喧嘩をしてしまった…<総優> 22.
ここ最近の総二郎は、優紀を迎えに行く日々だったのだ。
実は、其れには、滋からの了承が有っての事だったのだ。
但し、滋からは、注文が有った事は、確かだったのだが…。
「ニッシー…。
こっちとしても…さ。
優紀を、毎日、定時で、連れて帰られると…さ。
仕事が、成り立たなく成る訳…。
だから…さ。
曜日を決めてくれる。
其れに寄って、こっちとしても…さ。
スケジュール調整するから…さ。」と…。
実は、此の滋からの要望は、最低限のギリギリの妥協案だったのだ。
だからこそ…。
此の時の滋は、思うのだった。
気持ちが焦って居るで在ろう 総二郎に対して…。
“もう、此れ以上…。
妥協する事は出来ないから…ね。”と…。
だからだったのだろう。
そう言って来た滋の思いが、総二郎にも、伝わったのか?
総二郎は、滋からの妥協案を呑むのだった。
「ああ。
分かった。
滋…。
滋の配慮に感謝する。」と、お礼の言葉まで、総二郎の口から出た程…だったのだ。
だからだったのだろう。
此の時の滋は、驚愕で、開いた口が塞がらない状況と成って居たのだった。
其れも其の筈…。
此の時の滋は、過去の総二郎から、お礼を言われた記憶が無い滋だったのだから…。
なので、お礼の言葉を口にした総二郎に、驚愕する滋だったという訳だったのだ。
なので、其の後の総二郎は、大手を振って…。
大河原グループの滋の執務室へと行脚の日々だったのだ。
だが、そんな総二郎の様子と…。
滋の執務室への直通エレベーターから、総二郎と一緒に下りて来る優紀を観て居た大河原グループの女子社員は、優紀への嫉妬の炎の目付きをして居たのだ。
だが、滋が公表した事で…。
滋と優紀の関係性を知って居る大河原グループの女子社員は、何も出来ずに居たのだった。
何故なら…。
折角、大手で在る 大河原グループに就職出来たにも関わらず…。
見す見す、退職 or 出向に、追い遣られては、大河原グループに就職した意味が無いのだ。
だからこそ…。
誰も、総二郎と優紀の事に、触れる人物は出て来なかったのだ。
だからだったのだろう。
其れ以降も、徐々に、総二郎は、大胆に成って行くのだった。
まるで、総二郎と優紀の二人の関係性を、魅せ付けるかの様に…。
だからだったのかも知れない。
優紀は、優紀で…。
此の環境にも、徐々に、慣れて来た事も有り…。
そんな総二郎に、強く言わなく成って居たのだった。
云わば…。
其の後の優紀は、徐々に、総二郎から絆される様に、成るのだった。
其れを良しとする総二郎は、そろそろ、次の段階に進もうとするのだった。
だからだったのだろう。
総二郎は、優紀に、訊き始めるのだった。
「なぁ~、優紀…。
俺と優紀は、付き合って居ると云っても、過言じゃねぇよな?」と…。
だが、優紀からの返答は、総二郎にとって、思っても視ない返答の言葉だったのだ。
「えっ??
私は、西門さんと、お付き合いさせて頂いて居たと言う事ですか?」と…。
だからだったのだろう。
総二郎は、そんな優紀からの返答の言葉に、呆気に取られて居たのだった。
其れでも、此の時の総二郎は、そんな優紀に、食い下がらろうとするのだった。
何故なら…。
そんな優紀を、放って置いたら…。
“お友達ですよね?”と、言い出し兼ねないのだ。
だからだったのだ。
此の時の総二郎は、更に、優紀に、言って除けるのだった。
「俺は、優紀と付き合ってると思ってる。
優紀が、俺と付き合ってると思って無くても…。
今の俺は、優紀とは、ダチじゃねぇ‼
今の俺は、優紀の彼氏だ‼
少なくとも…。
俺は、そう思ってるから…な。」と…。
だが、そう言って来た総二郎に対して…。
此の時の優紀は、思って居たのだった。
“「お友達から…。」と、お願いして居たと、思いますが…。”と…。
だが、今の総二郎に、優紀のそんな思いは、通じそうに無かったのだ。
だからこそ…。
此の時の優紀は、言葉を発する事は無かったのだ。
だからだったのかも知れない。
何も、返答して来ようとし無い優紀に、此の時の総二郎は、不安に成るのだった。
だからだったのだろう。
総二郎の口は、言わなくても良い言葉を、発するのだった。
実は、其の時に、総二郎の口から発せられたそんな言葉は、そんな優紀に対して、苛立ちから発せられた言葉だったのだ。
「なぁ~、優紀…。
俺等…。
そんな柔な仲じゃねぇよな?
俺と優紀は、既に、そう言う仲だろ?
だから…よ。
今の俺と優紀は、ダチには、戻れねぇだろ?」と…。
そんな言葉を、総二郎の口から発せられた事で…。
優紀も、総二郎を怒らせるかも知れない様な言葉を言ってしまうのだった。
「西門さんは、高校生の頃の私に、仰いましたよね。
“此れからも、今迄通り…。
仲間のままで居ようぜ‼”と…。
其れに、私は、以前…。
西門さんに、お話しして居たと思います。
“お友達からお願いします。”と…。
なのに…。
如何して、付き合って居るというお話しに成るのでしょうか?
だから、私は…。
“お友達として、お食事に、誘って頂いて居る。”と、思って居ました。
いいえ…。
そう解釈して居ました。
そうでは、無かったのでしょうか?」と…。
なので、此の時の総二郎は、優紀にだけ魅せる怒りの顔付きを観せるのだった。
其れは、嘗て、総二郎と優紀が、まだ、高校生だった頃…。
優紀が、総二郎のポーカーフェイスを剥がした時と、全く、変わって居なかったのだ。
だからだったのだ。
此の時の総二郎は、優紀から、自身のポーカーフェイスを剝がされた事で…。
本来の総二郎の想いのまま…。
優紀に、言って除けるのだった。
「はぁ~??
だったら…。
俺は、優紀の気持ちが、変わる迄…。
何時迄、待てば良いんだ?
俺は、そう待ってらんねぇ‼
俺の気持ちは、もう、ギリギリだ‼
優紀…。
はっきりしろよ‼」と…。
なので、優紀は、はっきり、総二郎に、言ってしまうのだ。
此の時の総二郎が、完全に、怒ってしまうとも、思わずに…。
「今は、まだ、滋さんの思いに応えたいんです。
だから…。
西門さんとは、お友達のままで…。
良いでしょうか?」と…。
だからだったのだ。
完全に、怒ってしまった此の時の総二郎は、無言のまま…。
優紀を或る場所に、連れて行くのだった。
そして、此の時の優紀は、無言のまま…。
そんな総二郎に、引き摺られるかの様に…。
或る場所に、連れて行かれて居たのだった。