助け出したい…<つかつく> 8.
<司side>
あいつが、部屋から出て行った後、俺は、懐かしさを感じていた。
あいつとの掛け合いは、普通、イラ付くだけだろうに…。
俺は、返って、頭がすっきりしていた。
其れ処か…?
あいつの存在を意識し始めている俺が居た。
否、思い出したのだ。
あいつという女を…。
俺にとって、大切で在る筈のあいつの事を…。
俺は、あいつの後輩ドクターで、俺の主治医というあのドクターに牽制を掛ける為に、回診に来た時に言って於いた。
「ああ、それと、言って於く。
お前のお陰で、俺は、あいつの事の全てを思い出した。
もう、迷わねぇよ‼
お前が、あいつに対して、どんな気持ちを抱いて居ようとも、俺は、もう、あいつを離
さねぇから…。
そのつもりで居てくれ‼」
イラつく事に、あいつの後輩ドクターで、俺の主治医というあのドクターは、俺に牽制を掛けて来やがる事が、俺にも、分かった。
「如何でしょうか?
牧野先輩の気持ちは、今は何処に在るのか?
誰にも分かりませんよね?」
俺は、あいつの後輩ドクターで、俺の主治医というあのドクターを睨み付け乍ら、言って遣った。
「俺は、あいつを取り戻すんだよ‼
俺には、あいつ以外、居ねぇんだから…よ。」
そして、回診が終わり、俺の主治医は部屋から出て行った。
<つくしの後輩ドクターside>
俺は、慌てた。
あの人の瞳(め)を見た時、多分、生気が漲って来たのだと思う。
俺は、そう悟った。
俺は、如何も、『寝た子を起こしてしまった』様だ。
俺は、医局で先輩を見掛けたので、俺の気持ちを告白する事に決めた。
「先輩、ちょっと、今、良いですか?」
俺は、先輩を呼び止めて、声を掛けた。
俺は、医局の隣に在る談話室に先輩を呼び出し、告白しようとしていた。
先輩は、不思議そうな顔をしていたが…。
「先輩、俺の事、如何思って居ますか?」
「へっ??
其れって、如何いう意味?
私にとっては、大学時代から、優秀な私の後輩だと思ってるよ。」
俺は、先輩の珍回答に、呆気に取られていた。
先輩は、驚愕して居て、声が裏返ってるし…。
「否、そういう意味じゃなくて…。
如何、言えば、良いのか…?」
俺の戸惑っている姿に、先輩は、可愛く、首を傾げて、俺に魅せてくれた。
そう言う、無謀味な姿が、『男をその気にさせてる』って、先輩は、分かって居るのだろうか?
否、そうじゃないんだろう⁉
先輩は、多分、根っからの『鈍感な女性』、何だろう‼
俺の言葉を告白と取らない時点で、決定だな⁉
まあ、前々から分かって居た事だが…。
ストレートに伝えなければ、先輩には、通用しない事を悟った。
だから、ストレートに伝える事に決めた俺だった。
「俺は、先輩の事が好きですよ‼」
先輩は、俺の言った意味を、やっと、理解したかの様に、俺に言って来た。
俺に諭す様に…。
だが、先輩から言われた言葉は、ストレートだが…。
何処か?
納得出来るものだった。
「ああ…⁉
そういう意味だったんだ⁉
ごめん‼
そんな目で見た事無いし…。
これからも見れないと思う。
私にとっては、後輩と思って接して来たし…。
そう言う関係性が崩れると、遣り難く成る。
ストレートに言い過ぎたかな?
ごめんね‼」
俺は、訊いてみた。
まだ、過去に拘っているのかを…。
「牧野先輩って、好きな男(ひと)って、居るんですか?」
「如何だろうね?」
俺は、悟った。
牧野先輩は、まだ、道明寺さんの事が、“好きだ‼”って…。
分かっては、居たんだけどなぁ~。
道明寺さんの存在を知っても、道明寺さんの記憶が戻って居ない事に、何処か安心していた俺が居たんだろうな‼
道明寺さんと牧野先輩の絆は、誰も入っては行けない様な気がしていた。
<8.は、少し、短めで、申し訳在りません。>