喧嘩をしてしまった…<総優> 6.
【5.のエピローグ】
此の頃の総二郎にして視れば…。
自身の敵が、『滋』に成るとは思いもして居なかったのだ。
という訳では無かったのだが…。
何故?
自身の敵が、『滋』に成るのか?
其の事自体が、此の時点での総二郎には、理解出来ずに居たのだった。
だが、滋には、『滋』成りの持論…。
所謂、滋には、滋にしか分からない持論が有ったのだ。
本来の滋には、自身の傍には、『つくし』が居て欲しかったのだ。
だが、其の『つくし』は、『司』と云う…。
滋にとっては、最大の『天敵』と言うべき存在が、滋の目の前には、君臨して居たのだ。
だからだったのかも知れない。
滋は、『つくし』を諦めて居たのだ。
だが、滋は、ふと、思ったのだ。
“私には、まだ、T2が居る。”と…。
だから…。
という訳では無かったのだが…。
滋は、周りを見始めたのだった。
其処に、滋の中で、浮上したのが…。
『優紀』という存在だった事は言うまでも無かったのだ。
なので、滋は、優紀に、打診したという訳だったのだ。
本来、滋自身の仕事上のベストパートナーは…。
自身が、信頼於ける相手だという事は、常々、滋が、思って居た事だったのだ。
だからだったのかも知れない。
滋は、即、優紀に、声を掛けた様なモノだったのだ。
だが、優紀は、優紀とて…。
どんどん、話しが進んで行く中で…。
不安に思って居た事は、確か…だったのだ。
だからこそ…。
優紀は、つくしに、相談し始めるのだった。
「つくし…。
私が、大河原グループの就職試験を受けても…。
大丈夫だと思う?」と…。
だが、当のつくしは、飄々と、そう不安気に言って来た優紀に、言って除けるのだった。
「優紀なら…。
大丈夫だよ。
優紀は、きっと…。
大手企業に、就職する事を、不安に思って居るんだろうけど…。
滋さんは、優紀を見捨てたりし無いと思う。
其れに、優紀だからこそ…。
滋さんは、自身の会社に、優紀を、誘ったと思うし…。
優紀だからこそ…。
滋さんは、自身の傍に、優紀が、居て欲しかったと思うよ。
其れだけ…。
滋さんは、優紀を信頼して居るという証だと思うよ。
私は、滋さんを信頼して良いと思うよ。
其れに、滋さんは、優紀にとって…。
仲間でしょ‼」と…。
だからだったのかも知れない。
優紀は、そう言ってくれたつくしに、思うのだった。
“そうだよね。”と…。
なので、優紀は、そう言ってくれたつくしに、素直な気持ちで、返答するのだった。
「うん。
私…。
滋さんを、信頼して視る。」と…。
だからだったのかも知れない。
優紀は、大河原グループの就職試験を受ける事にしたのだった。
そして、優紀は、大河原グループから、内定を貰う事と成るのだった。
其れからの優紀は、精力的に、秘書の仕事を熟す日々だったのだ。
其れは、優紀にとって…。
理由が有ったのだ。
何故なら…。
優紀にして視れば…。
“まさか、自身が、大手企業に、就職出来るだ何て…。”と、言う思いが有ったからだったのだ。
だからだったのかも知れない。
優紀は、滋に対して…。
恩返しのつもりで…。
滋に尽くして居たのだった。
だが、そんな優紀の様子を、知ってか知らずか?
何時の間にか?
良いと思って居ない人物も出て来たのだった。
勿論、其れは、総二郎だったのだ。
実は、此の時の総二郎は、自身に、一切、興味を示そうとして来ない優紀に、苛立ち始めて居たのだ。
勿論、そう言う風に、感じる事自体…。
総二郎の自分勝手な事位…。
誰にでも、分かる様なモノだったのだ。
だからだったのかも知れない。
あきらは、総二郎に、助言するかの様に、訊き始めるのだった。
「なぁ~、総二郎…。
ここ最近…。
苛立って居るだろ?」と…。
今の総二郎にとって…。
そんな風に、訊かれる事自体…。
気に入らなかったのだ。
何故なら…。
此の時の総二郎は、自身の心の中を、抉られて居る様な気がして居たからだったのだ。
だからこそ…。
総二郎は、あきらに言えた言葉だったのだ。
「うっせぇよ~。
あきらは、俺に、何が言いてぇんだよ?」と…。
なので、あきらも、そう言って来た総二郎に、遠慮無く…。
言って除けるのだった。
「今の総二郎は…。
優紀ちゃんの事で、苛立ってるんだろ?
違ぇか?
総二郎…?」と…。
だからだったのかも知れない。
此の時の総二郎は、そう言って来たあきらに、自身の事は、何もかも知られて居ると言う事も在るのか?
諦めたかの様に…。
そんなあきらに、言って除けるのだった。
勿論、総二郎は、溜息を突き乍ら…。
「はぁ~⤵。
そうかも…な。
優紀ちゃんは、如何も…。
俺に対して…。
何の興味もねぇらしいわ。
今迄…。
F4の一員の俺に対して…。
何の興味も示さなかった女が、嘗て、居たか?
其れでも…。
高校生の頃の優紀ちゃんは、其れ成りに、俺に対して…。
興味を示して居た頃も有ったんだぞ‼
其れなのに…。
今の優紀ちゃんは、俺に対して、一切、興味を示してくれねぇらしいわ。
なぁ~、あきら~。
そんな話しが有って良いと思うか?
有り得ねぇだろ?」と…。
まるで、此の時の総二郎は、あきらに、力説するかの様に…。
話しして居たのだった。
だが、あきらは、そんな総二郎を、呆れて居たのだ。
何故なら…。
今の優紀は、既に、良い大人な女性へと変貌して居たのだ。
何時までも、優紀とて…。
高校生の頃の『優紀ちゃん』では無いのだ。
其れは、総二郎とて…。
分かり切って居る筈なのだ。
だが、“優紀(ちゃん)に、振り向いて欲しい。”と、願う今の総二郎には…。
現在の優紀の気持ちが、何処に有るのか?
知る由も無かったのだ。
だからこそ…。
不安にも成る総二郎だったのだ。
だからだったのだろう。
あきらは、そんな総二郎に、言って除けるのだった。
「総二郎…。
聞いて良いか?」と…。
なので、此の時の総二郎は、不思議に思い乍らも…。
あきらに、返答するのだった。
「ああ。」と…。
そして、あきらは、そんな総二郎に、更に、言って除けるのだった。
「総二郎は、優紀ちゃんの今の気持ちを…。
確かめたのか?」と…。
其処で、総二郎は、思うのだった。
“はぁ~??
今でも、優紀ちゃんは、俺に夢中な筈だよな⁉”と…。
だからだったのかも知れない。
総二郎のそんな顔付きを観たあきらは、溜息と共に…。
言って除けるのだった。
「だと思ったわ。
云わば…。
総二郎は、今の優紀ちゃんの気持ちを、確かめて居ねぇって…事だよな?」と…。
だからこそ…。
此の時の総二郎は、『目から鱗』状態と成って居たのだった。
何故なら…。
此の時点までの総二郎の中には、現在の優紀の気持ちが、何処に有るか?
何て…。
考えても視なかったのだ。
だからだったのかも知れない。
此の時の総二郎の中では、あきらからの質問の言葉は、『目から鱗』状態だったという訳だったのだ。