もしも類とつくしが兄妹だったら(家族編・短編)…<つかつく>前編
【道明寺つくし 編】
毎月、行われている、花沢家・西門家・美作家・大河原家、そして、道明寺家の集まりの日…。
それぞれの子供達も大きく成り、集まる事も儘ならなくなるのではないかと危惧する中、毎月この日だけは、皆、日にちを調整して集まっている。
何時まで続くかは分からないけれど、続けられたら良いなぁとは密かに思っている。
毎月、開催場所は持ち回り…。
今月は、道明寺邸で開催…。
皆が集まり出した頃、お兄様に声を掛けられた。
私のお兄様とは、言わずも知れた、花沢類。
「つくし、はい、此れ…。」
行き成り、お兄様に渡された2つのビロードの箱。
「う~ん、何…、あっ、此れ?」
私は、忘れていたのだ…、この箱の存在を今の今まで。
「ふ~ん、思い出した…。
母さんに、“渡して於いて。”って、預かって来たよ。」
ママに申し訳ない事をしてしまっていた。
「そうか、ママ、何か言ってた?」
「まあ、寂しそうだったかな。」
「だよねぇ⤵。
“忘れていた。”とは、とても言えないよね?」
「まあ、仕方ないんじゃないの。」
「仕方ないで済む…?」
「自分で処理すれば…。」
「やっぱり…⤵。」
はぁ~⤵、“花沢邸”に帰る日が重苦しい…。
そんな所に、司が、お兄様と私の話しに入って来た。
「何を兄妹だけで話してるんだよぅ。」
「司、つくしは俺の妹なの。
ヤキモチを何時まで焼くつもり?」
「うるせぇ~、類は黙っとけ‼」
司はつくしが持っている2つのビロードの箱を見て…
「何だ、この箱?」
「ああ~、この箱はね、中に、ネックレスが入っているの。
私が18歳と20歳の誕生日の時にママに買って貰ったネックレスなの。
私、今の今まで、このネックレスの存在を忘れていて、お兄様が預かって持って来てく
れたの。」
「ママに申し訳ない事しちゃったなぁ~⤵。」
お兄様からママが寂しがっている事を教えてもらった。
「母さんね、偶に、つくしの部屋に入って、つくしの残像を探してる節が有るんだよね。
つくしが道明寺家に嫁いで、もう何年も経つのにね。
で、今まで入ってなかった、つくしのベッドルームに何気に入ったらしいんだけどね、
ドレッサーの宝石箱に、このビロードの箱が入っていて、“持って行ってくれなかった
んだ…。”って、言ってね、寂しそうだったんだよ。
それで、俺が預って来たって訳。」
「「………」」
司とつくしは何も言えなかった。