喧嘩をしてしまった…<総優> 45.
総二郎は、其の後…自室に戻ったのだ。
そして、総二郎は、スーツのポケットから、携帯を取り出して、唯、じーっと、其の携帯を見詰めて居たのだ。
何故なら…。
総二郎の携帯には、LINEにも、TELにも、優紀からの履歴が残って居なかったから…だったのだ。
其処で、総二郎は、唯、携帯を、見詰め乍らも、悩んで居たのだった。
優紀に、TELを掛けるべきか?
LINEで、連絡すべきか?
そして、総二郎の出した結論は、“優紀の声を聞きたい。”と、言う想いだったのだ。
なので、総二郎は、優紀に、TELを掛けるのだった。
だが、優紀の声を聞く事は出来なかったのだ。
何故なら…。
無機質な音声だけだったのだから…。
云わば…。
優紀の携帯は、留守電に成って居たのだ。
だからだったのだろう。
総二郎は、優紀の携帯の留守電にメッセージを残す事にしたのだった。
「優紀…。
今日は、家(うち<西門邸>)に来てくれたんだよな。
お袋から聞いた。
俺が帰宅した時には、優紀が、少し前に、出た後だった様だ。
云わば…。
入れ違いだったみてぇだ。
連絡してくれたら…よ。
もう少し、早く、帰れたんだが…。
なぁ~、優紀…。
今から、会えねぇか?」と…。
其処で、無情にも、留守電が切れたのだった。
なので、総二郎は、仕方なく…。
優紀からの折り返しが有る事を願って、待って居たのだった。
だが、中々、折り返しが掛かって来る事は無く…。
総二郎は、日にちが変わる時間まで、待って居たのだった。
そして、翌朝…。
総二郎は、LINEを送って視たのだった。
『優紀…。
昨日は、如何した?
お袋と会って、疲れたのか?
連絡、くれねぇか?
待ってる。」と…。
なので、優紀は、昼休憩に成った時…。
総二郎に、LINEを送信したのだった。
『昨夜は、申し訳在りませんでした。
留守電のメッセージに、気が付いて居ませんでした。
西門さんと、お会いする事も、自分自身の気持ちが、整理出来る迄…。
もう少し、待ってもらえますか?
すみません。』と…。
だからだったのだ。
総二郎は、焦り始めたのだ。
実は、此の時の総二郎は、優紀からのLINEの文面に、不安しか無かったのだ。
そして、総二郎は、前日、西門家の使用人頭が、言って居た話しを思い出すのだった。
「優紀さんが、総二郎坊っちゃんとお付き合い為さって…。
其のまま、結婚と成れば…。
総二郎坊っちゃんは、既に、次期家元を就任して居る身…。
と言う事は…。
優紀さんは、次期家元夫人とお成りに成る。
きっと、優紀さんは、自身には、無理だと考えて折られるのでしょう。
今迄、牧野様のお辛い姿を観て来られたのです。
無理は御座いません。
ですから…。
総二郎坊っちゃんも、優紀さんのお気持ちを、お待ちに成られては、如何でしょうか?
其れが、男の度量というモノです。」と…。
実は、総二郎にも、変わり切って居たのだ。
優紀が、西門流から、逃げたがっている事は…。
其れに、“自分自身には、家元夫人の役目は、務まらない。”と、優紀が考えて居る事も、既に、総二郎は、認識して居たのだ。
だが…。
だからと云って…。
総二郎は、西門流から、逃げる事は出来ない。
だからこそ…。
此れまでの総二郎は、“優紀を説得して、優紀に、分からせるしか無い。”と、判断して居たのだ。
其れに、此の時迄の総二郎は、思って居たのだ。
“司が出来た事なら…。
俺だって、出来んだろ?”と…。
だからこそ…。
此の事に関しては、総二郎とて、其れ程、優紀に、触れて来なかったのだ。
だが、西門家の使用人頭が、待てと言って来たのだ。
しかも、総二郎が、優紀を待って上げる事は、『男の度量』だとも、言って来たのだ。
だからこそ…。
此の時の総二郎は、悩んだのだ。
何故なら…。
優紀の要望通り、もし、総二郎が、優紀と会う事を待って遣った場合…。
“優紀に、逃げられるのでは無いか?”と、言う想いが、総二郎には、有ったからだ。
だが、其れとは反対に…。
もし、総二郎が、優紀と会えない事を焦ってしまい、優紀に、会う事を強要した場合…。
“優紀から、がっかりされるのでは無いか?”と、言う想いが、総二郎には、有ったからだ。
だからこそ…。
此の時の総二郎は、悩んで居たという訳だったのだ。
其処で、総二郎は、あきらに、LINETEL(ビデオ通話)を掛けるのだった。
所謂、優紀との経緯…。
そして、優紀からのLINEの文面…。
そして、優紀が、自身の母親で在る 西門流 家元夫人と会って話しした時の事も含めて、此の時の総二郎は、あきらに、話しするのだった。
また、此の時の総二郎は、あきらに、西門家の使用人頭から言われた話しの内容も含めて、更に、話しするのだった。
其の上で、総二郎は、あきらに、相談するのだった。
「なぁ~、あきら…。
俺は、如何したら、良いと思う?
もう、分かんねぇわ。」と…。
だからだったのだろう。
此の時のあきらは、そんな総二郎に、苦笑いだったのだ。
何故なら…。
“昼間のこんな時間に、何事かと思って、総二郎からのTELに出て視れば…。
優紀ちゃんの事かよ?”と…。
此の時のあきらは、呆れ気味で、総二郎の話しを聞いて居たのだ。
仕方無いと言えば、此の時のあきらが、そう思っても、仕方なかったのだろう。
其れに、NY時代の司は、良く、あきらに、TELして来たのだ。
其の当時のつくしの状況を訊く為に…。
しかも、日本時間に関わりなく…。
夜中だろうと…。
朝方だろうと…。
何故か?
其の時の司の事を、あきらは、思い出す程だったのだ。
だからだったのだろう。
あきらは、思って居たのだ。
“司と総二郎…。
何処と無く…。
似てる所が、有んだよな。”と…。
そして、此の時のあきらは、そんな総二郎に、言って除けるのだった。
「優紀ちゃんに訊いて視た方が、良いんじゃねぇの?
どっちにしても、総二郎のダメージは、大きそうだし…よ。
優紀ちゃんの想いを聞いて視るのも、手かも知んねぇし…な。
但し、総二郎は、普段、優紀ちゃんの前でも、クールに決めてんだろ?
優紀ちゃんに、甘えて訊いて視ろよ。
優紀ちゃんに、総二郎の違う一面を魅せるのも、手かもよ。」と…。
実は、今迄の総二郎は、女性には、甘えた姿を魅せた事が無かったのだ。
何故なら…。
“女には、自身自身の弱い所を魅せる必要が無い。”と、思って来たから…だったのだ。
だが、此の時の総二郎は、思うのだった。
“優紀になら…。
俺の弱い部分は、魅せる事が出来る。
どうせ、優紀には、俺のポーカーフェイスを剥がされた事が有んだから…よ。”と…。
だからだったのだろう。
総二郎は、あきらに、「サンキュー!」と、礼を言って、TELを切るのだった。
そして、其のまま、総二郎は、優紀に、LINEを送る事にしたのだった。