Remember me…<つかつく> 5.
そして、漸く、つくしは、折れた。
で、隣に座っていた受付課の部下に声を掛けて、総二郎とあきらに同行して、支社長の執務室に向かう事にした。
「今から、支社長の執務室に、お客様をお連れして来ます。
後、宜しくお願いします。」
「賜りました。」
受付課の部下の反応は、怪訝そうでは在ったが…。
取り敢えず、見て見ぬ振りをして、総二郎とあきらに同行するつくしだった。
で、つくしは、受付カウンターを後にした。
司には、あきらから、LINEで報告が入っていた。
『今から、牧野を連れて行くぞ‼』と…。
だから、司は、つくしが、司の執務室に現れる事を、今か今かと待って居た。
そんな上司で在る司の姿に、西田は、呆れる程だった。
そして、つくしが、司の執務室をノックしていた。
【コンコン】…つくしがドアをノックした。
「受付課の牧野です。
お客様をお連れ致しました。」
司は、久し振りのつくしの声にテンションが、上がってしまって、声が上擦っていた。
「入れ‼」
総二郎とあきらは、そんな司の声に顔を見合わせていた。
司は、ドアを開けて入って来るつくしを、じーっと、凝視して観ていた。
だが、つくしは、ドアを開けたと同時に、ドアを抑えて、部屋に入る様に総二郎とあきらを促して入ってもらったので、そのまま、ドアを閉めて、其の場を後にし様として居た。
「では、失礼致します。」
司は、そんなつくしの行動を制しする様に慌てて、つくしの前に歩き始めて向かうのだった。
で、司は、つくしに一言、声を掛けた。
「コーヒーを淹れて来い‼
お前の前任は、秘書課だったんだろ?
だったら、コーヒー位ぇ、淹れられるよな?」
つくしは、司の理不尽さに驚愕して居たが、はっきり、きっぱり、言って除けていた。
「私の前任が秘書課だろうと、現在は、受付課です。
お言葉を返す様ですが…。
支社長のお世話を承るのは、秘書課の仕事です。
受付課には、受付課の仕事が御座います。
申し訳御座いませんが、業務に戻ります。」
総二郎とあきらは、つくしの最も過ぎる位の言い分に、司に睨まれ様が、つくしに待ったを掛ける気に成らなかった。
西田も、“ご最も…。”と、しか言い様がなかった。
其れでも、司が制止して来るも…。
つくしは、そそくさと、エレベーターに向かって歩いて居た。
総二郎とあきらは、呆気に取られて、司に言って除けていた。
先ずは、あきらが、口を開いた。
「司…?
あんまり、牧野にがっつくなよ?
牧野に嫌われるぞ?」
総二郎も、応戦していた。
「牧野は、まだ、記憶が戻ってねぇんだし…よ‼
俺とあきらの事も、気付いてねぇみてぇだし…よ‼
まあ、司の事は、覚えてねぇのは、当り前ぇだろ?」
司は、総二郎とあきらを睨んでいた。
だが、総二郎とあきらは、飄々としていた。
“いつもの事だ‼”と、思う総二郎とあきらだった。
そして、司は、西田に命(めい)を出して言って居た。
「西田、明日の朝から、毎朝、俺の為にコーヒーを淹れる様に、牧野に伝えとけ‼
そうしねぇと、執務は、始めねぇから…な‼」
西田は、司を諭し始めた。
「司様…?
其れは、ご無理と言うモノ…。
牧野様が仰っていらっしゃる通りでございます。
執務を逸脱する事は、出来兼ねます。
また、牧野様は、受付課の主任職です。
部下を育てる役目も御座います。
ご理解下さいませ。」
それでも、司は、司の考えを押し通そうとして居た。
「あいつは、俺専属のメイドをして居た時…。
俺にコーヒーを淹れて居ただろ。
あいつには、記憶が無くても、俺の好みを知ってる筈だ‼
タマに鍛えられたんだから…よ。
俺は、此の事に関しては、譲らねぇ‼
西田、明日の朝からだ‼
直ぐ、手配しろ‼」
其処に、女性秘書が、司の執務室にコーヒーを届けに、ノックして、司の執務室に入ろうとドアを開け掛けて居たのだが…。
司は、司の執務室にコーヒーを届けに来た女性秘書に、司の執務室のドアを開けさせず、司の執務室には、入らせなかった。
「ドアを開けなくて良い。
西田が、今、取りに行く。」
司の言葉に、仕方なく、西田が、ドアの外で、秘書から、コーヒーを受け取り、西田は、中に入って、テーブルに置いた。
総二郎とあきらは、其のコーヒーを口にしたが…。
司は、一切、飲もうとしなかった。
西田は、子供の様な対応しかしない司に、呆れる寄り仕方なかった。
司の其の行動には、総二郎とあきらも、苦笑いだった。
で、コーヒーを届け様として居た女性秘書は、ショックが大きかった様子だった。
何故なら、司は、つくしに、司の執務室のドアを開けさせ、入る様に促していた。
しかも、ドア付近に居るつくしの傍まで、司は、態々、向かったのだ。
そして、司は、つくしに声を掛けていた。
しかも、秘書課の前任者というだけで、司は、つくしに、コーヒーを淹れる様に促していた。
日本支社 支社長に赴任してからのそんな司を、今までに、見掛けた事の無い秘書課の全ての女性秘書達は、つくしに対する対応に、驚愕して居た。
しかも、其の時のつくしに対する対応が、日頃の司の女性に対する対応と、違って居た為…。
コーヒーを届け様として居た女性秘書だけで無く…。
秘書課の全ての女性秘書達は、“支社長(司)の女性に対する対応が変わったのかも知れない。”と、密かに、期待して居たのだった。
だから、快く、女性秘書は、司の執務室に、コーヒーを届け様として居た。
なので、コーヒーを届け様として居た女性秘書は、ショックを起こしたのだった。
しかも、コーヒーを届け様として居た女性秘書は、つくしに対して、妬み、嫉み、嫉妬に狂って居たのだった。
そして、其の日の総二郎とあきらは、お役目御免と、言わんばかりに…。
総二郎とあきら自身に、司の怒りの火の粉が降り掛かる前に、司の執務室を退散して居たのだった。
そして、司が、コーヒーを届けようとして居た女性秘書を煙たがった事が切っ掛けで、後で、大きな事件に発展するとは、其の時の司は、予もや、思わずに居たのだった。
<此の二次小説『Remember me…<つかつく> 5.』は、一部の文面が消されてし
まった為…。
思い出し乍ら、修正を掛けております。
其の為…。
2020.1.20 23:48 と 2020.1.21 0:14 前後…。
『公開』されて居ない時間帯も在りました。
お詫び申し上げます。
詳しくは、『Remember me…<つかつく> ブレイクタイム』をご覧頂けました
ら、幸いです。
お詫び掲載日…2020.1.20 23:50>