エロ門、登場…<総優> 後編
<総二郎side>
俺は、優紀ちゃんの腕を離さず、優紀ちゃんを引き摺る様に連れ出し、病院を後にした。
俺と優紀ちゃんは、ずーっと、無言だった。
そして、タクシーに乗った。
それでも、俺は、無言で、優紀ちゃんの腕を掴んだままで居た。
優紀ちゃんが、俺に掴まれたままの腕が痛いのか、外そうと、もがき出した。
だが、俺は、離して遣れなかった。
何故なら、離せば、また、俺の前から居なく成りそうで、不安だったからだ。
こんな俺は、自分自身でも初めてな感情で…。
俺は、俺自身に戸惑っていた。
優紀ちゃんは、ほんとに、高校の頃とは、全然違う。
大人っぽさが加わり、顔付きも、寄り一層、シャープに成って居た。
本当に、綺麗に成っていた。
“蛹が蝶に変身した‼”って処か? ←例えが、微妙かもな…⁉ by 総二郎
だが、頑固さは、健在の様だった。
「あの~、西門さん。
腕、痛いんですが…⁉」
「今、離したら、俺の前から、また、居なく成るつもりだろ?
さっきも、俺の前から、離れ様として居たよな?」
「………」
無言の優紀ちゃんだった。
だから、俺は、話しを続けた。
「俺は、もう、優紀ちゃんを見失う訳には行かねぇんだよ‼
今度、優紀ちゃんを見失えば、俺は、後悔する。
司と牧野の結婚式で、優紀ちゃんと会えるかと、思って居たのに…。
俺に、“会いたくねぇ‼”って、牧野に言ったんだろ?
ツレねぇよな、優紀ちゃん‼」
優紀ちゃんの顔が驚愕して来た。
否、驚愕じゃねぇな?
唯単に、吃驚してんだろうな?
優紀ちゃんは、何を言われてるのか、今一、分かってねぇんだろうな?
だから、優紀ちゃんに訊いてみた。
「優紀ちゃん、俺の言っている意味。
ちゃんと、理解してる?」
<優紀side>
私は、西門さんから、何の事を言われているのか?
本当に、分かって居なかった。
私は、首を傾げながら、分からないとジェスチャーしてみた。
「???」
西門さんは、“やっぱり…‼”と、思ったのか?
苦笑いを浮かべていた。
「だろうと、思った?
レストランに着いたら、説明するよ‼」
そして、レストランに着いて、レストランの個室に通された西門さんと私…。
席に就いた時、西門さんは、急に、私の腕を触り出して、私に話し掛けてくれた。
「俺、優紀ちゃんに惚れたから…。」
「………、えっ??」
私は、西門さんの言葉に面食らってしまった。
如何、解釈すれば良いのだろうか?
悩んで居ると…。
西門さんが、緊張した様な顔付きに成り、私に声を掛けて来た。
「優紀、返事は…⁉」
“自信家の西門さんも、こういう顔の表情するんだぁ~⁉(何とも言えない緊張している様なそんな顔付き)”と、思って居た私は、西門さんに見惚れていた様で、返事を返しあぐねて居ると…。
西門さんは、私の表情で、勝手に理解している様子だった。
で、私が、返事をする前に、西門さんから、話しが続けられた。
「俺、ショックだわ。
優紀の其の顔の表情…。
迷惑だったか…?
優紀は、もう、俺に気持ちはねぇのか?」
「其れって、如何いう意味ですか?」
「俺は、優紀を俺自身が受け入れれば…。
また、俺は、優紀を手に入れらるって、思ってたんだよ。
でも、違ぇのか?」
「私に、如何言って欲しんですか?」
「俺の事が、“好き‼”って、言って欲しいな‼」
「ほんと、西門さんって、相変わらずですね。
自信家…は、健在ですね。」
「優紀に対しては、その『自信家』も何の役にも立たねぇよ‼
優紀の気持ちは、如何、何だ?」
私は、“仕方ないなぁ~‼”と、思い乍ら、答えていた。
「………、今でも、好きですよ‼」
「俺の事を…か?」
「そうですね。」
西門さんは、目をパチパチさせて、吃驚した表情をし始めた。
今日は、西門さんのレア日かも…‼
何か、面白い‼
“クスクス”笑っていた私に、嗜めてきた西門さんの顔は、照れて居た。
「何だよ?
優紀…。
勝ち誇った様な顔をして…?」
「だって、西門さんの顔付きが、初めて見る顔付きばかりで…。
“今日は、西門さんのレア日かも…。”って、思ったら、可笑しくて…。」
「………」
<総二郎side>
俺は、そんな優紀に、更に、遣られたらしい。
優紀、此れからは、覚えとけよ‼
fin