだ?
もう、帰るとは言わねぇよな?」
司は、寂しそうな、辛そうな顔をして、つくしの答えを待って居た。
つくしには、司の其の状況は、司の声と成って、つくしの耳に聞こえて来ていた。
そんな司の声を聴いていたつくしは…。
切なく成って居た。
だからだったのだろうか?
つくしの口からは、飛んでも無い言葉が出ていた。
「大丈夫だよ。
取り敢えず、道明寺さんの病状が治まるまで、私は、道明寺さんの傍に居るから…。」
だが、其のつくしの言葉は、後々、つくしを後悔させる事に成るのだった。
つくしは、後2~3日で、司の病状は回復すると思って居たのだ。
だから、其の後のつくしは…。
司が回復すれば、地元に戻るつもりで居たのだった。
だが、其の後の司の行動に、吃驚させられる事に成ろうとは、此の時のつくしは、思いも寄らなかったのだ。
【F3・西田side】
此の状況を、全く、理解出来ないF3は、如何、理解すれば良いのか?
西田に確認する事にしていた。
西田は、司とつくしの二人っ切りにする為に…。
F3を別室に連れ出して居た。
そして、西田は、司の変貌振りの訳を含めて、全てを、F3に話しして聞かせていた。
今後、『老舗割烹旅館 まきの』のプロジェクトの際に、類とあきらが、司の味方に成る様な気がしていた西田だったのだ。
だから、今までの『老舗割烹旅館 まきの』での、出来事をF3に話しして居た西田だった。
所謂、此の日までの司とつくしの話しを含めて、『老舗割烹旅館 まきの』のプロジェクトの件も踏まえて、西田は、F3に、伝えて居たのだった。
西田の其の話しを聞いた類から、先ずは、口火を切っていた。
類から、口火を切る事は、F4の中でも、稀な事だったのだ。
其れ程までに、司の変貌振りは、F3を驚愕させたと言う訳だったのだ。
「あの司が…ねぇ。」
「ああ、全くだ。」
「あの『女嫌い』の司が、そう簡単に、恋に落ちるとは…な。」
だが、類は、既に、面倒臭そうで在った。
所謂、其の時の類は、既に、別にどっちでも良い様な感じだったのだ。
もう、類の興味は其処には無かったと言う訳なのだろう。
取り敢えず、其の日のF3は、帰る事にしたのだった。
<司side>
俺は、つくしに許しを請う為…。
買収計画の件に関して、話しし始めて、つくしに聞かせる事にしたのだった。
「つくし…。
買収計画の件だけど…な。
経営に関しては、うち(道明寺HD)が、実権は握るが、『老舗割烹旅館 まきの』の
体制は、今までのままだ。
所謂、支配人は、つくしの父ちゃん…。
将来的には、つくしの弟の進に任せる予定だ。
女将も、つくしの母ちゃん…。
従業員もそのままの体制で行く。
此れじゃあ、駄目か?
なぁ~、つくし…。
許してくれよ。
黙ってた訳じゃねぇんだ‼
つくしに、言えなかったんだ‼
お前を手に入れたくて…。
なぁ~、つくし…。
こんな俺を、まだ、許せねぇか?
やっぱり…駄目だよな?
俺は、お前と結婚したいと思ってる。
其の為に、お前ん家(ち)の旅館と提携合意して、俺とお前との婚約発表をして、盤石
な体制で居てぇんだ。
其れじゃあ、理由に成ってねぇか?」
俺は、つくしが、何も反論して来ねぇ事を良い事に…。
捲し立てる様に、つくしに言い切って遣った。