司は、NYに戻った際、父親で在る保にも、アポを取った。

そして、司は、日本に帰国する事を保に了承してもらおうとしていた。

「会長、お願いが有ります。
　航の傍に居てぇ。
　俺を日本に戻してもらいてぇ。」

保は、航の事を知った司の出方位は、納得していた。

「司に日本支社　支社長として、転勤してもらおうと思う。
　如何だ、遣ってみるか？」

司は、間髪入れずに、保に言って除けていた。

「当たり前ぇだろ。
　遣るに決まってる。
　唯、牧野を探し出す事だけは、了承して欲しい。
　航は、父親で在る俺の事もだが、母親の事を知らずに育ってる。
　航に母親の牧野を逢わせて遣りてぇんだ。」

保は、血の繋がった孫で在る航に、つくしを逢わせる事は躊躇していた。

何故なら、今までは、司には、つくしの記憶が無かったからだった。
以前も、タマから、航につくしを逢わせる様に言われて居た事だったが…。

だが、今なら、司の記憶は戻っている。

なら、許して遣ろうと思って居た保だった。

また、保は、幼馴染で親友の類の父親で在る孝から、つくしの暮らし振りを聞いて居た。
また、つくしの頑張りについても、合わせて聞いて居た。

司に、“記憶が戻らないのなら、つくしさんを類の伴侶に…と、考えて居る。”と、孝から言われていた保だった。

あの気難しい孝が、つくしを認めたのなら、つくしを認めざるを得ないと、保も思い出していた。

どんなに、楓が、つくしを毛嫌いしようとも、椿からの話しでは、人間味の在る娘で在るのだろうと、推測も出来る。

もし、つくしの記憶が戻った司からつくしを奪ってしまえば、司が、どんな行動に出るか位は、保とて推測出来る。

この決断は、勿論、楓にも、伝えられた。

楓にも、司の記憶が戻ったのなら、司に何を言っても、無駄な事位は、認識出来て居た。

だから、楓は、保にも何も言わなかった。

そして、司は、凱旋帰国をする事に成った。

勿論、司は、LINEで、F3に帰国の事を伝えていた。

『来週、帰国する。
　日本支社　支社長としてだ。』
『そう、司、良かったじゃん。
　で、息子には、会ったの？』
『ああ。
　類、サンキュな‼
　タマが、メープルに連れて来てくれてな、会えた。』
『そう、良かったじゃん‼』

総二郎とあきらは、それぞれが、携帯画面を見ながら、驚愕していた。

あきらが、訊いて来た。

『おいおい、其れって、如何いう意味だよ？』

事情を知る類が、説明していた。

『総二郎とあきらの二人には、言って無かったけど…。
　実は、俺と牧野が再会した時、既に、妊娠してたんだ、牧野…。
　俺と再会した牧野は、もう直ぐ、産み月だったんだ。
　で、牧野は、息子を産んだ。
　けど、牧野が産んで5日後には、牧野の息子は、道明寺家に寄って、連れて行かれたん
　だ。
　経った5日間だけ、牧野は、母親だったんだ。
　けど、お乳は牧野が搾乳して、うち（花沢邸）で凍らせて、道明寺家のメイドが取りに
　来ていた。』
『マジか？』（総二郎＆あきら）

その後、総二郎が、類に確認して来た。

『優紀ちゃんがな、“牧野と連絡が着かねぇ（ない）？”って、言ってたんだが…？
　類、如何してか、訳を知ってるか？』

類は、母親が絡んでそうなので…。
答え辛い事が、伝える事にした。

『如何も、俺の母親が絡んでそう何だけど…？
　実は、牧野…。
　数ヶ月程前に、行方不明に成ってんだ。』

総二郎とあきらは、何が如何成って居るのか？
さっぱり、訳が分からなく成って居た。

総二郎が、驚愕の返事をして来た。

『はぁ～？？』

あきらが、また、確認して来た。

『じゃあ、今は、牧野の居場所は分からねぇって事か？』
『そういう事。
　俺も、探したいけど…。
　母親が絡んでるから、中々、上手く行かなくて…ね。
　けど、司は、探しているんでしょ？』

司は、“勿論だ‼”と、言わんばかりに、F3に伝えていた。

『ああ。
　探す事は、親父にも、了承させた。
　一日でも早く、航に牧野を逢わせて遣りてぇからな。』

総二郎は、確信を突いた。

『で、牧野は、まだ、見付かってねぇのか？』
『ああ、まだだ。』

類は、残念そうだった。

『そう何だ。
　牧野は、何処に行ってしまったんだろうね？』

少しの間、F3は、『既読』だけで、誰も、返信をしなかった。

つくしは、『失踪魔』だけに、F4は、“毎度、毎度、お騒がせだな。”と、思うしか無かった。

で、類は続けて、司に、懇願していた。