あの時と変わらない君へ…<つかつく> 13.
その時、司が、あきらの執務室に入って来た。
司は、あきらの執務室の扉を開けた瞬間、ハッとした。
司の目の前のソファに、つくしが、座って居るのが見えたからだった。
司は、自身の顔が緩むのを、誤魔化すのに必死だった。
あきらは、そんな司の顔付きに笑ってしまいそうに成り、俯くしか無かった。
そして、あきらは、エリィー(=つくし)から司に言葉を伝える様に促していた。
「エリィー、司に訊きてぇ事が有るんだよな?」
司は、何を訊かれるのか?
心の中では、そわそわしていた。
そんな様子を見ていたあきらは、笑いを堪えるのに、必死に成っていた。
司は、エリィー(=つくし)に、逆に、訊き出して居た。
「俺に訊きてぇ事って、何だ?」
エリィー(=つくし)は、あきらに訊いて居た事と同じ事を、司に、訊き出して居た。
「はい。
母から、“道明寺HD様より、スポンサー契約を取り交わしたい。”と、仰って頂いて居
ると、お伺いしました。
また、既に、母が、道明寺HD様とスポンサー契約を取り交わして居る事も…。
先日、私が、お会いした時は、ご挨拶だけでした。
何故、うち(エリィーの養母が経営しているエリィーの所属 芸能事務所)と、スポン
サー契約を交わして下さったんですか?
何か、意図がお有りですか?」
司は、訊かれた言葉に、脱力感で一杯だった。
否、ショックだった。
「否、そうじゃねぇよ。
エリィーの歌声に惹かれるものが有った。
だから、スポンサー契約を交わした。
此れからは、スポンサー契約を取り交わしている企業としてではなく…。
俺は、一人の男として、エリィーと、向き合いたい。
そう思ってる。」
あきらは、司の言葉に、“何を焦ってんだ、司は…?”と、思っていた。
傍に、あきらの執務室に待機していた桜子も、あきらと同じ事を思っていた。
だが、エリィー(=つくし)は、司の言葉に、がっかりして居た。
「其れが、目的ですか?
其れでは、スポンサー契約のお話しはお受け出来ません。」
「………」
司は、エリィー(=つくし)の言葉に茫然自失状態に成って居た。
あきらは、エリィー(=つくし)の返しの言葉に、“やっぱり…な。”と、思っていた。
エリィー(=つくし)は、続けて言葉を紡いだ。
「私は、“一人のアーティストとして、認めて頂いたのだ‼”と、思って居ました。
でも、そうでは、無い様ですね?
お忙しい処、申し訳ございませんでした。
お話しは済みましたので、此れで、失礼致します。」
そして、エリィー(=つくし)は、あきらの執務室を後にして居た。
その後、茫然自失状態に陥って居た司の意識が、はっきりした司は、後悔しかなかった。
あきらと桜子は、顔を見合わせて、嘆いて居た。
そして、あきらは、司に声を掛けていた。
「司…?
何、焦ってんだよ?
チャンスだっただろ?
当分、牧野は、司には、会ってくれねぇんじゃねぇか?」
「………」
司は、何も、言葉に出来なかった。
其処に、桜子が、助け舟を出す様に話し出した。
「仕方有りませんね。
優紀さんと私とで、道明寺さんと先輩を会わせられる様に、頑張ってみますよ‼
但し、時間は、掛かると思いますので…。
暫く、お待ち下さいませ。」
司は、エリィー(=つくし)の返答の言葉に、ショックで、神妙な顔付きをして、桜子に頼み込んで居た。
「………。
済まねぇ。
宜しく頼むよ‼」
失意のどん底に居るで在ろう司に取って、こう言うのが、精一杯だったのだ。
だが、あきらと桜子にとっては、お礼の言葉を言う司は、レアなので、驚愕して居たのだった。
その後直ぐ、桜子は、優紀に連絡を取っていた。
そして、司とつくしの件を伝えて居た。
事と次第に寄っては、つくしの気持ちを動かす為に、自分達の二人で何とかして行かなければ成らない旨を、桜子は、優紀に合わせて伝えて居た。
優紀も、桜子の話しには、納得していた。
桜子にしても、優紀にしても、つくしとまた、繋がれるチャンス成らば、其れも、また、良いのかも知れないと思うのだった。
そして、桜子は、仕事を理由に、エリィー(=つくし)に連絡を取った。
そして、“優紀をも、合わせた3人で、一度、ディナーに行かないか?”と、桜子は、エリィー(=つくし)に誘いを掛けた。
勿論、エリィー(=つくし)は、桜子からの誘いを了承していた。
桜子は、先ずは、仕事がらみでも、良かった。
桜子は、其処から、また、つくしと優紀をも、合わせた3人の繋がりを深めて行きたいと考えるので在った。